ここ数年、ニュースなどで頻繁に取り上げられている「あおり運転」。
自動車損害保険を扱うチューリッヒ保険が発表した『2023年あおり運転実態調査』によると、煽り運転をされたことがあるドライバーは53.5%。最初に調査を行った18年(70.4%)に比べれば改善しているが、前回調査の22年(51.3%)よりは悪化している。つまり、半数弱の人が被害経験を持つわけだ。
あおり運転の被害者は後を絶たない。今回は、「あおり運転」の被害者となってしまった人のエピソードを紹介する。
後ろからピッタリとくっついてくる
山田真奈さん(仮名・40代)は、子どもの保育園への送迎のため、毎日利用している道があり、いつものように車を走らせていた。そこは“抜け道”として使われることが多く、地元の人が多い印象だったそうだ。「その日は、小雨が降っていました。いつも通りお迎えに行こうと走っていたところ、後ろから赤い車が長い間ピッタリとくっついてきていたんです。いつもなら、車を左に寄せて、抜かしてもらうのですが、反対車線から来る対向車も多く、道が混み合っていたためにできませんでした」
カーブにさしかかり山田さんがハンドルに集中していると、突然、猛スピードで後ろの車が抜かしてきたという。山田さんは思わず「わっ!」と声を上げた。そして、信じられない光景を目の当たりにする。
サイドミラーが大破…

サイドミラーは折れ曲がり、導線のようなものが剥き出しになっていたそうだ。山田さんは突然の出来事で心臓がバクバクし、軽いパニック状態になったと話す。
「“相手はどんな人なのかな、どうなったのかな”と思いつつも、顔をあわせるのが嫌だなって。少し落ち着いたところで意を決して、車を降りて相手に近寄ってみたのですが……なんと運転手は、あまり日本語の通じない外国人だったんです。威嚇のようなことはされませんでしたが、たどたどしい日本語で何か言っていましたが、よくわかりませんでした」
結局、山田さんが警察に連絡をすることになった。
「こちらのドライブレコーダーを確認すると、相手が100%悪いということで。サイドミラーの修理代もかからず、私も相手も怪我はありませんでしたが、子どものお迎えには遅れてしまいましたね……」
その後、山田さんは事故のショックで「その道が怖くなった」と言い、今も通れずにいる。
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あおり運転は、誰にでも遭遇する可能性があるものだが、今回紹介したケースのように「交通事故」に発展してしまうことも……。もしも煽られてしまっても慌てずに対処してほしい。“自分を守る”意味でも今やドライブレコーダーは必須と言えるかもしれない。
<取材・文/chimi86>
【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。