見捨てられた世代として、注目を集める就職氷河期世代。選挙でもテーマとなる「賃金上昇」からも見捨てられ、将来不安しか残らない。
そんなひろゆきが今回は「人生の折り返し地点」で考えるべきことは「自分の強みは何かではない」という。「そんなの無駄!」と一蹴する真意に迫る。
不安になる人生の折り返し地点。ムダに「自分の強み」とか考えないほうがいい
40代くらいになると、人生の折り返し地点で不安になる人が増えます。僕ら氷河期世代はまさにその真っただ中で、自分への“問い”みたいなものが出てくる年代でもあります。「人生このままでいいのか?」、「自分の仕事の強みはなんなのか?」なんてことを考えたりしますよね。だからといって「新しいことに挑戦すればいい」とは言えません。中高年で脱サラ起業、みたいな話は『SPA!』でも紹介されていますが、あれは成功例を取り上げているだけで、現実ではほとんど悲惨な状況に終わります。
そもそも、今の時代は氷河期世代が培ってきた「努力すればなんとかなる」という昭和的な考えが間違っている時代になりつつあります。
しかも氷河期世代が若い人に勝てない部分もある。フェイスブックやスナップチャット、ディスコードなどのITツールは若者が作ったものばかりだし、日本でも流行っているBeReal.もフランスの若者が立ち上げたもの。つまり、ユーザー感覚に一番近い若者が作るサービスのほうが当たる確率が高いわけで、氷河期世代が思いつきでサービスを立ち上げても、なかなか難しいのが現実なわけです。
暗号通貨とか情報商材にお金を突っ込んで失敗するのも、時代に乗り遅れた感覚で適当な情報に飛びつくから失敗するわけです。
成功していない人には、強みなどないのが現実
もちろん、不安になって次を考えてしまう気持ちはわかりますが、だからといって「自分の強みはなんなのか?」とか考えないほうがいいのです。強みがあるということは、他者と比較して優秀な結果を出せるということ。つまり強みがある人はすでになんらかの成功をしているはずで、その実績やノウハウがあるなら、同じようなことをやりたがっている会社に行くこともできます。でも、氷河期世代で今まで成功していない人とかだと、強みなんてないのが現実なのです。そう書くと八方塞がり感がありますよね。
そして、それらを武器に営業職として「潰れなさそうな会社に転職する」というのはひとつの戦略です。そのうえで仕事にやりがいを求めずに金稼ぎと割り切って働き、上司や取引先に喜ばれることを地道に続ける。日本ではよほどのことがなければ解雇されないので生活は成り立ちます。
根性や努力が役に立たず感性が重視される時代のなかで氷河期世代のニーズがあるとしたら、過去に培ったものくらいです。ただ、それは同時に、“若者にはできないこと”なのです。
構成・撮影/杉原光徳(ミドルマン)
―[ひろゆきの兵法~われら氷河期は[人生後半]をどう生きるか?~]―
【ひろゆき】
西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。