就職難にはじまり、非正規雇用になって低年収のまま年齢を重ねてしまった就職氷河期世代は多い。そして、ここにきて大増税に物価高、将来は親の介護に老後破綻リスクと困難が続く。
今回は「40代で考える自分自身の評価」について。ひろゆき氏いわく「氷河期世代の評価は、スキルなんて関係なく「稼げるか」で決まる」という。その真意とは?
子どもと社会人では評価される「頭のよさの基準」が違うように、社会人でも若手と40~50代とでは評価される基準は違います。
例えば20代は未経験でスキルがなくても、美人・イケメンで真面目そうなら面接で採用されることは普通にあります。しかし、40~50代だと外見なんて超どうでもよくて、もし未経験でスキルがなかったら、「この人は今まで何をしてたんだろう?」と疑問視されるのが普通ですよね。出身大学とかも20代なら有名大学出身は評価されますが、50代で有名大学卒を自慢している人がいたら「学歴以外に誇れることがないヤツ」という烙印を押されかねません。
資格とかも若手が取得すれば採用側も未来を考えますが、40~50代だと経歴や資格、スキルや能力はマジでどうでもよくて、「それを使って、何ができるのか?」「お金を稼げるのか?」「どんなコネがあるのか?」といった業務経験でしか評価してもらえません。むしろ無資格・低学歴でも「稼いでくれる人」のほうが評価は高くなります。
例えば、オンライン配信で食っている40代のユーチューバーとかいますが、彼らが「頭がいいのか?」と言えば、そうでもない。でも、彼らの動画を見る人がいて収入がある時点で、頭の良しあしはどうでもいい。だから大手企業でも彼らにPR案件を持ち込むわけです。
もちろん、スキルがお金を稼ぐために役立つ場合もあります。でも、社会人としてそのスキルでお金を稼げなければ、単なる特技や趣味。ピアノが弾けることは、練習が必要なスキルですけど、ピアニストでもなければただの趣味なのです。
管理職経験がない人は、なぜ評価されないのか
つまり、氷河期世代が若手と同じようにスキルを磨くのは得策ではないという結論になります。それなら今の仕事で頑張って「前職ではこんな仕事をして、月給はこれくらいもらっていた」と言ったほうが信頼されるし、転職もしやすくなります。とはいえ、現場の最前線で闘い続けるのも厳しい道です。即戦力になる高いレベルのスキルでも持たない限り、体力と未来のある若手と比べて優位性を確保できません。
なので、氷河期世代は管理職側での経験を増やしていくのが一番の近道ではないかと。管理職になって業務を組み立てられるようになれば、既存の取引先と仲良くなって外部とのコネができたりもします。これは他社からすれば、喉から手が出るほど欲しい経験値なものです。
あと、管理職になって人に指示が出せるようになれば、現場を仕切る能力があるということなので即戦力として見てもらいやすい。ただ、人を使う能力は、人を使うようになってから磨かれるものなので、早めに管理職になったほうが経験を積める。
構成・撮影/杉原光徳(ミドルマン)
―[ひろゆきの兵法~われら氷河期は[人生後半]をどう生きるか?~]―
【ひろゆき】
西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』