これらの新たなゲーム性を搭載した機種に対し、現場であるパチンコ店の関係者はどこまで期待しているのだろうか。
前回の記事では、パチスロ「ボーナストリガー」について解説していただいたパチンコ店長のS氏に、今回は「ラッキートリガー3.0プラス(以下、LT3.0+)」についてのお話を伺った。
スマパチが普及しない最大の理由
いまだに爆発的なヒット機種は出ていないスマパチ。今回の「LT3.0+」機は人気回復へと繋がる起爆剤になり得るのか。「一撃の出玉性能は上がるので『新しいLTを味わうまでは打ち続けるぞ!』っていうお客さんは多いだろうから、導入直後は動いてくれると思います。でも、今回のLT3.0+機によってスマパチが一気に勢いに乗るなんてことは、なかなか難しいのではないでしょうか。やっぱり今でいうと『海物語シリーズ』レベルの、どこのホールもボックスで入れるようなヒット機種を出してくれないと……」
メーカーはスマパチと一緒に従来のP機を出すことが多い。この現状を見ると、スマパチの普及に関して「メーカーが消極的なのでは?」と思ってしまうのだが、その点に関してはホールの事情も絡んでいるそうだ。
「それはホールが対応できていない部分もあります。スマスロに力を入れているから、スマパチに移行するための予算がなく、同時リリースされるP機を買う。だから、メーカーもP機を優先してしまいます。でも、さきほど言った『海物語シリーズ』レベルのスマパチが出れば話は別です」
ホールはスマパチの普及を望んでいる
どこのホールでも必ず導入するほどの大ヒット機種が登場すれば、スマパチも一気に普及すると語るS氏。実は、スマパチはホールにとってメリットだらけなのだそうだ。「長い目でみたら、ホール的にもスマパチが主流になってくれた方が絶対的に助かるんですよ。
たしかに、初期投資やランニングコストを抑えられたら、その分をお客さんへ還元できるだろうから、ファンとしても嬉しい話である。
「これだけスマパチにはメリットがあるのに、お客さんが付かない機種ばかりの現状では、スマパチに完全移行するのはリスクが高すぎる。でも、確実にお客さんが付いてくれるヒット機種が登場すれば、スマパチをメインにするところが増えると思います。そうなったら、大手チェーン店さんなんかは、潰れたホールを居抜きで買い取って、シマをぶっ壊してスマパチ・スマスロ専門の新店を出してくるんじゃないですかね」
ホールが稼働率を優先するのは至極当然

「よくSNSなんかで『最近のパチンコは射幸性が高すぎる』『もうお客さんが付いてこれない』なんて嘆いている人を見かけますが、そうはいっても荒い勝負を望んでいる人の方が多いと思うんですよ。だって、ウチのパチンコで一日に6万発オーバーの台が3台出た日があったのですが、その日の売上はメチャクチャ良かったですからね。みんな、その爆裂した台を目の当たりにして、夢見てお金を突っ込んだみたいです(笑)。あと、過去のデータに派手な結果がいっぱいある機種を見つけると、それを狙って打ちにくるお客さんもいて、結果的に稼働が上がることがありますから」
なんだかんだ言って、激しい台を望むファンの方が多いのではないかと考えるS氏。
「ぶっちゃけて言うと、やっぱりこの商売、煽ってナンボの世界なので、ホールの立場からすると射幸性の高い機種の方がありがたいんですよね。今は低貸コーナーも充実しているので、激しい台を1パチで楽しんでいる人もいるし。そもそも、勝ち負けの金額もそうですが、それ以上に『打つからにはいっぱい出したい』っていう気持ちが強いから射幸性の高い機種を望んでいるのかなと思います」
パチンコはLT3.0+機を上手に活かせるか
スマスロから始まり、BT機の登場でさらに勢いに乗りそうなパチスロに対して、いまだ低空飛行が続いているパチンコ。命運が分かれた2つだが、ホールがかつての活気を取り戻すにはパチンコの再興が必要不可欠だろう。今回のLT3.0+機の誕生を足掛かりに上昇気流に乗ってV字回復できるか、いちパチンコファンとしても今後の推移に注視していきたいと思う。
取材・文/サ行桜井
【サ行桜井】
パチンコ雑誌『パチンコ必勝ガイド』『パチンコオリジナル実戦術』の元編集者。四半世紀ほど勤めた会社を退社しフリーランスに。現在は主にパチンコや競輪の記事を執筆している。