ファイナル公演の初日。詰めかけた観客の熱気が溢れる会場にギターをかき鳴らす音が響く。「今日はロックしにきました! マジで今日が最高だと思うライブがやりたいんよ。だから全力でかかってこいよ!」と横山が叫ぶ。会場のボルテージが一気に高まると、等身大の想いを綴った楽曲「ロックスター」で開演した。曲終わりには、「まだまだ、こんなもんじゃないっすよね!」と手拍子で観客を煽る。続く「HERO」「存在意義」と力強いバンドサウンドで観客をさらに惹き込んだ。
今回のセットリストは、ソロアルバム収録曲のみで構成した。「武者修行といってSUPER EIGHTの曲をやるのは違うなと。それが僕の信条、美学です」と言い切ると、歓声が上がる。ただ、「アルバムの曲だけでやろうと思ったら、総尺が49分しかありません。
40歳過ぎからギターを始めて、今作のアルバムでは全曲の作詞を手掛けた。「ど真ん中」や「黄金期」など、横山らしい愚直でストレートな言葉を歌に乗せて目の前にいるひとりひとりに向けて想いを届ける。メンバーの安田章大が作曲を手掛けたポップチューン「cHoco レート」ではギターを置いて、観客との掛け合いで盛り上げた。
また、話題になった元メンバーの渋谷すばるとの共作「繫がる」を披露する前には、「脱退して8年経つけど、8年前の記者会見の残像は忘れられへんのよ。当時は『なんで辞めんねん』とか『俺がもっと説得したらあんな結末になってないんかな』とか自分に問いかけたこともあった。めちゃくちゃ悲しかったし、仲間の門出やのに俺が真っ先に泣いちゃってさ」と回顧。横山が泣きマネをすると、観客からは笑い声が漏れる。「でも、こうやって今は笑えてるのが最高なんすよ。あいつが覚悟を持って脱退という男の決断を選んで、今すごいボーカリストとして輝き続けてる。そのおかげで俺はギター持ててると思う。


取材・文/吉岡 俊