インバウンド需要に沸いている日本。観光地はもちろん、大きな都市ではどこに行っても外国人の姿が目に入ってきますが、日本に住み、インフレ&物価高の影響を大きく受けている日本人からすると「日本の何がそんなに良いのか?」と疑問に思ってしまいますよね。

そこで、すこし日本にゆかりのある外国人に「日本の印象」を聞くことで、我々が忘れかけていた日本の素晴らしさに改めて気づくことができるかもしれません。

カナダ人が感動した日本の航空会社の意外な“おもてなし”。愛犬...の画像はこちら >>
カナダ・モントリオール出身のダン・メイアー(55歳)と妻である筆者が、長年住んでいたカナダ・バンクーバーから海を越えて、千葉県に空き家を購入して移住したのは2024年4月のこと。筆者の故郷である日本には、彼に「移住したい!」と思わせるほど、心揺さぶられるような出来事がたくさんあったようです。

いざ日本へ移住、日本の航空会社のおもてなしに感動

カナダ人が感動した日本の航空会社の意外な“おもてなし”。愛犬・愛猫を飛行機に乗せたら「こんなの初めてだよ!」
移住の際に利用した航空会社はANA
夫婦で愛猫と愛犬を連れてカナダから日本へいよいよ移住するという日のこと。普段はエア・カナダを利用することが多かったのですが、愛犬が短頭種のため、エア・カナダでは貨物扱いとして一緒に飛行機に乗せることができず、ANAを利用することになったのです。

多くの航空会社が、鼻が短く呼吸がしづらいという特徴を持つ短頭種の犬や猫の飛行機への受け入れを制限している中で、基準を満たすことで、ANAの飛行機にはうちの愛犬を乗せることができたのです。

バンクーバー国際空港のANAのチェックインカウンターで2匹を預けて飛行機に搭乗したあとも、彼らのことを考えると気が気でないのは言うまでもありません。ようやく9時間のフライトを経て日本に到着すると、拍子抜けするほど元気な2匹に再会し、安堵します。

カナダ人が感動した日本の航空会社の意外な“おもてなし”。愛犬・愛猫を飛行機に乗せたら「こんなの初めてだよ!」
2匹は大事な家族と考えるダン
そこでほっと一息ついてスーツケースの持ち手を見てみると、何やら見慣れない青いタグが……。一瞬「中身を検査でもしたのかな?」と思ったのですが、そのタグには手書きでこのように書かれていました。

「長旅おつかれさまです。お引越し大変とは思いますが日本でゆっくりされてください」

それはANAのグランドスタッフからのメッセージでした。またタグには、愛犬と愛猫の似顔絵が書かれていて、2匹に対してと思われる「I hope you enjoyed the flight (楽しい空の旅であったら嬉しいな)」とのメッセージも付け加えられていたのです。


カナダ人が感動した日本の航空会社の意外な“おもてなし”。愛犬・愛猫を飛行機に乗せたら「こんなの初めてだよ!」
ANAからの心温まるメッセージ
2匹を預ける際に「日本へ移住する」ことを伝えていたため、グランドスタッフの方が気にかけてくれたのだと思います。ANAからの予期せぬ心遣いに筆者はもちろんですが、ダンは「今までいろんな飛行機を利用したけど、こんな心温まる気遣いをもらったのは初めてだよ!」と感動し、移住初日で日本への愛がかなり強まったようです。

日本人の梱包の素晴らしさに驚きの叫び声

ダンの琴線に触れた体験はこれだけではありません。まだカナダに住んでいた頃、ヴィンテージコンピューターのコレクションが趣味だったダンは、日本に住む個人の方からコンピューターを購入したことがありました。

これまでもアメリカやヨーロッパから購入したことはあるものの、何台か破損していたことがあり、今回も船便で1か月ほどかかることでダンは少し心配気味の様子でした。

ところが届いたパッケージを開けてみたダンは、驚きの声をあげます。彼の日本語なのか英語なのかも分からない叫び声に、筆者は中のコンピューターが損傷しているのかと思ったのですが、そうではありませんでした。ダンは梱包の素晴らしさに感激していたのです。

カナダ人が感動した日本の航空会社の意外な“おもてなし”。愛犬・愛猫を飛行機に乗せたら「こんなの初めてだよ!」
趣味はヴィンテージコンピューター
どんな形にでもフィットする特別な(発泡ポリウレタンが膨らんで固まる)緩衝材でしっかりコンピューターが箱の中で固定され、心のこもった英語のメッセージまで入っていました。これまでに個人間のやり取りでここまで丁寧な梱包は見たことがなかったダンは、叫び声をあげるほど感動し「まさにこれなんだよ! 日本人は相手に対してのリスペクトを決して忘れないんだ。わかるだろ?」と興奮気味に力説していました。

以来ダンは、自分が販売するヴィンテージコンピューターにはとことん丁寧な梱包を心掛けるようになったのです。ちなみにダンからヴィンテージコンピューターを購入してくれた日本人の男性とは、日本に移住後の今でも連絡を取り合う間柄となっているようです。


初めて訪れる渋谷のスクランブル交差点を1時間半も観察

カナダ人が感動した日本の航空会社の意外な“おもてなし”。愛犬・愛猫を飛行機に乗せたら「こんなの初めてだよ!」
スターバックスからダンが撮影した、渋谷の交差点
ダンにとって、移住した今となっては何度も見慣れた渋谷のスクランブル交差点ですが、初めて日本に来たとき、まず目にしたいと言うので早速向かうことに……。駅に着いて、実際に交差点を渡ってみるのかと思いきや、駅の2階の窓から交差点を眺めて大勢の人が一斉に渡る様子に目を輝かせながらずっと魅入っていました。

そこで動画や写真を撮ること40、50分。ようやく移動してくれるかと思って外に出ると、「駅の反対側からも見てみたい」と言うので駅前のスターバックスに入ってさらに30、40分ほど眺めることに……。

筆者はちょっとげんなりするものの、ダンは「これだけの人が一斉に歩き出しているのに、よく誰も互いにぶつからずに渡れるよね。日本の人は相手に対する気の使い方が違うのかなぁ」と、スクランブル交差点の中に日本人の気配りを見いだしたダンは、感心とともに驚きを隠せない様子でした。

でも「スクランブル交差点が成立するのは日本人の気配りの賜物」という推察、我々ではなかなか気づかない視点かもしれません。

日本では当たり前の光景がダンにとっては驚きと感動

移住からしばらく経ち、日本の生活にも慣れてきたダンですが、いまだに日本人にとっては当たり前でも彼にとってはすごく新鮮だったり不思議に感じたりることもあるようです。今回はそのなかでも「気配り」「気遣い」「おもてなし精神」についてまとめてみました。

カナダ人が感動した日本の航空会社の意外な“おもてなし”。愛犬・愛猫を飛行機に乗せたら「こんなの初めてだよ!」
ゲームセンターのお相撲さんの模型を不思議そうに見つめるダン
以前執筆した記事『日本に移住したカナダ人が怯えた「日本では当たり前の光景」。スーパーで聞こえた“謎の叫び声”に「一体何なの?」』では、そんなダンの日本での生活での驚きと感動の出来事を綴っていますので、ぜひご一読いただけたら幸いです。

<取材・文/Masumi Maher(海外書き人クラブ)>

【Masumi Maher(海外書き人クラブ)】
2024年に長年住んでいたカナダ・バンクーバーを後にして夫婦で日本に移住。現在、千葉県で購入した築古の空き家を夫婦でリフォームしながら暮らす日々。
世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員
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