なぜか周りから良くしてもらえる人、いませんか?
なぜか上司や部下からいつも助けてもらえたり、可愛がってもらえている人がいる。特別なスキルがあるわけでもないのに、なぜそんなに良い扱いを受けているの?と気になってしまう存在は周りにいませんか?
昼は経済レポーターとして上場企業の社長たちを取材し、夜は銀座ホステスとしてトップクラスのビジネスパーソンを接客してきた私が、現場で学んだ「人の心の動かし方」をお届けします。ビジネスマンのあなたの「今日から使える武器」になれば幸いです。
夜の世界で見た、売れっ子ホステスのリアクション
さて、夜の世界でも、お客様から贔屓にしてもらえる売れっ子ホステスたちには、大前提の共通点があります。それは「してもらったこと」に対して、即座に、とびきり大きなリアクションをしていること。
シャンパンなんて入れてくれなくても、ただお店に来てくれただけで「わぁ、来てくれたの?!超嬉しい!」
高価なブランド物ではない、小さなプレゼントにも「えっ、いいの?!(その場で開封して)すごく可愛い!」
「ありがとう」というお礼の言葉よりも先に、感情を思いきり表現する。
それも店中に響き渡るような声のトーンで、別室にいるホステスたちまで「何事?」とざわついてしまうこともしょっちゅうです。
傍から見たら大げさなくらい喜んだ方が、お客様は「またこの子を喜ばせたい」と思ってくださいます。
「お店に来ただけでこんなに喜んでくれるなら…」「小さなプレゼントでこんなに喜んでくれるなら…」と、こちらからお願いしなくとも、何度もアクションを起こしてくださるようになるのです。
ポジティブな反応が行動を強化する
なぜ、ホステスたちのリアクションがこんなにもお客様の心を動かすのでしょうか。心理学では“効果の法則”といって、人は、自分のした行動に対してポジティブな反応が返ってくると、またその反応を得たくて、行動を繰り返すようになるとされています。
反応が「報酬」となり、またその報酬を得たくなって、行動が強化されるのです。
逆に反応が薄かったら…?当然、だんだんとその行動をやめたくなってしまいます。
あなたが相手の喜ぶ顔を想像しながら一生懸命準備したサプライズに、相手が「あぁ、ありがとう」程度の反応だったら、がっかりして「次はやらない方がいいのかな?」と思ってしまいますよね。
夜の世界でも、反応が薄い子は「また来てあげたい」と思わせにくいのです。オーバーなくらいしっかりと反応してくれる、「打てば響く女」が売れていく。
ビジネスでも「打てば響く人」が得をする

上司が仕事を助けてくれたときは「○○さんがお力を貸してくださるなんて、これ以上心強いことはありません!」、部下が企画を持ってきたときは「すごくいい出来だね!ここまで良く仕上げてくるなんて、驚いたよ」と。
その瞬間に最大限のリアクションで感謝や評価を伝えられる人は、相手の気持ちをグッと引き上げます。
「可愛いやつだな、またやってやるか」「この人のために、これからも頑張ろう」という気持ちにさせるのです。
特別なスキルがなくても、周りを良い気持ちにさせるリアクションができてしまう人は、味方を増やし、出世や人望を手に入れていくのです。
行動経済学では、「感謝される」「褒められる」などの評価は“社会的インセンティブ”といわれ、謝礼やボーナスなどの“金銭的インセンティブ”以上に、人の行動の動機づけになるといわれています。
「身近な相手にこそ、ちゃんと伝える」を意識
相手のしてくれた小さな行動にも気持ちを表しつづけることは、意識しないと意外とできないもの。家庭内や恋愛でも、付き合いが長くなって、パートナーに日頃からお礼を言わなくなることがケンカの原因になりがちです。
奥様や彼女がごはんを作ってくれたとき、気恥ずかしさもあってリアクションが薄くなってしまう男性は多いと思いますが、無邪気に喜ぶリアクションは女性の心をくすぐります。
「めちゃくちゃ旨い!」「おかわりある?!」なんて子供みたいに喜んでくれたら、私だって毎日張り切ってごはんを作ってしまいます。
距離の近い相手にこそ、相手のしてくれたことに対して、最大限のリアクションを心掛けること―。
自分のために気持ちよく動いてくれる人に囲まれて、仕事や人間関係を上手くまわしたい方はぜひ「打てば響く人」でいることを意識してみてくださいね。
<文/山崎みほ>
―[経済レポーター×銀座No.1ホステス・山崎みほ]―
【山崎みほ】
経済レポーター。証券外務員一種/行動心理士。
株式投資情報のレポーターとして、上場企業の取材記事や経済ニュースを執筆。Yahoo!ファイナンス、YouTube等メディアでは上場企業社長のインタビューも行う。また、銀座の高級クラブでホステスとしても勤務、心理学と行動経済学の知識を基にNo.1を獲得。経済レポーターの深い洞察力と人気ホステスとして培った対人関係術を融合し、夜の世界では1日40組、昼間の営業職では成約率90%の成績を上げるなど、昼夜問わず結果を出すスタイルを築いている。Xアカウント:@mihoy001