大事件ばかりがニュースではない、身近な小さな事件の方が人生を左右することも。注目のテーマを取り上げ大反響を呼んだ仰天ニュースを特別セレクション!(初公開2023年10月23日 記事は取材時の状況) *  *  *

最近では女子会の場所として選ばれたり、単身者が利用したりと、ラブホテルは“カップルが愛し合うだけの場所”ではなくなっています。
都市部にはおしゃれな物件も多くなり、一昔前の淫靡で怪しい雰囲気のラブホテルは徐々に姿を消しつつあります。

とはいえ、これまでのような用途の客も多く、いまだに怪しげな雰囲気であることは変わっていません。今回話を聞いたのは、昨年までラブホ清掃員のバイトをしていた、都内のIT企業に務める村上正信さん(仮名・23歳)です。

ラブホ従業員の間で“一番緊張感が高まる”忘れ物とは…「最悪の...の画像はこちら >>

数え切れないくらい“事後の部屋”を掃除した

僕が働いていたのは池袋にあるラブホで、客の大半は派遣型などの風俗利用でした。それ以外にも、マッチングアプリで会った不倫カップルや援助交際風の男女など、とにかく怪しい客ばかり。そういった人間関係も面白く、清掃員のバイト募集を見て飛び込んだんです」

村上さんが働いていたラブホは、昔ながらの猥褻な雰囲気を漂わせる施設。地元ではそれなりに有名で、ロビーで部屋が空くのを待つ人たちが平日でもたくさんいたそうです。

「休憩客が多かったので、とにかく忙しかったです。週末はカップルも多くなるので休む時間がなく部屋を清掃しているような状態。2年間働きましたが、本当に数え切れないくらい“事後の部屋”を掃除しました(笑)。ただ、バイト代も良かったし、週末はオーナーからお手当も出たのでかなり稼がせてもらいましたよ」

大人のおもちゃが落ちているのは日常茶飯事

時給が良かったと話す村上さんですが、仕事はかなりの重労働で厳しいものだったそうです。なかでも、迷惑客の残留物には頭を悩ませたとか。

「風俗客が多かったのもあって、かなり無茶苦茶に部屋を利用する人が多かった。使用した大人のおもちゃが落ちているのは日常茶飯事で、なんならもっとひどいケースも。
SM系のお店を利用したのか、蝋燭が点々と床についていることがあったり、お風呂やトイレではなくベッドの上に汚物がしてあることも……。あまりにひどい場合は、オーナーを呼んで客を防犯カメラで割り出して出禁にしたり、お店にクレームを入れることもありました。ただ、待っているお客さんもいるので、そのままにできずファブリーズを大量にかけてとにかく換気して汚物の処理を行うことになります。後に入るお客さんからクレーム対象にもなるので、かなり神経を使うことになりました」

“一番緊張感が高まる”忘れ物は…

また、警察を呼ぶような緊急事態も多々あったそうです。

大人のおもちゃならまだしも、一番緊張感が高まるのが注射器です。SMで使う人もいますが、一応事件性があるかも知れないのでオーナーを呼んで、最悪の場合は警察を呼ぶことも。池袋という場所柄、ホテルで覚せい剤を使うような輩もいますからね……。また、お風呂を開けると血が飛び散っていたこともあって、度肝を抜かれました。あと、なにげに怖いのがローションです。お風呂でソーププレイをしたのか、床一面にローションがへばりついていて、よく見えずに入り込んでしまい滑って転んで怪我をした清掃員もいます」

なんとも過酷なラブホ清掃員の仕事だが、村上さんは掃除以外でも意外な体験をしたとか。

「ラブホでは清掃員やフロントは、基本的に客と顔を合わせないようにしています。ですが、中にはおかしな客もいる。平日に働いていた時に、フロントに部屋から内線が入ったんです。
どうしても部屋までスタッフに来て欲しいと、中年男性が譲らない様子で電話を受けたフロントの女性もビビってしまった。仕方なく自分が部屋に行ったのですが、呼び鈴をおすと中から素っ裸の女性が出てきたんです。どうも、露出プレイの一貫で、スタッフに女性の裸体を見せたかったようです。困りますと話すと、中にいた男性が、『ぜひ、その女を好きに抱いてください』と無茶苦茶な要請を…。少し興味はあったのですが(笑)、丁重にお断りして部屋を後にしました」

両手両足を縛られた女性がいた

池袋という土地柄がそうさせるのか、村上さんはその他にも驚きの体験に出会っています。

「男性が料金を支払ってチェックアウトしたので清掃に向かうと、お風呂に目隠しをされて両手両足を縛られた女性がいたこともありました。どうも、中国人マフィア同士のトラブルで、違法風俗店で働いていた女性が被害者だったようです。当然すぐに警察に来てもらいました。風俗利用が多く、さまざまな怪しい人間が立ち入っているラブホだったので、客に会わない清掃の仕事とはいえ部屋に入るときは毎回緊張していました。ただ、そんなドキドキも癖になって、結局は卒業まで2年間も働くことになったのですが(笑)

多くの人が何気なく使用しているラブホですが、働いている清掃員は裏側をいろいろと見ているようです。普段できない体験ができるので、重労働ではあるものの村上さんのように好奇心旺盛な人には意外におすすめのバイトかもしれません。

<TEXT/高橋マナブ>

【高橋マナブ】
1979年生まれ。
雑誌編集者→IT企業でニュースサイトの立ち上げ→民放テレビ局で番組制作と様々なエンタメ業界を渡り歩く。その後、フリーとなりエンタメ関連の記事執筆、映像編集など行っている
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