「流せるシート」はトイレに流さないで!
トイレトラブルを招きやすい商品としてかわちゃん氏が真っ先に挙げたのが、便器の掃除に使われるトイレの「流せるシート」。商品によっては「トイレクリーナー」という名前がついていることもある。商品名に「流せる」と銘打たれていても、実は流れ切っていないことが多いのだという。「『流せるシート』は水に浸すことで徐々に崩れていくという仕組みです。しかし、軽く拭いただけのシートをトイレに流すと、完全に溶けるまでに時間がかかります。一見問題なく流れたように見えても、実は管のなかで残っていることがあるのです」
「流せるシート」の中でも、特に「厚手」や「丈夫」を謳うものほど気をつけるべきだと続ける。
「トイレットペーパーと違い、『流せるシート』には厚みと耐久性があります。厚手の商品ほど、排水トラップや曲がり角にひっかかり、詰まりの原因となりやすいのです。掃除用具などで詰まりを解消できれば良いですが、それが難しい場合、業者がポンプや高圧洗浄で取り除くことになり、少なく見積もって1万円以上の費用が発生します。一昔前のトイレは、便を流すために13~20Lの水が使われていましたが、最新の節水型は3.8~5Lと、およそ3分の1の水量となっているので、シートの詰まりにはより注意すべきです」
対策としては、「シートは流さずゴミ箱へ」を習慣づけるのが一番の予防策だと言う。
「流せるシート」を製造するメーカー側はどのような見解を持っているのか。
トイレ用掃除シート「トイレクイックル」を製造する花王に質問状を送付したところ、「『トイレクイックル』は、トイレットペーパーの日本工業規格の『ほぐれやすさ試験』による品質基準を満たしており、ご使用後にトイレに流せる製品です。
ほか、「流せるトイレクリーナー」を製造するシーズワンからは「十数年前に『消費者庁』からの通達で、JIS規格P4501『トイレットペーパー』の規格範囲以外は『流せる』を明記することは認められないとの発表がありました。よって弊社商品はそれに準拠した商品です」との回答があった。
トイレの節水技が「逆効果」に……

しかし、これも「トイレの詰まりを生みやすい行為」とかわちゃん氏は一刀両断する。特に、古いモデルで問題が発生するリスクが高いのだと言う。
「最新の節水型トイレは水流の遠心力を利用して水を流す設計ですが、古いトイレは水圧そのもので流す仕組みであることが多い。後者のトイレにペットボトルを入れ、水量を減らしてしまうと、水圧の流れが弱まり、詰まりの原因になるのです」
自己流の節水策をトイレで行うのは危険だと心得ておこう。
トイレに黒い壁紙はNG?
最新型のトイレには、便座の洗浄機能や温度調節機能を持ったリモコンがついていることも多い。実はトイレの壁紙の「色」が、このリモコンの動作に影響を与えていることがあるという。
「多くのトイレのリモコンは、テレビやエアコンと同様に、赤外線を使って便座本体に信号を送っています。リモコンのボタンを押すと、赤外線が発信され、便座本体の受光部がそれを受け取ることで、操作が実行されるという仕組みです。
このようなケースでは多くの場合、リモコンの位置や角度を調整することで解決できるという。
エアコンの「お掃除機能」は過信するな

「特に、フィルターを自動洗浄する機能のあるものは『お掃除機能付きエアコン』と呼ばれます。一見便利そうですが、じつは内部のファンまでは掃除できず結局、手作業でのクリーニングが必要になります」
さらに掃除をする際、扱いに気を付けたいのが市販の清掃スプレーだ。
「電源を切らずに吹きかけると基盤部分がショートして故障の原因になることも。基盤の場所は本体の右側にあるので、作業をする前に確認するといいでしょう」
家庭用エアコンの室内機とセットで、建物の外に設置される「屋外機」の扱いにも注意が必要だという。
「家庭によっては、日よけ対策として室外機にアルミシートを乗せるところもあります。ただし、直に乗せるだけでは熱が逃げず、かえって冷房効率が落ちてしまうこともあります。このような場合は、室外機上部に”空間”を確保して日陰を作る方が効果的と心得ておきましょう」
思い込みや勘違いが、住宅設備の寿命を縮めたり、トラブルを招いたりしてしまうこともある。正しい知識を身につけて快適な暮らしを実現したい。
【栗林 篤】
不動産、マネー、ネットカルチャー分野を得意とするフリーライター。社会事情についても執筆する。著書に『サラリーマンのままで副業1000万円』(WAVE出版)。X(旧Twitter):@yuutaiooya