―[メンズファッションバイヤーMB]―

 メンズファッションバイヤー&ブロガーのMBです。洋服の買いつけの傍ら、「男のおしゃれ」についても執筆しています。
連載第551回をよろしくお願いします。
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今、着ていたらともかく恥ずかしいアウター

 今回は着ていたら時代遅れ! おじさん確定!

 買っちゃいけない「10年前のトレンドアウター」5選をお届けします。

①バーバリーチェックが入ったコート

「ダサい中年男性」はだいたい身に着けている“時代遅れなアウター“ワースト5
バーバリー
 日本市場でバーバリーが流行ったのは安室ちゃんが火付け役。

 JKの間でバーバリーチェック柄のマフラーが大流行し、その流れに乗って日本のみでの独自展開(ライセンス)ブランド「バーバリーブルーレーベル」「バーバリーブラックレーベル」が市場を席巻。アウターもパンツもバッグもギフトもバーバリー一色といえるくらい大人気の時代がありました。

 しかし、そんな2ブランドも本国イギリスとの契約に伴い、展開終了。本国バーバリーブランドもあの手この手と頑張っているが古臭い匂いが消しきれず、人気失速気味。24年度には赤字転落で大規模なリストラ、コスト削減を行い、立て直しを図っています。

おじさん愛用品に成り下がる

 今や「そういえばあったよね」くらいまで人気が失速しつつある「バーバリーチェック」。

 全盛期である2000~2010年頃に大流行したチェック柄全開のアウターなどは名実ともに「時代遅れ」。若い子はピンと来ず、おじさん愛用品に成り下がりつつあります。

 本国バーバリーブランドはチェック柄の表現などを工夫しトレンド感を獲得していますが、10年前に買った・もしくはアウトレットで安く手にしたバーバリーチェック柄全開のアウターはちょっと痛々しいかも。街を見渡せばわかる通りですが、今着ている人かなーり少ないですよ……。

②コンパクトジャケット(ショートジャケット)

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コンパクトジャケット
 タイトでショート丈のテーラードジャケットが人気になったのは一昔前の話。2010年ごろ、ハイブランドから丸井ブランド、109メンズ、量販店まで全市場を網羅するかの如く破竹の勢いで広がったのがこの手のアイテム。

 綺麗目コーディネートが流行するとともに注目を集めたテーラードジャケットでしたが、一歩間違うと「仕事用のジャケットを流用してるんじゃないの?」と見られかねない危険性も。
そこで人気となったのが「明らかに仕事用と異なるシルエットのショートジャケット」。

 通常、ビジネス用のジャケットはミドル丈になっており、お尻まで届くサイズ感が一般的。そこと差別化するかの如くこの時代に流行ったのはウエストあたりまでしか着丈がないショートジャケット。ビジネス用と間違われることもなく、かつ綺麗目な印象を与えてくれると老若問わず人気となったのです。

トレンドがもう一巡するまで熟成

 しかしながら、そのショートジャケットもあまりにも流行りすぎた。大学生からファッションに興味のないオジサマまで、幅広いブランドが展開し幅広い年代が愛用し始めることで一気に価値が急落。オシャレピーポーはその反動で今は着丈の長いクラシックなテーラードジャケットを好み始めたのです。

 おしゃれな人が着丈の長いテーラードを好む今、ショートジャケットを着ていると「サイズ合ってないよ?」と突っ込まれかねないほど違和感があります。

 昔買った大事なジャケットなのはわかりますが……トレンドがもう一巡するまで少々熟成させるのが吉かと思います。

③ベージュのスイングトップ

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ジップアップブルゾン(GU)
 バラクータのG9といえばメンズファッションアイテムのマスターピース。スティーブマックイーンが着用したことでアイコンとなったこのアイテムは今も昔もオシャレオジサマに愛され続けており、セレクトショップなどでも別注モデルが展開される定番品。

