女性が背後の男性に感じる“本当の恐怖”
私は昔からミニスカートが好きだ。女性らしさを楽しみたいし、見た目に気をつかうことは、自分にとっての自己表現でもある。だが、それが時に「危うさ」を感じることもゼロではない。特に気になるのは、上りの階段やエスカレーター。恋人や夫でない、見知らぬ男性が背後に立つと、つい「スカートの中をスマホで撮られたらどうしよう」などと思ってしまう。「自意識過剰かも」と苦笑しながらも、体はやはり緊張している。
しかもこれはミニスカートに限らない。パンツスタイルの日でも「ヒップラインを見られている?」と意識してしまう瞬間はある。もちろん、すべての男性にやましい意図があるわけではない。だが、ひと握りの“悪意ある視線を向ける男性”や、世間で耳にする痴漢事件などが、女性に無意識の警戒心を植えつけてしまうのも、また事実なのだ。
こうした「背後の気配」に対する女性の反応を、あくまで一例だが3タイプにわけて分析してみた。
①背後に立たれると不安を感じる「敏感タイプ」
このタイプの女性は、服装やシチュエーションに関係なく、背中に他人の気配を感じるだけで緊張してしまう。筆者が実際に聞いた話で「何かされるのでは?と身構えてしまって、息づかいが聞こえるだけで全身がこわばってしまう」「たとえ親しい人でも、恋人以外の男性が背後に立つのはやめてほしい」といった声もあった。
この反応は、性格や過去の体験に根ざした、いわば感受性の個性だ。
②見られても気にしない「無頓着タイプ」
このタイプの女性は、ヒールで美しい脚を見せることに自信を持っていたり、そもそも「誰かに見られること」に、特にストレスを感じない。ある友人はこう話していた。
「見せたいと思ってるわけじゃないけれど、“女性は見られてなんぼ”という気持ちもゼロじゃない。見られることは女として誇らしい」
こういった無頓着タイプの女性は、「見られること=注目される快感」との認識が強いため、不安になることは少ない。とはいえ、電車や駅、エレベーターなどの混雑する場面では、周囲の女性が不快にならないような服装や振る舞いを意識すると、より洗練された印象になるだろう。
③その日の服装や状況によって不安になる「バランスタイプ」

恋人やパートナーの前では平気でも、知らない男性が真後ろに立つと落ち着かなくなる……といった感覚を持っているのがこのタイプだ。
そういった女性は、「今日はちょっと気になるかも」と思ったとき、素直に行動で表すのが一番。さりげなく一段前に出る、階段の端に立つ、ストールやカーディガンで隠すなど、「自分なりの安心ポイント」を知っておくと心強い。
また、身近な知人には「服装によっては人の視線が気になる」と、日頃から軽く共有しておくことで、よけいな気づかいをせずにすむだろう。
知らない人でも「相手を思いやる気持ち」が大切
人間の感覚は、本当に人それぞれ。たった一段の階段、たった一歩の位置。そこに、相手を思いやる「心の位置関係」がにじみ出る。駅の階段で見知らぬ女性が目の前を歩いていたら、不安感を与えないよう、少し距離をとるなどの思いやりをもった行動を心がけてみてほしい。
親しい男性の場合でも、相手を思いやる何気ないひとことが、女性の緊張をそっとほぐす。小さな距離が、見えない「心の段差」まで、ふんわりと埋めてくれるのかもしれない。
文/蒼井凜花
【蒼井凜花】
元CAの作家。日系CA、オスカープロモーション所属のモデル、六本木のクラブママを経て、2010年に作家デビュー。TVやラジオ、YouTubeでも活動中。