SNSやバラエティなどで、“あざと女子”として圧倒的な支持を集めてきましたが、このところは特に女優業での快進撃を続けています。
女性ファンの多いイメージのある森さん。そんな森さんにテレビ東京退社後に起きた意識改革や、「クリスマスや誕生日も一緒に過ごす仲」だという一番仲のいい女優さんを教えてもらいました。
SNSでは自分の好きなものを発信しているけれど
——性に奔放で男性を翻ろうし続けてきた、あざと系29歳の女性(森)が、恋愛経験ゼロの年下童貞くん(柏木悠)に翻ろうされる『年下童貞くんに翻弄されてます』。もともとは女性層をターゲットにしたLINEマンガをドラマ化しているので、男性読者のドラマ視聴はほぼ森さんがお目当てかと。森香澄(以下、森):結構過激なタイトルですけど、意外とコメディなんです。お仕事で疲れている世代の方が読まれていると思いますが、気軽に見ていただけるドラマだと思います。私もあざとさを全力で出していますが、いつものバラエティなどでの森香澄とはまた違うあざとさを楽しんでいただけていると思います。
——このところ女優としてのお仕事が多く、挑戦的な役柄も多いです。SNSやバラエティなどを含め、ご自身のなかでバランスを取りながら、ブランディングして進んでいるのでしょうか。それとも「オファーをいただけるなら」と受けてきた結果が今に繋がっているのでしょうか。
森:どちらかというと後者です。ただSNSは自分の好きなものや興味のあるもの、ファッションや、こういう角度が可愛いとか、そうした発信をしている場なので、それをどう受け取っていただけるのかは、私には基本わかりません。
「彼女にはまだカミングアウトできてません」とDMが

森:「彼女には言えません」みたいなDMはめちゃくちゃ来ます。「好きなんですけど、彼女にはまだカミングアウトできてません」とか。カミングアウトってなんだよ、と思いますけど(笑)。
——本当ですね(苦笑)。
森:そこはぜひとも自信を持っていただきたいです!
——今回は、チェリーボーイに翻ろうされる一面も出てきています。森さん自身は翻ろうする側、される側、どちらが多いですか?
森:若い時は、年上男性に翻ろうされたい願望が強かったかもしれません。そういう少女漫画が多くて、その影響もあるのかなと。でも今ってもっと多様化しているし、少女漫画自体もいろんなものがありますよね。
——未知だからこそ、年下男子には翻ろうされる“危険”があると。
森:年上の方の方が、「こう思うだろうな」といったことが想像しやすいのですが、今の子のことは、今回の柏木悠くんの演じる堂前帝都くんもそうなんですけど、思考回路がいまいちわからなくて。だから翻ろうされると思います。
チェリーボーイとの恋愛。森さんは?
——森さんの演じている今井花恋は性に奔放なところもあります。そうした女性についてはどう思いますか?森:自分の気持ちに素直だということなので、一概に悪いことではないと思います。結婚していなければ本人の自由ですし。まったくもって閉ざしてしまうよりは、いろんな人と関わるのは悪いことではないんじゃないかなと。根本に“人が好き”という部分があるからですし。
——チェリーボーイとの恋愛は、森さん個人としては、どう感じますか?
森:私自身は、経験がないんですけど、そこに対して特に意識はないです。それにチェリーボーイかどうかなんて、わからないし。
——いちいち言わないですからね。
森:人として素敵なら、チェリーボーイであろうがなかろうが、別に気にしなくていいと思います。だからノーとはならないです。だいたい最初はみんなそうなんですから。
森香澄にオファーしてくださっているのだから

森:局のアナウンサー時代よりもいろんなオファーをいただくことが多いので、自分で「これはできない」と決めないようになったと思います。たとえば、局のアナウンサー時代は、まったく知らないスポーツのことは「できないかもしれないです」と、自分を守るようなところがありました。アナウンサーとして完璧でなくちゃいけないという意識があったので。でも今は、森香澄にオファーしてくださっているのだから、それを私ができないと言うのは違うんじゃないかと。「とにかく挑戦してみよう」と思うようになりました。
——挑戦してよかったことから、何かひとつ教えてください。
森:退社して割とすぐの頃に、京都のお寺(即成院)でライブをしないかとオファーをいただいたんです。それまでライブをやったこともないし、歌も10曲ほどメインボーカルで歌うと言われたときは、さすがにできないんじゃないかと思いました。でももともと歌は好きでしたし「やります」とやってみたら、めっちゃ楽しかったんです。反響もよくて、やってよかったし、断らなくて本当によかったと思いました。
——今後、たとえばミュージカルへの挑戦などは。
森:退社したときからやりたいことのひとつに挙げていたので、ぜひやりたいです。ただ今は、ありがたいことにドラマのお仕事をたくさんいただいていて、物理的に時間が取れなくて。両立が難しい、バラエティやアナウンス業もありますし。でもいつかはやりたいと思っています。
井桁弘恵はクリスマスも誕生日も一緒に過ごす仲
——芸能界での交友関係は広がっていますか?森:もともと全然できなかったんです。特に最初の1年ほどは、「芸能人の友達ってどうやって作るの?」と思っていました。
——たとえばどなたと仲良しなのでしょう。
森:一番仲良しなのは、井桁弘恵ちゃんです。ドラマで一緒になって、一緒のシーンは多くなかったんですけど、その後ご飯に行って、それでめちゃくちゃ意気投合しました。去年のクリスマスも、井桁ちゃんの誕生日も、一緒に過ごしました。
——そうなんですね。意気投合したのはどんなところが合ったのでしょう。
森:大学を出て、そこから本格的に女優さんの仕事を始めてという人がなかなかいなかったのですが、まずそこで話ができました。彼女も、バラエティも女優さんもやっていて、同じような番組に違う回で呼ばれることが多いんです。井桁ちゃんはあざといといったキャラクターではないですけど、でも同じような位置で呼ばれたりするので、「これ、この前出ていたよね」と相談できたりもします。
——では仕事のことも私生活のことも相談できる。
森:友達だし、業界や仕事のことも相談できるし。同じ悩みを抱えていると思うだけで、気持ちが楽にもなります。すごく支えになっています。
——ありがとうございました。最後に、『年下童貞くんに翻弄されてます』を毎回見てきた、もしくは追っかけて見ようと思っている読者に、改めてひと言お願いします。
森:あざといだけじゃなくて、怒ったり、喜怒哀楽を全部出している私が見られると思います。これまで絶対見せたことがない表情も出しました。
<取材・文・撮影/望月ふみ スタイリスト/コバヤシリョウコ ヘアメイク/住本彩>
【望月ふみ】
ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi