暴走族が公園内をブンブン爆走! 想定外の住み心地の悪さに絶句
地上50階建て・高さ180mを誇る「晴海フラッグSKY DUO」。分譲棟の最後発にあたり、眺望や共用施設の豪華さから“旗艦”と目されてきた。その直近の抽選倍率(’24年10月の最終期)は最高で640倍に達し、“最後の目玉”に、いよいよ9月下旬に入居が始まったのだ。
《こんなに綺麗な東京タワー見たことない!》
《ラウンジが素敵すぎる》
SNSでは待ってましたと言わんばかりに、眺望を称えるコメントが溢れていた。
だが、SKY DUOより一足先に入居した別棟の現地住民たちの顔は浮かない。商社勤務で、1億5000万円もの大枚をはたき3LDKを購入したという平原卓也さん(仮名・34歳)が語る。
「売り出し価格から右肩上がりに値上がりしていたので飛びついてしまいましたが、完全に間違いでした。街に活気がまるでないし、夜になると暴走族が公園内を爆音で走り回っているんです。最寄り駅の勝どきまで徒歩14分という“陸の孤島”であることは覚悟していたつもりでしたが、住み心地は正直全然よくない。景色なんて3日で飽きますしね……」
入居直後から転売を求める立て看板

むしろ目立つのは、晴海フラッグにあるスーパー前の交差点の四隅に居座る不動産業者たちだ。
不動産ジャーナリストの榊淳司氏はこう語る。
「SKY DUOの購入者に転売を訴えかけるために座っているのでしょう。別の棟の居住者で、現在の晴海フラッグのありさまに嫌気が差して売却や賃貸を考える人もいますしね。今ならまだ、定価で買えた人は倍近い値段で売り抜けることができそう」

乗り降りするのは、スーツケースを引いた中国人旅行客か、あるいは水商売風の女性たち。前出の平原さんは、力なく語った。
「白タクが毎日、昼も夜も中国人たちを運んでいます。人相の悪いドライバーが路上駐車しているのを毎日のように見かけます。ラウンジでも公園でも目につくのは中国人ばかりで“ある棟”には中国人を対象にしたフードデリバリーのゴーストキッチンがあるなんて話も聞いています。管理組合は『闇民泊を見かけたら通報してください』と各戸に呼びかけ、実際警察が立ち入り調査した事案もあったようですが、まったくなくなる気配はないですね」
闇民泊にとどまらぬ又貸し疑惑も

「夜になると、どこからともなくメークをばっちりキメた女性が現れ、白タクに乗っていく。
羨望の街として中央区に生まれたニュータウンに、早くも暗雲が立ち込めているのだ。
「中国人投資家の注目は他のエリアに移っている」

「実際に住んでいる我々と、インバウンドで来る旅行者を一括りにしないでほしい。闇民泊や白タクは恥でしかないし、見かけた際には中国系住民のSNSコミュニティで情報を共有し、追い出すよう協力しています。先日も闇民泊業者を警察に通報し、取り締まりを促す様子が小紅書(RED)に掲載されたほど」
結果として起きているのは「中国人投資家の晴海フラッグ離れ」だ。中国事情に明るいジャーナリストの周来友氏が語る。
「日本の不動産バブルを牽引しているのは間違いなく中国人投資家。
前出の榊氏も指摘する。
「晴海の分譲賃貸は3年や5年といった定期借地で出してるパターンが多いのが特徴なのですが、これは裏を返せば『売りたい』から。現時点では周辺の相場以上の価格で取引されている晴海フラッグですが、ポテンシャルからすれば明らかに高すぎ。投機目的で所有している人の投げ売りが始まれば、価格は一気に落ちるのでは」
五輪が残した遺産が今、大きな岐路に立たされている。
【不動産ジャーナリスト・榊 淳司氏】
購入者側の視点に立ちながら取材を重ねる住宅ジャーナリスト。著書に『マンションは日本人を幸せにするか』(集英社新書)など
【ジャーナリスト・周 来友氏】
中国浙江省紹興市生まれ。1987年に私費留学生として来日し、司法通訳人を経て現職。翻訳・通訳派遣会社も経営する
取材・文/週刊SPA!編集部
―[東京[晴海フラッグ]ゴースト化の舞台裏]―