元ディーラー勤務の筆者ですが、代理店型とネット型の自動車保険の両方に加入した経験があります。今回は、筆者が感じた「ネット型保険の盲点」について紹介します。
車両保険に入れない車種がある
ネット型自動車保険は保険料が安いという特性上、部分的な制約が存在します。保険会社によって基準が異なりはしますが、車両価格の高い高級車やスポーツカー、車の価値が明確にできない旧車などがそれに当てはまります。SNSを見てみると、アメリカの電気自動車メーカー・テスラ社製の自動車が車両保険NGになったという投稿もあります。テスラは一回の修理費用が高額になると言われており、それが原因ではないかと思われます。
契約できない特約に違いがある
代理店型であってもネット型であっても、自動車保険で契約できる内容は基本的に一緒です。ですが、保険会社によっては新車から一定期間しか加入できない“車両新価特約”が契約できないなど、若干の違いがあります。また、同じ特約であっても支払われる保険金に差があります。例えばクルマが全損になった場合、クルマの再取得費用が補填される「車両全損時復旧費用特約(保険会社により名称が異なる)」の場合、上限100万円下限10万円支払われる代理店型もあれば、車両保険金額の10%(上限20万円)しか補填されないネット型もあります。
保険会社により商品性が異なるということは理解しておく必要があるでしょう。
融通が効かない部分も…

以前、車両保険を使う事故に対応した際のエピソードを紹介します。
特約でレンタカーを借りたお客様が、車両の損害額が確定するまで借りたレンタカー代をネット型の保険会社が「車を修理しないのなら保険金を支払わない」と支払い拒否したのです。
営業マンとしては「支払われた車両保険のお金を修理ではなく買い替えに充てましょう」という提案をしたかったのですが、いくら交渉してもそれができない状況。代理店型の自動車保険なら、買い替えや廃車であっても保険金とレンタカー代を支払ってくれたのですが、それを頑なに拒否。ネット型は修理する工場を指定する事例もあるようで、いかに支払う保険金を抑えたいのかが伝わってくる出来事でした。
ネット型は“お値段どおり”の対応をされる
必ずしも高い保険料を支払っている代理店型の自動車保険が良いというわけではありませんが、保険料の安いネット型自動車保険の事故対応にやや不満の残る部分がありました。私の妻が通勤中に車との事故に遭った時の相手方損保がネット型だったのですが、連絡が遅く、かつ被害者である妻に対しても高圧的な態度を取ってきました。治療費や慰謝料など、少しでも保険会社の負担を減らしたいのはわかりますが、露骨な対応をされて嫌な思いをしました。女性相手ということもあったのか、対応がひどいなと感じました。ネット型の担当者がすべてそうした対応とは限りませんが、そのへんは、“安かろう悪かろう”と思った次第です。
<文/宇野源一>
【宇野源一】
埼玉県在住の兼業ライター。大学卒業後、大手日系自動車ディーラーに就職。その後、金融業界の業務・教育支援を行う会社に転職し、法人営業に従事しながら、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP資格を取得。