イオングループが首都圏や北海道で展開する小型スーパー「まいばすけっと」に関する、X上での投稿が大きな注目を集めました。それは、「まいばすけっとは都民への罰だと思っている」というような内容。
これに対して様々な反響やコメントが集まり、現在も混とんとした状況になっています。
同情するのが健全なのか、まいばすの肩を持つのが安心なのか、とにかくこの状況にモヤモヤしてしまっている人は少なくないはず。
そこで今回の記事では、まいばすに関する特長を冷静に整理してみようと思います。
まいばすに対しての“誤解”を解消していきたい
20年以上、国内外のスーパーを研究する“スーパーマーケット研究家”の立場から、今回の事態をとらえると、投稿発言の信憑性や正義を決めるべきではないと考えます。
なぜなら、きっかけを作った投稿者の気持ちは理解でき、同時に反対派の気持ちも共感することができるからです。どちらも素直な気持ちや感想であり、立場や環境によっていかなる意見が出てきてもおかしくはありません。
どんなスーパーにも強みと弱みがあります。まずは、まいばすに対して多くの人々が不用意に偏見を持たないよう、想定される誤解を3つ解消したいと考えました。「まいばすを便利に使いこなしたい!」「上手な活用術を知りたい!」という方のヒントになれば幸いです。
誤解①:「まいばすだから高い」はない
まいばすポイントがわかりやすく提示されている。
まいばすけっとは、イオングループの都市型小型食品スーパー。小規模でありながらも、イオンが持つ3つのプライベートブランド「トップバリュ」、「トップバリュ グリーンアイ」、「トップバリュベストプライス」を取り扱い、ほとんどの商品が大型店と同価格で販売されています。中でも嬉しいのが、低価格に徹底的にこだわった「トップバリュベストプライス」。例えば、「しあわせのもっちり仕込み ハーフ」は、6枚切りの食パンが3枚入って95円というリーズナブルな価格。これは大型イオンと同価格であり、都内他店やコンビニよりも安さを実感できる名品の一つです。
「手仕込みローストビーフ切り落とし」は、コスパ最強の人気商品の一つ。
他にも「手仕込みローストビーフ切り落とし」は、通常のトップバリュ商品の切り落とし部分を集めたもので、130g入って価格は645円というコスパ最強の人気商品。まいばすにも取り扱いがあります(※店舗による)。つまり大型イオンと比較すれば商品数は限定的ではあるものの、価格面に差があるわけではないのです。
誤解②:「まいばすだからマズイ」はない
「ねぎ塩チキン弁当」は、がっつり食べたい時に嬉しい弁当商品。
「まいばすの惣菜はマズイ」という声は、ゼロではありません。しかしながら大前提として確認したいのは、おいしさは食べる人によって個人差が出るということ。同じ弁当をおいしいと感じる人がいれば、マズイと感じる人がいて当然です。
その上であえて紹介したいのは、「ねぎ塩チキン弁当」。麦入りごはんで作られたチャーハンに厚切りチキンカツがたっぷり乗ったボリューム満点の商品で、安いウマいの高評価コメントが
SNS上でも見られます。個人的には何度もリピートし、規定通りに温めておいしく完食しています。
この日も購入した「冷やしゴーヤチャンプルー」。工夫されたおつまみ系惣菜が種類豊富に並んでいる。
またおつまみ惣菜を見ていくと、細やかな工夫が随所に見られます。例えば、「ごま油香!蒸し鶏ザーサイ」、「四川風よだれ鶏」、「茄子の揚げ浸しとオクラのお浸し盛り」などが並び、珍しい「冷やしゴーヤチャンプルー」まで揃い、価格はすべて322円。どれを食べても違和感はなく、忙しい時のおかずに重宝するものばかり。
これらについても、食べて貧相に感じるかは個人差がありますが、他スーパーと比較した場合に劣っているとは到底断言できないレベル。
さらには立派なおにぎりや手巻きが106円で購入できる点も冷静に紹介しておきたい事実です。
誤解③:「まいばすだからガマン」はない
まいばすでもイオンのアプリが利用可能。ポイント5倍になる日は最低でも月3回ある。
そしてもう一つ整理しておきたいのが、アプリやポイント活用について。まいばすではイオンと同様にアプリ(iAEONアプリ)を活用することができます。
まいばすポイントがわかりやすく提示されている。
例えば、毎月10日はポイント5倍、毎月5のつく日はポイント2倍となり、さらにまいばす限定で毎月20日30日が5倍になる特典が。つまりまいばすだから高くつく、ポイントがためられないということはなく、店頭ではわかりやすく“まいばすポイント”が提示され、ポイント活用を考えながら買い物を楽しむことができるのです。
他にも冷凍食品コーナーは新店舗ほど商品数も充実。139円から購入できる弁当おかず商品や、冷凍パスタや米飯はまとめ買いで安くなるなど、割引特典も充実しています。
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公平に考えて、首都圏におけるまいばすけっとの存在感は、ガマンよりも便利さを享受している人は少なくないはず(もちろんエリアによって例外はあって当然です)。小売業界のスーパー単体の業績を見ていくと、大型イオンがスーパーの王者であるとは言い切れない新しい時代が到来しています。
さらには都民が「まいばすだけで暮らしなさい」と言われているわけでもないのですから、他のスーパーをも選択肢に入れながら、ストレスなく賢く付き合っていければよいのではないでしょうか。
<TEXT/スギアカツキ>
【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。
世界中の健やかな食文化を追求。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)が好評発売中。Twitterは@sugiakatsuki12。