今年も“うなぎ”の季節が到来しています。毎年恒例でレポートしている大手牛丼チェーンのうな丼/うな重の食べ比べ。
今年は米高騰問題もあり、どんな様相になっているのか気になるところです。そして最近、“ライバル”としてじわじわ評価が広がっているのが、「オリジン」。オリジンは全国に531店舗(キッチンオリジン:385店舗、オリジン弁当:23店舗、オリジンデリカ:64店舗、れんげ食堂Toshu:58店舗)を展開しているイオン系列のチェーン店ですから、牛丼チェーンに匹敵するような選択肢になりうるのかを検証する価値はありそうです。
結論から申し上げれば、2025年は実力の差が例年以上に際立つ結果に。そしてこれまでの選択肢に大波乱が起きたことは間違いありません。各店のスタンダードなうな丼/うな重を比較実食し、各店の特長や強みをまとめました。ごはんの食感や食べ心地は4店ともに申し分なく大きな優劣を感じなかったため、鰻、タレ、全体バランスを重視しながら強みや違いをチェックすることに。

食べた時のインパクトを重視しながらご紹介していきましょう。後に行けば行くほど「感動が強かった」と認識していただけますと幸いです。

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松屋:最もサイズ小。自慢の4度漬け4度焼きで香ばしさ◎

【うな丼レビュー2025】「吉野家、松屋、すき家、オリジン」を比較。“実力の差”が例年以上に際立つ結果に
うな丼980円
最もコンパクトで控えめな印象が強い松屋。今年も3店の中では全体重量、うなぎ重量ともに最軽量でした。
鰻は昨年の78gから11g減っています。しかしながらうなぎのおいしさや食べ心地は重量だけでは語れません。

【うな丼レビュー2025】「吉野家、松屋、すき家、オリジン」を比較。“実力の差”が例年以上に際立つ結果に
焼き加減や香ばしさが魅力。しっかりした食べ応えがある。
松屋こだわりの4度漬け4度焼きは今年も健在。後味の良いメリハリあるタレで丁寧に焼き上げられており、うなぎの弾力感や香ばしい焼味は、おいしい個性として際立っていました。しっかり固めの食べ応えを感じる厚みや食感は、「柔らかすぎる鰻は苦手」という方にはピッタリでしょう。うなぎ自体の味わいがシンプルに堪能できる純朴感が魅力です。

【松屋・うな丼データ】
うな丼980円
うな丼ダブル1680円
うな丼トリプル2380円
全体重量:297グラム
うなぎ重量:67グラム
サイズ:幅8センチ×長さ8センチ
※うなぎ重量、サイズは全店ともにスタンダードな並サイズを軽量、全体重量は容器を除いた数値です。
※サイズはカットされた状態での大きさを計測、個体差があります。

すき家:濃いめのタレが絡んだ重厚感。バランス感が強み

【うな丼レビュー2025】「吉野家、松屋、すき家、オリジン」を比較。“実力の差”が例年以上に際立つ結果に
うな丼並盛980円
四角形のお重型容器がおいしそうに見えると評判のすき家。確かにすき家の容器には丁寧な雰囲気とごちそう感が漂います。うなぎは松屋同様に昨年から5g減っています。
うなぎのサイズ感は松屋よりもやや大きく、食欲を刺激されるポイントは焼き感よりもタレ感にあります。タレの味はしっかり濃いめで、ごはんにもたっぷり染み込んでいるのが嬉しいポイント。

【うな丼レビュー2025】「吉野家、松屋、すき家、オリジン」を比較。“実力の差”が例年以上に際立つ結果に
タレの濃厚感とごはんとの絡みが最大の魅力
うなぎの食感は柔らかすぎず固すぎずの中庸な焼き加減で、タレとのバランス感がとにかく秀逸でした。冷めても美味しいのも大きな魅力で、見た目よし食べて納得のバランス感を重視するならすき家がオススメです。

【すき家・うな丼データ】
うな丼並盛980円
うな丼ごはん大盛1020円
うな丼特盛1680円
全体重量:335グラム
うなぎ重量:67グラム
サイズ:幅7.5センチ×長さ11センチ

吉野家:頭一つ飛びぬけた芳醇なウマさ

【うな丼レビュー2025】「吉野家、松屋、すき家、オリジン」を比較。“実力の差”が例年以上に際立つ結果に
鰻重一枚盛 1251円
うなぎのボリュームで圧倒的な強みを持つのが、吉野家。すき家や松屋と同様、うなぎ重量は減っている(マイナス26g)ものの、2店に比べて1.5倍以上といううなぎ重量は、特筆すべき魅力です。食べてみると、全体的にふっくら柔らかでありながら、身から皮までの弾力感もあり、ふくよかなタレとの相性はバツグン。

【うな丼レビュー2025】「吉野家、松屋、すき家、オリジン」を比較。“実力の差”が例年以上に際立つ結果に
香ばしさを感じながらも、しっとり芳醇な食べ心地に驚きます。
甘味がありながらもキレのあるタレと焼き加減が見事に絡み合うことで、なんとも言えぬ芳醇な味わいに心酔してしまいました。うーん、正直なところ頭飛びぬけて美味!これまで吉野家はがっつり食べたい派に推奨してきましたが、グルメ派にも◎。「2店に比べてちょっと価格が高くても満足度にこだわりたい」という人にはピッタリです。

【吉野家・鰻重データ】
鰻重一枚盛 1251円
鰻重二枚盛 2087円
全体重量:390グラム
うなぎ重量:106グラム
サイズ:幅8センチ×長さ12センチ

オリジン:ずっしり濃密なおいしさは感動級

【うな丼レビュー2025】「吉野家、松屋、すき家、オリジン」を比較。“実力の差”が例年以上に際立つ結果に
うな重(中国産うなぎ)1058円
なんとうなぎの重量は、吉野家を超すナンバーワン。高級感のあるお重スタイルは、弁当チェーンの強みを大いに発揮している証とも言えるでしょう。そして肝心なうなぎは臭みが一切なく、ジューシーで脂身を感じる濃密な味わい。
やばい、おいしすぎる。時間が止まるほどの強い感動と感激が押し寄せたのです。

【うな丼レビュー2025】「吉野家、松屋、すき家、オリジン」を比較。“実力の差”が例年以上に際立つ結果に
オリジンのうな重は王道かつ、イオンのノウハウが詰まった逸品だ
牛丼チェーン3店と比較した場合、焼き方やタレに強い個性を出すことなく、奇をてらうことなく仕上げられたうな重には、多くの人が納得するような王道さがありました。別添のたれで味調整ができること、漬物の存在にも喜びが深まります。ごちそううなぎ、ココにあり。小売最大手でありながら、弁当・惣菜事業で圧倒的なノウハウを持つイオンの実力に脱帽してしまうような逸品と言っても過言ではありません。

【オリジン・うな重データ】
うな重(中国産うなぎ)1058円(※実食したもの)
鹿児島県産うな重2268円
全体重量:297グラム
うなぎ重量:109グラム
サイズ:幅10センチ×長さ8センチ+尾部分幅1.5センチ×長さ8センチ

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今年は4店ともに個性が際立つ面白い結果になりました。しばらく続きそうな酷暑に負けないよう、自分好みのうなぎをご堪能ください!

<TEXT/スギアカツキ>

【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。世界中の健やかな食文化を追求。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)が好評発売中。Twitterは@sugiakatsuki12。

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