SUPER EIGHTの横山裕が15年ぶりとなるソロツアー「ROCK TO YOU LIVE TOUR」を開催し、9月16日・17日の東京・Zepp Haneda公演でファイナルを迎えた。この「ROCK TO YOU」は、横山が44歳になった誕生日の今年5月9日から“武者修行”として行う1年限定のソロプロジェクト。
これまでグループとしては、アリーナやドームなどのステージを経験してきた彼が初のソロアルバムを引っさげて、今年7月からライブハウスを中心に全国11都市を巡って情熱的なパフォーマンスを見せた。
横山裕が見せたソロツアーの感動シーン。母への誓いを歌いきる『...の画像はこちら >>
ファイナル公演の初日。詰めかけた観客の熱気が溢れる会場にギターをかき鳴らす音が響く。「今日はロックしにきました! マジで今日が最高だと思うライブがやりたいんよ。だから全力でかかってこいよ!」と横山が叫ぶ。会場のボルテージが一気に高まると、等身大の想いを綴った楽曲「ロックスター」で開演した。曲終わりには、「まだまだ、こんなもんじゃないっすよね!」と手拍子で観客を煽る。続く「HERO」「存在意義」と力強いバンドサウンドで観客をさらに惹き込んだ。

今回のセットリストは、ソロアルバム収録曲のみで構成した。「武者修行といってSUPER EIGHTの曲をやるのは違うなと。それが僕の信条、美学です」と言い切ると、歓声が上がる。ただ、「アルバムの曲だけでやろうと思ったら、総尺が49分しかありません。
それじゃあ、ライブにならないんですよ。残りの時間はしゃべりまーす!(笑)」と軽快なトークで笑わせた。

40歳過ぎからギターを始めて、今作のアルバムでは全曲の作詞を手掛けた。「ど真ん中」や「黄金期」など、横山らしい愚直でストレートな言葉を歌に乗せて目の前にいるひとりひとりに向けて想いを届ける。メンバーの安田章大が作曲を手掛けたポップチューン「cHoco レート」ではギターを置いて、観客との掛け合いで盛り上げた。

また、話題になった元メンバーの渋谷すばるとの共作「繫がる」を披露する前には、「脱退して8年経つけど、8年前の記者会見の残像は忘れられへんのよ。当時は『なんで辞めんねん』とか『俺がもっと説得したらあんな結末になってないんかな』とか自分に問いかけたこともあった。めちゃくちゃ悲しかったし、仲間の門出やのに俺が真っ先に泣いちゃってさ」と回顧。横山が泣きマネをすると、観客からは笑い声が漏れる。「でも、こうやって今は笑えてるのが最高なんすよ。あいつが覚悟を持って脱退という男の決断を選んで、今すごいボーカリストとして輝き続けてる。そのおかげで俺はギター持ててると思う。
何が正解かわからへんけど、俺とあいつはこうして繋がれています」と語りかけた。

横山裕が見せたソロツアーの感動シーン。母への誓いを歌いきる『オニギシ』完唱!
横山裕
本編ラストに披露したのは、母への思いを綴った「オニギシ」。‘10年、ソロツアーの青森公演の開演1時間前に母親が急逝。当時は涙が溢れて歌うことができなかった。「今回のソロプロジェクトでは、セットリストの最後に『オニギシ』を入れて歌いきること」を心に決めてツアーを回った。スクリーンに映し出された母親との思い出写真を背に、気持ちを込めて歌いきると、割れんばかりの拍手が起こった。

横山裕が見せたソロツアーの感動シーン。母への誓いを歌いきる『オニギシ』完唱!
横山裕
今年11月には、SUPER EIGHTとして初の日本武道館公演が控える。次は5人が集結する“バンドの聖地”で、どんなロック魂を見せてくれるのか楽しみにしたい。

取材・文/吉岡 俊 
編集部おすすめ