将来の親の介護を冷静に分析
「将来、親の介護に直面した場合、24時間つきっきりで見るつもりはありません」そう断言するのは、お笑いコンビ「メイプル超合金」の安藤なつ氏だ。現在44歳で氷河期世代の一人でもあり、芸人活動の傍ら20年以上介護の現場に立つ彼女は、将来の親の介護を冷静に分析する。
「気持ちを切り離すことができないのが家族なんです。仕事ならたとえ利用者さんに罵倒されても『体調が悪いのかな?』と冷静に行動の背景を慮ることができる。しかし家族となると愛情があるがゆえに線引きができず介護する側が疲弊してしまう。これが家族介護の難しさです」
日本に強く根付いた社会規範
しかし、日本ではいまだに「親の面倒は子どもが見るべきだ」という社会規範が根強い。「自宅で見るのも立派な愛情。けれど、もし共倒れのリスクが少しでもあるなら、そこは無理してほしくないですね。私の場合、父は介護を待たずに急逝しましたが、もし母の介護が必要になったら、プロに任せるつもり。本人も『ほっといてくれ、適当にやるから』と言ってます(笑)」
「すべてを自分だけで背負おうとしなくていい」

「なにかと自己責任感が強い世代といわれていますが、親の介護にすべてを捧げてしまうと、親の死後に“燃え尽き症候群”に陥ることもあります。なにより介護離職だけは絶対に避けてほしい。
もし、『親がおかしいな?』と思ったら、親が住んでいる地域の役所の高齢者福祉課に連絡してみてください。
プロに任せるのも親孝行
家族の介護は無理に抱え込まず、プロに任せる。これも立派な親孝行なのだ。【安藤なつ氏】
小学1年生の時、伯父の運営する障害者施設で介護に触れて以降、介護に携わる。著書『介護現場歴20年。』(主婦と生活社)など
取材・文/週刊SPA!編集部
―[[貧困介護]の現実]―