大久保公園で行われる個人売春が世間を賑わせてから、ずいぶんと時間が経った。立ちんぼが横行し始めた頃は「令和の時代にこんなものが流行るなんて!」と多くの人が驚いたが、今となっては日常の光景と化している。
人間の“慣れ”とは恐ろしいものだ。
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 現在は警察もパトロールを強化し、人が次から次へと押し寄せる事態は減ったと聞く。しかし、立ちんぼそのものの根絶は困難を極めており、現在も稼ぎと娯楽を求めて訪れる男女は絶えない。

 そこで私は「最新の大久保公園事情」を調査するため、新宿歌舞伎町へと繰り出した。

女性4人逮捕報道以前の大久保公園の様子

 2025年7月末、大久保公園周辺で個人売春をしていた女性4名が逮捕された。ただ、その報道が出る前にも一度調査として現場を訪れている。

 とある金曜日の深夜0時付近。別の仕事帰りに大久保公園周辺を通ったが、賑わいっぷりが「想像通り」すぎた。スマホをいじりながら立ち尽くす女性に交渉する中年男性。そして冷やかしでウロつく若者たち、カメラで動画撮影を行う外国人などで溢れていたからだ。

 大久保公園が話題に取り上げられた当初は、いつ何時でも人間が絶えなかったのだが、ここ最近は夜間21時~深夜にかけてがメインタイム。ここに存在する人々は報道から見えるイメージ通りの人たちで、人通りが増える時間帯も全てが“テンプレート”だった。

 もっともホットな時間帯に女性1人が公園周辺に立つのは、極めて危険である。
私は下がってきた靴下を伸ばすべく、ほんの少しだけ立ち止まったところ、即座に男性から「いくら?」と声をかけられてしまった。

 もしかすると“公園界隈”をはびこる人間からすると、「この場に静止する=ウリ」という判断なのかもしれない。取材の旨を伝えて「おじさん、あなたの写真撮って良い?」と言ったら秒で逃げられたが……。彼はその後、性懲りもなく別の女性に話しかけており、あまりの必死さに私は閉口した。

報道直後は売り手ゼロ?

 そして、7月末に大久保公園で売春していた女性4名が逮捕。この手の報道は今に始まった話ではないが、何度似たようなニュースが流れても立ちんぼが一向に消えないため、私は報道直後にも公園を訪れた。「報道があると人が減ったりするのだろうか」と、ちょっとした疑問が湧いたからだ。

 夕方18時半頃に訪れたら、見事にガラガラで予想は的中。まぁ時間帯が早いのも関係するとは思うが、まず売り手がいない。

大久保公園「立ちんぼ最新事情」を元セクシー女優が潜入取材…ほんの少し立ち止まっただけで「いくら?」
個人売春をしていた女性4名が逮捕され、その報道が流れた直後の大久保公園は人通りがいつも以上に少なかった
 女性を探す男性が、ふらりふらりとウロつく程度で、閑古鳥が鳴くとはまさにこのことである。

 ここで売買を行う人間にも危機感はあるようで、みんな一時期に姿を消しているのかもしれない。恐らくほとぼりが冷めたら、また元通りになるのだろう。

 しばらく観察していたが日本人女性は全く現れず、私自身が声を掛けられることもなかったため、この日は早々に退散した。


深夜に売り手女性が談笑する様子も…

大久保公園「立ちんぼ最新事情」を元セクシー女優が潜入取材…ほんの少し立ち止まっただけで「いくら?」
元セクシー女優で現在はフリーライターの「たかなし亜妖」
 さらにその数日後、深夜0時付近に訪れてみたが、やはり以前に比べると人は激減。公園向かいの病院前に女性たちがずらりと並び、談笑しつつ暇そうにしている。

 売り手にもコミュニティがあるらしく、最近は街頭に立ちながらキャッキャとはしゃぐ女性たちをよく見かけるようになった。声がかかるまではスマホをいじる以外にやることがないだろうし、同じような生き方をしている者同士で喋れば時間を潰せるため、活動していくうちに自然と輪が広がるのかもしれない。女性たちは「早く帰りたい」「病んだ」と口にし、客を待ち続けている。

 また、界隈における“コミュニティ”は、どうやら買い手にもあるようだ。彼らの場合は、現地で知り合うよりも、Xを始めとしたSNSや掲示板で繋がり、意気投合をする。よく考えると「違法な売春を一緒に」なんて怖い話だけれど、買い手も売り手もオトナのお店にいる気持ちとは何ら変わりないのだろう。

個人売春はなぜなくならないのか

 たとえ報道により売り手・買い手ともに減少しても、大久保公園の異様な光景は相変わらずだ。人目なんて気にしていたらこの付近をウロウロできないのは百も承知だが、常道を外れた人々の様を目にしたら「夏の怪談より恐ろしい」という感想を抱かざるを得ない。

 悲しいかな、立ちんぼという違法な商売は見事に成り立ち、定着してしまっている。大きな問題として取り扱われるのにも関わらず、未だ参入する女性や買いにやってくる男性がいなくならない。「どう考えても良くないこと」なのに、感覚を麻痺させた人間が山ほどいるようだ。


 おそらく、相当傷ましい事件でも起きない限り、今後も個人売春は続くのだろう。数日間にわたって調査を続けたが現代人のマイナスな面ばかりを目にしたため、もっと問題を深刻化する必要があると筆者は思った。

取材・文/たかなし亜妖

―[元セクシー女優のよもやま話]―

【たかなし亜妖】
元セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。
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