こんにちは、恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラーの堺屋大地です。
筆者はLINE公式サービスにて計1万件以上のチャット恋愛相談を受けてきました。
2020年国勢調査によれば、日本人の「生涯未婚率」(50歳時の未婚割合)は年々上昇しており、女性は17.8%、男性に至っては28.3%にも及びます。そんななかで、恋愛がうまくいかないという方々にも筆者の知見が少しでも役に立てばなによりです。
ハイスペの優良物件だと思っているが…
今回のご相談者は、婚活パーティーで出会って交際半年の35歳彼氏から、フラれそうになってしまっているという野乃花さん(仮名・女性・28歳)。「7歳年上の正樹君は高学歴の公務員なので、出会ったときは『ハイスペの優良物件見つけた!』ってテンション上がりました(笑)。
恋愛経験は少なそうだったから、私のほうから食事とかお出かけに誘ったほうがいいのかなって考えていたんですけど、案外正樹さんのほうからグイグイとアプローチしてきてくれて。
出会ったその日に『野乃花ちゃんは僕の理想の女性だよ』って情熱的に口説いてくれたので、わりとすぐに結婚前提で付き合うことになったんです」(野乃花さん)
けれど、交際開始から2~3カ月経ったころから、正樹さんの気持ちが急激に冷めてきていると感じるようになったそう。
「まず付き合いたての頃は『愛してる』、『全部好き、嫌いなところがない』とよく言ってくれていたのに、そういう愛情表現がほとんどなくなりました。また友人関係の悩みや仕事上のトラブルの相談をしても、『そういう考え方は良くないよ』って私の価値観を頭ごなしに否定してくることが多くて……。
正樹さんの気持ちがどんどん離れていっているのがわかったから焦りました。いつの間にか私は、いつも彼の顔色を伺ってご機嫌取りをするようになってしまって、それが逆効果だったらしく、とうとう別れ話を切り出されてしまったんです」(野乃花さん)
見えて来た彼の「精神年齢の低さ」
「どうにかして正樹さんの気持ちを取り戻したい」というのが野乃花さんのご相談でしたが、そもそも彼が“結婚相手としてふさわしくない可能性が高い”ということを、筆者はお伝えしていきました。おそらく正樹さんは典型的な“熱しやすく・冷めやすいタイプ”なのですが、どうしてそういう性質になってしまっているか、掘り下げて考えてみましょう。
すると、見えてくるのは彼の「精神年齢の低さ」(=「幼稚さ」)。
もしかすると野乃花さんは、“高学歴”や“公務員”というスペックによってバイアスがかかり、彼に対して“頭が良い大人”という印象を抱いていたのかもしれませんが、それが大間違いだったということです。
彼の精神が幼いということを如実に表しているのが、出会ったばかりの野乃花さんに対する「理想の女性」発言、「全部好き、嫌いなところがない」発言。
結論から言うと、出会ったばかりでまだ深く知りもしない相手に対して、それらの発言をするのは、あまりに浅はかな行為なのです。
大人なら、その現実を知っている
人間という生き物はそんな単純ではありません。「理想の女性」かどうかを判断するためには、相手の性格、価値観、趣向、経験などをきちんと熟知する必要があり、少なくともまっとうな大人が出会ったその日に断言できる言葉ではないのです。
「全部好き、嫌いなところがない」という言葉にいたっては、ほぼ確実に彼の勘違い。
相手の特徴や性質を好き・嫌いで判断するポイントは無数にありますが、本当にすべての要素が好きで、嫌いな要素が1つもない相手なんて、世の中に1万人に1人もいないのではないでしょうか。
誤解を恐れずに言いますが、自分の恋愛・結婚において、「全部好き、嫌いなところがない」という超レア確率の相手に巡り合えることなんて、ほぼありえないというのが現実。
そして、きちんと成熟しているまっとうな大人なら、その現実を知っているはずなのです。
結婚相手として要注意な危険サイン
「全部好き、嫌いなところなんてない」といった発言をする人は一定数いますが、その人物が本当に1万人に1人の確率を引き当てているわけではなく、たいていは勘違い。まだ相手の知らない要素があることに気づいていないか、もしくは気づいていても“あばたもえくぼ”でかわいく見えてしまっているだけなのです。
実際、正樹さんは出会って数か月後には野乃花さんの考え方を否定していたわけで、「理想の女性」「全部好き、嫌いなところがない」という発言と矛盾しています。
百歩譲って1年ぐらい交際したうえで、「理想の女性」発言や「全部好き、嫌いなところがない」発言をするならまだいいのですが、出会ってすぐにその言葉を言っているようだと、冷静さや客観性を欠いているのは明らか。
つまり、初期段階で「理想の女性」発言や「全部好き、嫌いなところがない」発言をしているとしたら、高確率で精神年齢が低い幼稚な人物ということ。
一見すると情熱的な言葉なので甘美に聞こえるかもしれませんが、実は恋愛・結婚の相手としてかなり要注意な危険サインだったのです。
思い当たるフシが多々あった相談者
――ここまで説明すると、野乃花さんは彼の「精神年齢の低さ」に思い当たるフシが多々あったようで、「とりあえず正樹さんにすがりつくのはやめて、本当に私の結婚相手にふさわしいかどうか、一から考え直してみます」とおっしゃっていました。その後、野乃花さんは正樹さんときっぱり別れて婚活をリスタートしたとのこと。彼女が成熟した大人の男性と巡り合えることを願っています。
<文/堺屋大地>
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【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。本連載意外に『SmartFLASH』(光文社)でドラマコラム連載、『コクハク』(日刊現代)で芸能コラム連載。そのほか『文春オンライン』(文藝春秋)、『現代ビジネス』(講談社)、『集英社オンライン』(集英社)、『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)、『女子SPA!』(扶桑社)などにコラム寄稿。LINE公式のチャット相談サービスにて、計1万件以上の恋愛相談を受けている。公式SNS(X)は@SakaiyaDaichi