ドジャースは現地27日(日本時間28日)、本拠地ドジャースタジアムでレッズと対戦。
8月は「得点圏打率.375」を記録しているが…
投手復帰から約2か月半、大谷は待望の初勝利をもぎ取り、二刀流選手として新たな一歩を踏み出した。もし本塁打が出ていれば完璧な筋書きとなっていたが、8回の第5打席に放った左翼への大飛球はフェンス直前で失速。それでも月間打率.204だった7月から一転、8月に入ってからは、打率.318と高打率をマークし、打撃に関しては“V字回復”を果たしたと言っていいだろう。さらに8月はチャンスでも粘り強い打撃を発揮。得点圏に走者を置いた場面で打率.375と高打率をマークしている。ただ、出場した24試合で、得点圏時の打席数はわずか15回。そのうち7打席が四球による出塁だ。大谷の得点圏時成績は8打数3安打。つまり、大谷は好機でほとんど打席に立っていないということになる。
春先は「ドジャース8番打者」が不振に…
熱心なドジャースファンなら、この状況に既視感があるのではないだろうか。実は今と同じように大谷がチャンスで打席に立つ機会が非常に少なかった時期がある。それが今季開幕直後の春先だ。開幕直後は大谷を含めたドジャースの上位打線に好調な選手が多かったが、主に7番以降を打つ選手がそろって低調。特に8番を打っていた打者の不振が顕著だった。
開幕から5月末までの8番打者の合算打率はわずか.205で、出塁率も.268とサッパリ。そのため走者を置いて1番・大谷に打順が回ってくることはほぼなかった。
しかも、ただでさえ少ない得点圏の場面で大谷自身も低打率に喘いでいたため、日米のファンから“勝負弱い打者”との烙印を押されたほどだ。
ケガで離脱した「キム・ヘソン」の存在
このように開幕から低空飛行が続いたドジャースの下位打線だが、ある選手が登場したタイミングでようやく機能し始めた。それが、韓国出身のルーキー、キム・ヘソンがマイナーから昇格したころである。キムは1番・大谷につなぐ役割を期待され、スタメンで起用された日は主に8番か9番を担った。途中出場なども少なくない中、キムは一時4割を超える高い打率をマーク。大谷に多くの得点機を創出していた。
ところがそのキムが左肩痛のため7月下旬に戦線を離脱。するとドジャースの下位打線は再び機能不全に陥り、今は9番打者が長いスランプに陥っている。
大谷直前で好機をつぶす“非効率打線”の現実
今月に入り、大谷の直前を打つ大事な打順を担っているのは、アレックス・フリーランド、ダルトン・ラッシング、バディ・ケネディといった若手選手が中心。彼らがほぼ日替わりで9番を打っているが、8月の合算打率はわずか.155。出塁率も.234と低く、春先と同じように大谷の直前でチャンスがついえるシーンが目立っている。どれだけ大谷の打撃が好調でも、下位打線が出塁できないとなると、その得点力は半減。打線全体で見ても、とても“非効率”といえるだろう。
キム・ヘソンが下位打線問題を解決する“最適ピース”となるか
しかし、そんなドジャース打線にまもなく明るいニュースが届きそうだ。7月29日に負傷者(IL)リスト入りしていたキムが、順調にいけば今月末にもメジャー復帰できる見通しだという。キムは約3週間にわたる休養を経て、今月21日からマイナーでリハビリ出場を開始。すると、いきなり5試合連続安打をマークするなど、左肩の故障を全く感じさせない打棒を披露している。
復帰後のポジションも左翼を中心に、中堅、遊撃など“ユーティリティー性”に磨きをかけているところ。課題とされた外野の守備に一定のメドが立てば、大事な戦力として攻守両面でチームに貢献してくれるだろう。
また、キムがメジャーの舞台に戻ってくれば、再び8~9番の下位を担う可能性が高い。出塁すれば、今季メジャーとマイナー合わせて25盗塁を記録している“足”も大きな武器となるはずだ。
佳境の9月、そして勝負の10月に向けて、ドジャースの“下位打線問題”はキムというピースが最適解となってくれるのではないだろうか。
文/八木遊(やぎ・ゆう)
【八木遊】
1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。