東京の上野でスナックを営む大谷麻稀です。会社員を辞め、未経験の水商売で独立してから早4年目。
日本屈指の飲み屋街で、昼も夜もさまざまな人間模様を見てきた私が、今夜のお酒がちょっぴり美味しくなるコラムをお届けします。
先日、お客様に尋ねられました。

「キャバクラの同伴とアフターって、何が違うの?」

システム上の加算額など細かい説明は色々ありますが、端的に言えば、「同伴はキャバ嬢側が喜び、アフターはお客さん側が喜ぶ」ということ。出勤前の同伴は本指名として売上が加算されますが、退勤後のアフターは将来的な投資。

「今日中の売上にはならないけれど、アフターに行って親しくなれば、次回以降に本指名で来店してくれるかも。シャンパンをおろしてくれるかも」と将来的なリターンを期待した、いわば“残業的サービス”なのです。ただし──そのアフターが地獄になることも少なくありません。

今回は「この人とは二度と行かない!」と女の子に思わせる典型的な言動を紹介します。

キャバ嬢にとって“アフターは残業”「この人とは二度と行かない...の画像はこちら >>

① 勝手に「両思い」判定

勘違いおじさんに物申したいのが、たかがアフターしただけで“脈アリ確定”だと思い込むこと。先日もお客様から、「女の子だって、“アリ”だからアフター来るんでしょ?」と聞かれました。

私の答えは「ナシ95%:アリ5%」。それでも「いや、50:50でしょ!」と反論する人がいるもの。いやいや、数字の問題じゃない。


たかだかアフターしたくらいで勝手に両思い判定して、キスやボディタッチに持ち込もうとするのは、完全に地雷です。

② 勝手にプライベート判定

ちょっとリップサービスで「仲良くなりたい人としか、アフター行かないんです」と言うと、すぐに「これもう友達でしょ?プライベートでしょ?」と勘違い。

「初対面なのに、アフター付き合ってくれてありがとう」と言えればスマートなのに、友達理論を振りかざして馴れ馴れしかったり、割り勘を求めてきた時点で、“二度と行かないリスト”行きが確定します。

③接客の延長を求めてくる

「プライベートだから自然体でいいよ」と言いながら、会話が途切れれば「何か盛り上げてよ」「楽しませてよ」と要求──それ、結局お店と同じ“接客”じゃないですか?

女の子からすれば、時給ゼロで労働を強いられているようなもの。

「アフター=未来への投資」ではなく「アフター=消耗」に変わった瞬間、もう二度と同席することはありません。

④「俺、ああいう店行かないから」発言

極めつけはこれ。「俺、キャバクラとか行かないんだよね~」「これからは普通に飲もうよ」などと、店を見下すような言葉。

えーっと、あなたと出会ったのはどこですか? 夜の店ですよね。商売の場で出会っているはず。

いいですか、基本的にキャバ嬢にとってアフターとは、仕事の延長、サービス残業です。もしくは、取引先との接待です。次回以降も円滑な仕事・円満な取引をすることが目的ということは、昼の仕事と変わりません。


「店にはもう行かない」と言われた瞬間、そのアフターは“無駄打ち”に変わります。

⑤帰らせてくれない

「俺はこうした下心剥き出しな発言はしていないから大丈夫」と思っていても、やりがちなのが「帰るのを引き止める」こと。

繰り返しになりますが、アフターはサービス残業にすぎないのに、退勤後の2時間も3時間も付き合わせる……。キャバ嬢の中には、昼の仕事とダブルワークの人もいます。

いいですか、「帰りたい」と言っている人を無理に引き止めて時間を過ごしても、好かれることはありません。むしろ、「仕事終わった後に付き合ってくれてありがとう」と尊重して帰してくれた方が、好感度が激増しますよ。

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キャバ嬢たちにとって、アフターとは「恋愛」でも「友情」でもなく、あくまで“未来のための投資”です。その意味を勘違いして「両思い」や「プライベート」と押し付けたり、帰宅時間を引き延ばしたりすれば、投資対象からすら外れます。

逆に「付き合ってくれてありがとう」とスマートに切り上げられる人こそ、お客様としてはもちろん、場合によってはプライベートでも会いたくなる存在になれるでしょう。

<TEXT/大谷麻稀(まきぱん)>

【大谷麻稀(まきぱん)】
上野にてスナックを経営する28歳。大好きなお酒にコミットするべく鉄道会社を退職し、ほぼ未経験の世界へ転身。TOEIC910取得。
趣味は海外一人旅。
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