本記事では、歯科医療の現場での実際の診療経験をもとに、「正しい歯医者の通い方」について詳しく解説します。
定期検診で得られるメリット

・初期のむし歯や歯周病の早期発見、進行予防改善対策が練れる
・歯石やプラークの除去による口腔内の清潔維持
・かみ合わせや詰め物の不具合のチェック
・セルフケアの確認、歯磨き指導
・信頼関係が築きやすく、口臭や着色、歯茎の違和感など悩みの相談ができる
健康の維持は、治療と違って前後の比較ができないことから、なかなか価値が実感できないものです。しかし、痛い治療を行わず、見た目も機能性も良好な生まれ持った自身の歯や歯茎を何歳になっても維持することで、全身の健康も守られたらとても良いですよね。
歯医者に行くべきタイミングは?

そのため、症状が出てからの来院では遅いことが多く、健康なうちの受診が理想的です。
特に現在、次のようなサインがあれば、早めの受診をおすすめします。
・歯磨き時、歯茎からの出血がある
・歯茎が腫れぼったい
・かんだ時に違和感がある
・歯茎がむず痒い、浮いた感じがある
・歯茎が下がった、歯が長くなった気がする
・冷たいものや甘いものがしみる
・歯がグラグラする、噛み合わせが変わった
・口臭が気になる
・詰め物や被せ物の違和感・脱落
これらの症状は歯や歯茎に異常が生じているサインです。
検診は1年に1回で充分?

むし歯が見られず歯茎の状態も良好、過去の治療経験も少なく、現在の歯磨きなどの生活習慣、全身の状態も良好な場合は、半年から1年に1回の検診でも問題はありません。

一時的な改善が見られても、歯磨きが面倒になったりモチベーションの低下が考えられ、リスクがまだ高い状態であることから、しばらくは短い間隔での検診を行います。
子どもや高齢者、全身疾患を持つ方は特に注意

また、高齢者は歯茎の退縮やドライマウス、義歯のトラブルなども起こりやすくなります。仕事を退職され、家で過ごす日が多くなると、歯磨きも疎かになってしまう場合も多いです。

セルフケア+プロケアで理想のお口環境を
歯科受診の頻度だけでなく、日々のセルフケアも大切です。適切な歯磨きやフロスの使用、舌ブラシの活用など、毎日の積み重ねがお口の健康を支えます。歯医者では正しい歯磨きの方法や、個人個人に合ったデンタルケアグッズのアドバイスも受けられます。セルフケアの効果を底上げするためのプロケアも受けて理想のお口環境を得たいですね。お口の状態やライフスタイルに合わせて、最適な通院サイクルの提案を受け、不安や疑問があれば、遠慮なく歯科医院に相談し、専門家のアドバイスを参考にしましょう。
<文/野尻真里>
【野尻真里】
一般診療と訪問診療を行いながら、予防歯科の啓発・普及に取り組んでいる歯科医師です。「一生涯、生まれ持った自分の歯で健康にかつ笑顔で暮らせる社会の実現」を目標にメディアで発信をしています。