大事件ばかりがニュースではない、身近な小さな事件の方が人生を左右することも。注目のテーマを取り上げ大反響を呼んだ仰天ニュースを特別セレクション!(初公開2023年8月5日 記事は取材時の状況) *  *  *

 汗臭、生乾き臭、ワキガ臭……。
「ニオイ問題」に直面している人は多いのではないか。同僚や友人など、関係性の近い人が独特のニオイを漂わせていたら、どう対応するのが正解なのか。センシティブな事柄なだけに伝え方は非常に難しい……。

 広告代理店で営業職をしている河原睦美さん(仮名・28歳)は、先輩社員とデートしている際、まさにそんなシチュエーションを体験したという。

「大きいほうを漏らしたかと思った」デート中に漂う悪臭の正体は...の画像はこちら >>

会社の先輩とサッカー観戦に

5年ほど前の話になりますが、同じ部署の先輩と良い感じになったことがありました。会社の飲み会で意気投合して、休日に共通の趣味であるサッカーを観に行くことになったんです」

 観戦中も先輩との話題は尽きず、盛り上がったという。

「先輩はあれこれと気を回してくれました。集中して試合を観たいはずなのに、私のために途中で飲み物や食べ物を買ってきてくれたりして。前から先輩のことが気になっていましたが、改めて良いなと思いました」

良い雰囲気だったのに「強烈なニオイ」が…

 その後、打ち上げと称して個室居酒屋に行くことに。

「そこでは恋愛トークで盛り上がって、かなり良い雰囲気だったと思います。でも、気になることがひとつ。なぜか、ひどい悪臭がするんです。嘔吐物や排泄物を思わせる強烈なニオイでした。完全な個室というわけではなかったので、隣の席でくさやでも食べているのではないかと思いました。
そんな気になることがありつつも、先輩から『この後うちでサッカーでも観ない?』と誘われて……」

 時刻は22時に迫ろうとするころ。部屋に行ったら恐らく終電を逃すことになる時間帯だ。河原さんはドキドキしながら先輩の誘いを承諾した。二人で店を出たが、すぐに違和感を覚えたという。

外に出てもあのニオイがするんです。彼の家に行くため、駅に向かって歩いていても、とにかく悪臭が気になってしまい……口数も少なくなっていました」

突然態度が急変して「実家に帰る」と…

 口数が少なくなったのは、ある疑いがあったからだった。

「もしかしたら……彼は大きいほうを漏らしたんじゃないかと思いました。飲んでいる時にも頻繁にトイレに行っていたので、下痢なんじゃないかって思ったんです。彼は黒っぽいズボンを履いていたので、見た目ではわかりませんでしたが、そうでないとおかしいと思うぐらいのニオイでした」

 そんなことを考えていると、先輩がある行動に出る。

「隣を歩いていた先輩が、こちらにグッと近づいてきたんです。私が黙っていたので、気になったんだ思います。先輩は私に顔を近づけて何か話したんですが、その言葉の途中で黙り込んでしまいました

 その後、先輩の態度が急変したという。

「距離を取って歩くようになって、言葉数が少なくなりました。
携帯をいじっていたかと思うと、『これから実家に帰らなきゃならなくなった』と言われました。『ご家族に何かあったんですか?』と聞くと、冷たい口調で『まあ、そんな感じ』と。それ以上は話そうとしませんでした……。こちらを見ようともせず、私は『わかりました』と返すしかありませんでした」

悪臭の正体はまさかの…

 先輩の態度にショックを受けながら、駅で別れたが、あることに気づいてさらなるショックを受けることになった。

「先輩の態度から、もしかしたら、ニオイの原因は私なのではないかと思うようになりました。でも、何も思い当たることがないんです。でも、帰宅途中でわかりました。その日、首の後ろにデキモノができていたんですが、それに触れた手を嗅いでみたら、強烈な悪臭がしたんです

 後日、病院に行ってみると、「粉瘤」だと言われた。皮下に袋状のデキモノができ、そこに皮脂の老廃物が溜まり、細菌なども繁殖するため、ひどい悪臭を放つことがあるのだという。

「先輩との関係は、その後、進展することはありませんでした。自分が悪臭を放っていて、そのせいで嫌われたのだと思うと本当にショックで……。それに、きっと周りに話したりするんだろうと思うと、心底落ち込みましたね。
熱が出て、3日ほど会社を休むほどでした」

 その後、ショックを忘れようと仕事に邁進したところ、営業成績は大きく伸びて、昇進するきっかけになったという。怪我の功名とはまさにこのことだが、いまだにこの出来事を思い出すたび気持ちが重くなるそうだ。

<TEXT/和泉太郎>

【和泉太郎】
込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め
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