新日本プロレスの人気プロレスラーにして「100年に一人の逸材」と言わしめ、第11代社長(’23年12月就任)も務める棚橋弘至が、日々の激務のなかでひらめいたビジネス哲学を綴っていく。今回は仕事ができる男の入場曲について。
目標を決めたら走り出すのみ?
来年1月4日の東京ドーム大会で、プロレスラーを引退することが決まっています。新日本プロレスでは、棚橋の引退までのカウントダウンの日数がわかる特設サイトを作っており、見るたびに減っていく数字を見ながら「早いなぁ」と、震えるこの頃です。この原稿を書いている8月12日現在、棚橋の引退まで、残り145日。しかし、「あと145日しかないじゃん!」と、落ち込むわけでも諦めるわけでもなく、すぐに気持ちを切り替えられるのが、僕のいいところでもあります。そう、過ぎてしまった時間を嘆くのではなく、残された時間で何ができるのかを考える。こっちのほうがいいですよね。
では、残りの時間の最も効果的な過ごし方を考えていきましょう。しかしながら、145日は中途半端なので(笑)、「残り100日」でネット検索すると、「100日でできること」がいろいろ出てきました。【自己成長】【新しい習慣の確立】【新しい趣味を見つける】【ブログを執筆する】(←もう15年以上書いてる)など。そして、ダメ押しのようにAIはこう言います。「100日という期間は、目標を達成するために十分な期間」「たいていのことは100日あればうまくいく」と。おい! AIさんよぉ……そこにある「やんごとなき事情」は考慮してもらえないのかい? え、無理!?……無理なんですって。
まず、第一は【肉体改造】ですね。引退試合を「これじゃやめなきゃだめだよね」って思われるのか「まだまだすごい体じゃないか!」と惜しまれながら去るのかでは、老後に武勇伝を語る折、僕の脚色の度合いも変わってきてしまう(笑)。なので、残りの期間、現役で「一番練習した!」と言い切れるよう過ごします。
続いて【メディアへの露出度アップ】。僕は、自分の知名度を上げることが、プロレスの集客につながると信じてきました。僕の引退試合をフックに、新日本の所属選手に目が向くような、応援したい選手が見つかるような、そんな未来への懸け橋のような大会になればと考えています。

ね? 十分な時間じゃないですか?「若いときの苦労は買ってでもせよ」って言うし、「男子三日会わざれば、刮目して見よ」とも言います。
つまり、今回僕が何を言いたかったかというと、目標を決めること。走り出すこと。そのタイミングは「今」だってこと。「今」を大事に過ごさないと、願う未来は、やって来ない。皆さんは、毎日、丁寧に過ごせていますか?
今週のオレ社訓 ~This Week’s LESSON~
目標を決めること。走り出すこと。そのタイミングは常に「今」<文/棚橋弘至 写真/©新日本プロレス>
―[新日本プロレス社長・棚橋弘至のビジネス奮闘記~トップロープより愛をこめて]―
【棚橋弘至】
1976年生まれ。新日本プロレスの第11代社長(’23年12月就任)であり現役プロレスラー。キャッチコピーは「100年に一人の逸材」。得意技は「ハイフライフロー」。