尾関莉奈さん(仮名・20代)は、新幹線に乗り遅れた人物が周囲に当たり散らす姿を目撃したことがあるという。
売店でビールを買っていた男性客が乗り遅れ…
尾関さんは、地方に帰る友人を見送るため、東京駅の新幹線ホームを訪れた。発車ベルが鳴り、扉が閉まったタイミングで“事件”が起こった。「駅員が『ドアが閉まります、ご注意ください』とアナウンスすると、売店から50代後半の男が走ってきたんです。なにかと思ったら、『乗りたいんですけど、乗りたいんですけど』と叫んでいて。レジ袋のなかには大量のビールが入っていたので、発車間際に売店で買い物をしていたようでした」
閉まったドアを開けるよう主張した男だが、ドア車掌と駅員は断固として開けなかったという。
「男は『乗りたい』と絶叫していましたが、駅員は『ドア開きません、ドア開きません』と右から左に受け流し……。男は『なんでだよ! 開けろよ。ふざけんな』と食い下がっていましたが、『お下がりください、お下がりください。電車が遅れます』と促して、そのまま新幹線は発車していきました」
自分勝手な主張を繰り返し、駅員を威嚇
激高した男は駅員に駆け寄り、ねちねちとクレームをつけだした。「駅員に駆け寄り、『どうしてくれるんだよ。乗り遅れてしまったじゃないか。カバンは車内にあるんだぞ。
一方で駅員は極めて冷静に対応していた。
「『もう発車していますから。一度閉まったドアが開くことはありません』と言っていました。男は『少しぐらい開けてくれたっていいじゃないか。在来線だったら、開けてくれるだろ。そんなケチくさいことがあるのか』と自分勝手な主張に終始していて。徐々にヒートアップして、駅員を威嚇しているように見えました。正直、めっちゃダサいですよね」
駅員に掴みかかろうとして…
駅員に怒りをぶつけていたという男。いったいどうなったのだろうか。「駅員に大声で『納得できない、開けるべきだ』などと叫び続け、掴みかかろうとしたため、別の駅員が集まってきて、ちょっとした騒動になっていました。結局、駅員室に連れて行かれ、その後はどうなったかわかりません」
尾関さんは男について憤りを口にする。
「男が買っていたのはビールとつまみですから。そんなもの、家に帰ってから飲めばいいじゃないですか。『ビールは飲みたい。でも発車時間が迫っている』という状況で、わざわざ買いに行くのが意味不明。それに発車時間に間に合わないのは自分が悪いわけですから、駅員にクレームをいれるのも不可解です。こんな自己中な男のために、発車時間が遅れなくてよかった」
1時間に数本の在来線などでは、発車間際に乗ろうとした客のために閉めたドアを開けることもあるようだが、長距離移動で定時運行が基本の新幹線では、やむを得ない事情で発車時間に遅れたとしても、開けてもらえることはほぼない。
また、最近は東海道新幹線が車内販売を原則廃止するなど、新幹線で飲食物を購入することができないケースも増えている。そのことを理解したうえで、時間に余裕を持った行動が求められる。
<TEXT/佐藤俊治>
【佐藤俊治】
複数媒体で執筆中のサラリーマンライター。ファミレスでも美味しい鰻を出すライターを目指している。得意分野は社会、スポーツ、将棋など