「作品へのボルテージは下がっていない。むしろ年々上がっている」
そんな彼女も今年10月でデビュー6年目を迎える。改めて、これまでセクシー女優として歩んできた軌跡、今後のセカンドキャリア、さらに『地面師たち』での裏話まで、赤裸々な本音を語ってもらった。
事務所の社長が初対面の私に「君は日本一になるべきだ!」

「今の事務所の社長から、たまたま大阪のカフェで声を掛けられたことがきっかけなんです。セクシー系のお仕事の会社で、当時から人気だった葵つかささんのいるところだって説明をされました。でもその時に、『君は日本一になるべきだ!』って真面目に断言してきたんですよ。初対面の私に!」
――それを聞いて、率直にどう思いましたか?
「ぶっちゃけ『変なおじさんキター!』ですよ(笑)。結局は脱ぐのが嫌だったのでお断りしたんですけど、面白い方だったので、それからたまーにご飯を食べに行くような関係が続いて、気づいたら3年くらい経っていましたね」
――その当時、美乃さんはどのようなことをしていたのでしょうか。
「栄養士の専門学校に通っていました。その後は石垣島に移住してリゾートバイトをしつつ、新規の事業を立ち上げるために頑張っていましたね。でも、ついに始めるぞってワクワクしていた時に、直前でその話がダメになっちゃったんですよ。本当にショックでした。かなり心にダメージを負って、石垣島を離れて大阪に戻って。
――「セクシー女優をやってみよう』と?
「はい。思いきって社長に『私でもまだ、できますかね?』って連絡をしました。そしたら雑誌のグラビアが決まって、専属女優の契約も決まって、見事に華々しいスタートを切ることができたんです」
――やると決めてからの話が早い(笑)。
「もともと行動力は人一倍なんですよ。だからこそ新規事業の件は堪えましたし、代わりに支えてくれるものが欲しくなったんです。最終的にデビューを決めたのは自分ですから、やるからにはトップを目指す意気込みで新しい世界へと飛び込みました」
セクシー女優として抱いた疑問「“トップ”って何だろう?」

「だんだん年数を重ねてきて、『トップって何だろう?』という疑問を抱くようになりました。トップになるとは、明日花キララさんや三上悠亜さんのように知名度を上げることなのか、それとも作品の売り上げを伸ばすことなのか……。いろいろ考えた末に、私は『ならば、その中で自分の個性をどんどん出そう』という方向にシフトしました」
――美乃さんの個性とは?
「いい意味でも悪い意味でも、“女優っぽくない”ところですね。私、お姫様扱いされることが苦手なんですよ。そもそも、自分にスポットライトが当たることが好きじゃない。アイドルにはなれない。向いていない。実はちやほやされたいわけじゃないって、女優になってから気が付きました」
――だとすると、セクシー女優をやっている自分に対して少々葛藤が生まれてしまったのでは?
「葛藤はありました。
――そこまで思い詰めていた時期があったとは。
「でも、2年くらい前から周りも『美乃ちゃんはナチュラルなまま出てもいいんじゃない?』って空気になってきたんですね。おかげで素の自分を出せる場所がだんだんと増えていきました。業界が本当の意味で居心地良くなってきたんです」
――今はもう「辞めたい」という思いはなくなりましたか?
「ないです。それに、デビューからずっと『作品に出ることが好き』っていう気持ちは変わっていないですね。作品へのボルテージもぜんぜん下がっていません。むしろ年々上がっているかもしれないくらい」
――作品に対する情熱は消えることなく燃え続けていた、と。
「私は企画の立ち上げや制作の段取り、現場の人たちのリアルな気持ち……そういった裏のところまで知ってこそ、愛をもって作品に没頭できるセクシー女優なんだと思います。最近ではメーカーの企画会議にも参加しているんですよ。過去の出演作で私の企画が通っているものもあります」
――そこまでやっているんですか。すごい!そういえば、最近SNSにアップしている男優さんとのショートドラマも、もしかして……?
「はい、私が企画立案しました。
『地面師たち』出演で大きな話題に

「監督からの名指しでのオファーです。『君ならこのくらいの芝居はできると思うから』という言葉をいただいたので、きっと私の作品を見てくれたんだと思います」
――濡れ場のシーンでしたが、相手役は俳優の山本耕史さん。どんな印象を抱きましたか?
「オーラはすごかったですけど、とっても気さくな方でしたね。スタッフさんからなぜか『先生』って呼ばれていました。私のことも気にかけてくださって、台詞のトーンのアドバイスまでしてくれました」
――ちなみに、濡れ場はどのように撮影していたのですか?
「2人とも前張りをして、山本さんは腰にクッションを挟んでいました。かなりやりづらそうでしたね~。体勢がキツいうえに長台詞まであったので、『こんなにしんどいんですね……』とこぼしていたのが印象的でした(笑)」
――今後、セクシー女優としてやってみたいことがあれば聞かせてください。
「まだまだ作品には出続けるつもりです。セクシー女優としてこの業界でさらに活躍したいだけです!」
――引退後のセカンドキャリアについて考えていることはありますか?
「まだ先の話になると思いますが、逆に海外移住がしたいです。できればリゾート地で暮らしたい!そのためにも今から休みがあったら、海外の色んなところに行って、どこが自分に合っているか視察するようにしているんです」
――先の話のわりに、けっこう具体的に動いていますね。
「私は本当に人ごみが苦手で、東京に住み続けることはきっと無理だと感じているんですよ。できるだけ自然と触れ合いたいですね。特に海の生物にめちゃくちゃ興味があるので、研究とかもしてみたいです。アサリの砂吐く姿とか、延々と見ていられるタイプなもので(笑)」
――ありがとうございました!
<取材・文・撮影/もちづき千代子>