 しかしながら、同時にこのスイングトップ、コーディネートの難しさで知られています。日本ではこうした立ち襟、厚手のコットン素材、ショート丈、膨らみのある丸いデザインなどはどうしても「作業着」「仕事着」のイメージが大変強い。

 もともとかっこいいイケおじが着用するならともかく、フツおじが着たらJAの制服と間違われかねない……。


大事なのは「かっこよく見えるかどうか」

 シルエットの組み立てがあまりにも難しく野暮ったく見えるため、セレクトショップの別注品などではシルエットをオーバーサイズにしたものや素材を変えて作業着に見えない上品さをプラスしたものなども多い。

 G9が名作なのはわかるんですが、大事なのは「かっこよく見えるかどうか」です。

「G9って名作で~」とキャバクラで能弁を垂れるだけのダサおじは誰の目から見てもかっこ悪い! 名作を着るならかっこよく合わせないとバラクータに失礼だと思いませんか……??

④細すぎる綺麗めミリタリーアウター(パラシュートボタン)

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ミリタリーアウター
 こちらは「何年代に流行った」ということでもなく、なぜか根強くメンズファッションにしぶとく残り続けてるアウター。細すぎる綺麗めミリタリーアウターです。量販店やイオンモールの格安店などにいくと必ずと言っていいほど置いてあり、服に興味のない大学生やおじさんなど、なぜか一定数の着用者を常に維持し続けているメンズアパレル業界で謎人気を誇る珍品。

 誰がどう見ても今のトレンドには合わない細身シルエット……ミリタリーという土臭い印象に反するコンパクトなサイズ感はどうにも「なんちゃって品」な雰囲気が漂い安っぽい。

 ポケットの数が多く、タフで耐久性が高いため支持されているのかもしれないが、そこでモノ選びをしているとするとそれは「実用品」としての評価。

「おしゃれ着」としてはトレンドにも反するし、ミリタリーのオリジナルデザインにも反するし、いいところが少なすぎる……。

なぜかこの手のアイテムは安っぽい仕様に

 さらになぜかこの手のアイテムはボタンだけ妙にこだわっており、ミリタリーディティールでも見られるパラシュートボタンを採用しています。

 パラシュートボタンとはテープに固定させた形状で物理的にボタンが外れることがほぼない実用性に優れた機構。

 そのためミリタリーでもよく採用されるのですが、なぜかこの手のアイテムはカラフルなテープを使ったりと安っぽい仕様にしがち。

 なぜわざわざパラシュートボタンを採用するのか謎。確かに実用性は高いけれど、チープな印象しか残らないと思うのだけれど……。

⑤ショートダッフルコート

「ダサい中年男性」はだいたい身に着けている“時代遅れなアウター“ワースト5
ショートダッフルコート
 ショートダッフルコートが流行ったのは2000年台前半の話。

 もともとダッフルコートは学生のイメージが強く、カジュアルアイテムとしては敬遠されがちだった。

 そんな中、ショート丈でブルゾンライクに仕上げたシルエットが人気となり「学生感のないショートダッフル」ということで人気を博したのがこのカテゴリ。


大衆に消費され、時代遅れの長物に

 しかし、それも多くの格安量販店に消費されてしまい、普及に普及を繰り返し、ファッションに興味がないおじさん層にまで届くように。

 すると反動でロング丈のダッフルコートなどが人気となり、現在はオーバーサイズでロングコートのダッフルコートのほうが人気に。ショートダッフルは時代遅れの長物となってしまったのです。

 今だにショートダッフルを着ている人は絶滅危惧種。今すぐ街に出て新しいコートを買おう!

 以上、買っちゃいけない「10年前のトレンドアウター」5選でした

―[メンズファッションバイヤーMB]―

【MB】
ファッションバイヤー。最新刊『ロードマップ』のほか、『MBの偏愛ブランド図鑑』『最速でおしゃれに見せる方法 』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』など関連書籍が累計200万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超! (Xアカウント:@MBKnowerMag)
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