―[ゼロ恋愛 ~経験値ゼロから学ぶ恋愛講座~/堺屋大地]―

 こんにちは、恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラーの堺屋大地です。
 筆者はLINE公式サービスにて計1万件以上のチャット恋愛相談を受けてきました。
また知人経由で対面の相談を受けることも多く、性別・年齢問わずさまざまな方の恋のお悩みをうかがい、知見を深めているのです。

 2020年国勢調査によれば、日本人の「生涯未婚率」(50歳時の未婚割合)は年々上昇しており、女性は17.8%、男性に至っては28.3%にも及びます。そんななかで、恋愛がうまくいかないという方々にも筆者の知見が少しでも役に立てばなによりです。

「婚活がうまくいかない人」に共通する発言とは。自分を客観視で...の画像はこちら >>

今回の相談者は婚活に悩む男女1人ずつ

 今回のご相談者は婚活に励んでいる男女1人ずつ。けれど両人とも同じ悩みを抱えていたのです。

 まずは、歴代彼女人数は2人で、ここ10年以上は恋人がいたことがないという竜太郎さん(仮名・男性・40歳)。年収は500万円台ということで、経済力的には問題なさそうですが……。

「婚活を始めて2年経ちますがうまくいってません。そもそも僕が良いなと思える女性が少ないんですけど、たまに出会えたとしても最終的にフラれてしまうんです。

僕は年下がタイプなので『30代前半の女性』というのが唯一の条件ですね。ほかにはこだわりはないし、高望みもしていないので、本当にどこにでもいる“普通”の子でいいんですけどね……」(竜太郎さん)

 お次は、歴代彼氏人数は10人以上で、20代の頃は地方のキャバクラで働いていたというミチルさん(仮名・女性・32歳)

 30代に突入する前に水商売からあがり、現在は派遣で事務職をしているそう。

「キャバ時代にカネがあっても性格がクズな男とか、ツラ(顔)が良くても女グセが悪い男とか、さんざん見て来たので、性格がまともなら本当に年収もビジュ(見た目)も“普通”でいいんですよ。


 それなのに、アプリ(マッチングアプリ)で婚活してるんですけど、良いなと思う人はヤリモクのチャラ男で、向こうから私に言い寄ってくるのは普通未満の男ばっかりで……」(ミチルさん)

結果的に高望みになってしまっている?

 おわかりになったかもしれませんが、二人に共通しているのは、結婚相手は“普通”でいいと思っているのになかなか見つからないこと。

 竜太郎さんとミチルさんからは別々の時期に相談を受けていたのですが、筆者からお伝えした内容は基本的にはほとんど一緒でした。

 結論から言いますと、謙虚に控えめな条件として“普通”の相手を希望しているようで、実はその“普通”の感覚がズレており、結果的に高望みになってしまっている――ということです。

“中の中”女性を「かわいくない」と却下

 竜太郎さんが唯一掲げている条件は「30代前半」ということですが、5歳~10歳も自分より若い女性に限定していることになるので、この時点でけっこうハードルが上がっています。

 また竜太郎さんのように恋愛から遠ざかっている人の“あるある”なのですが、“普通”と言いつつも女性のビジュアル(主に顔)は、平均より上を求めているというのはよくあるケース。

 プライベートではあまり女性と接する機会がなく、テレビやネットに出ている女優やモデルに見慣れてしまうと、世の中のリアルな平均がわからなくなってしまうからです。

 特にテレビなどでイジられキャラになっているアイドルは、世間的にはかなり上位のビジュにもかかわらず、「かわいくない」と雑な扱いを受けることもあるため、視聴している男性は感覚がマヒしてしまうことも……。

 実際、竜太郎さんに何十人かの女性の写真を見せ、彼の恋愛対象となる「普通」の女性をピックアップしてもらったところ、“中の上”以上の見た目の子を選んでおり、“中の中”レベルの女性は「かわいくない」と却下していました。

 明らかに“普通”の基準が高めにズレていたというわけです。

“普通”の年収として条件は「500万円」

 ミチルさんにも何十人かの男性の写真を見せたことがありました。「普通」の男性をピックアップしてもらったところ、彼女はきちんと世間的に“中の中”のルックスの男性を選べていたのです。

 そんなミチルさんは年収も“普通”でいいとおっしゃっていたので、具体的な金額を聞いたところ、「500万円あればOK」とのこと。ここがミチルさんの“普通”の基準が高めにズレていたポイントでした。

 転職サイト『doda』が発表した、20歳~65歳までの登録者(2023年9月~2024年8月期間中)の年収データによると、男性の年収の平均値は「481万円」。

 平均値で見るとミチルさんの“普通”はそこまでズレていないように思えるかもしれませんが、婚活市場で現実的に重視されるのは平均値ではなく中央値。


 同データで男性の年収の中央値は「420万円」のため、ミチルさんの希望する「500万円」がかなり高めにズレていることがわかります。

 さらに言うと、経済力と性格の良さを兼ね備えた“優良物件男性”ほど、20代のうちに結婚しているケースも多く、婚活市場からどんどん抜けていっているのが実情。

 ですからミチルさんと同世代の30代で、年収が500万円あって性格もまともとなると、だいぶ“高め”を狙っていたことになるのです。

自分の“普通”は本当に“普通”なのか

 竜太郎さんやミチルさんに限らず、婚活中で「高望みしないから“普通”の相手でいい」と言う人はたくさんいらっしゃいます。

 “普通”の相手を望んでいるのに婚活がなかなかうまくいかないという人は、自分が掲げている“普通”という条件が、本当に“普通”なのか、客観視してみてください。

 その“普通”という基準が、本当に婚活市場における標準値になっているのか? また、自分の婚活市場での価値を適正に判断したうえでの条件なのか?

 “普通”の基準を見直すことで、婚活の活路が開けることもあるかもしれません。

<文/堺屋大地>

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【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。本連載意外に『SmartFLASH』(光文社)でドラマコラム連載、『コクハク』(日刊現代)で芸能コラム連載。そのほか『文春オンライン』(文藝春秋)、『現代ビジネス』(講談社)、『集英社オンライン』(集英社)、『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)、『女子SPA!』(扶桑社)などにコラム寄稿。LINE公式のチャット相談サービスにて、計1万件以上の恋愛相談を受けている。公式SNS(X)は@SakaiyaDaichi
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