セクシー女優デビューの前は、2年ほどグラドルとして活動していたといいます。
171㎝の長身と抜群のスタイルで、グラドルとしても大人気……と思いきや、グラドルとしてはいまいちパッとせず。
その後セクシー女優デビューを決めたわけですが、白河さんがグラドルを辞めたのは「グラドル業界の裏側」を目の当たりにしてしまったのが大きな原因なのです。
39歳でグラビアアイドルになった
――白河さんはセクシー女優デビューの前にグラドルとしても活動されていますよね。白河花清(以下、白河):はい、別名義ですが、活動していました。
39歳のグラビア業界デビューで、ニュースになったりもしたんですよ。
でも結局、グラドルでは自分の思い描いていた未来にはたどり着けないと思って、セクシー女優に転身したんです。
――白河さんが「思い描いていた未来」とは、具体的には?
白河:自分としてはもっと有名になって、年齢を理由にいろいろと諦めてしまう方の背中を押したい、「諦めないで」と応援したいって考えていたんです。でも、グラドルとしての限界が見えてきて…現実を知りましたね(笑)。
そもそもグラビア界の「キラキラした世界」が、自分に合わなかったかな、とも思います。
かわいらしさや華やかさ、いわゆる「アイドル性」が求められるんですけど、それを私がやるとどうしても、自分を偽っている感じが出てしまって。
――キャピキャピの自分を演じている、みたいな感じですか。
白河:そう、そこに居心地の悪さを感じてしまって。あとはグラドル業界の「裏の面」と言うか……。
「太いファン」とつながるグラドルも

白河:たくさんグラドルが集まるイベントとかだと、実は裏ではバチバチで。
「他人を蹴落としてでも、自分が上に行く!」って覚悟がある子じゃないと、目立てない。
でもお客さんの前では、みんなニコニコ。そんな表と裏のギャップが、見ていて苦しくて。
――白河さんは、もう見た目の雰囲気から「自分が目立つ!」ってタイプじゃないですもんね。「他人を蹴落とす」って、具体的にどんなことが?
白河:たとえば、ファン投票で競い合う場合がありますよね。
そういうときは、結局お金がある「太いファン」の力が大きくて。
それで女の子によっては、そういう太いファンに距離感近めの過剰サービスをする、とか。イベントだけならともかく、プライベートで太いファンと「つながっちゃう」子なんかもいるんです。
お金のあるファンとグラドルとの不適切な関係

白河:そういうことですね。
あとは「投げ銭形式で競い合う」システムのときに、最後の最後で大量に投げ銭をもらって勝った子がいたんです。
その子が太いファンとあからさまな感じでイチャイチャしている現場を、撮影会で見てしまったり。
そういうのが重なって「クリーンな世界じゃないな」と。ある意味、売れるために割り切ってなんでもやる子、そういう子が売れるんでしょうけど、私はそれができる人間じゃないな、と思ってしまったんです。
――なるほど……。
白河:そういう子がいると、ファンの方のなかに「自分も同じようにつながれるかも」って思って近付いてくる人も出てきちゃうんですよ。そのあたりも精神的にすり減っちゃった点ですね。
そういうことが続いて、当時の事務所に相談したんですけど「守ってくれる」より「そのくらいやらなきゃ」って感じで。
そのあたりも納得できなくて、結局事務所も信用できなくなっちゃいました。
イメージDVDの撮影現場でもトラブル続出
――売れるためとは言っても、もう少し女の子を守ってくれないと、と言いたくなります。白河:あとは、イメージDVDの撮影のときにも違和感と言うか……。
なんだか「スタッフさんとの距離が妙に近いな」とか「思っていた内容と違うな」とか、そういう点も不満でした。
――そのあたり、こちらの業界は気を使う部分ですからね。
白河:本当に、もう全然違いました。こっちの撮影の方が健全だと思ってしまうくらい(笑)。
スタッフさんとの距離もしっかり保たれていますし、普段は全部見せていますけどカメラが止まればすぐにガウンを着せてくれる、みたいにすごく守ってくれると言うか、メリハリがあるんです。
イメージDVDの撮影みたいに「思っていた内容と違う」なんてこともないですし。
――そのあたりは、AV新法の存在も関係してきますよね。撮影内容は全部説明して、出演者に了承を取らなければならないのがこちらの業界ですから。グラビア業界だと、そのあたりの明確な縛りがないので、ちょっと距離の取り方も含めて違う部分はあるのかもしれません。
「脱ぐ覚悟」さえあれば働きやすい業界

――問題は「脱ぐ覚悟があるか」ですか。そこが一番大切な部分ではあるんですが。
白河:そうですね、だから「誰にでもおすすめできる仕事」ではないです。あくまでも私にとっては、セクシー女優はピッタリの仕事、ということです。
――本人にとって「ピッタリ」と言える仕事に出会えるのは、素敵なことですね。
白河:グラドル時代はもっと表にでて、ほかの活動にもつなげていきたかったんですけど、それができませんでした。
セクシー女優になって、いろいろなお仕事もさせていただけるようになりましたし、ファンの方に応援もしてもらえています。
それが本当にありがたいので、私はセクシー女優として頑張っていけているんだと思います。
<取材・文/蒼樹リュウスケ、写真/杉原洋平>
【蒼樹リュウスケ】
単純に「本が好きだから」との理由で出版社に入社。雑誌制作をメインに仕事を続け、なんとなくフリーライターとして独立。「なんか面白ければ、それで良し」をモットーに、興味を持ったことを取材して記事にしながら人生を楽しむタイプのおじさんライター