―[経済レポーター×銀座No.1ホステス・山崎みほ]―

「部下が指示を聞いてくれていない…」「社内イベントの参加率が悪い…」

あんなに頼んだのになぜ?と困ってしまったことはありませんか?

実は、ストレートにお願いするだけでは、人はなかなか動いてくれないものーーほんの少し工夫するだけで、聞いてもらえる確率はグッと上がります。

昼は経済レポーターとして上場企業の社長たちを取材し、夜は銀座ホステスとしてトップクラスのビジネスパーソンを接客してきた私が、現場で学んだ「人の心の動かし方」についてお話しします。
ビジネスマンのあなたの「今日から使える武器」になれば幸いです。

銀座No.1ホステスが明かす「思い通りに人を動かす」技術。悪...の画像はこちら >>

「ホステスの誕生日=お金を使わせられそう」と思わせない工夫

夜の世界では、ホステスの誕生日をはじめとしたイベント事が多く行われます。でも、

「バースデーイベントをするからお祝いに来てほしい」

と伝えるだけでは、お客様に「営業された」「人数合わせにされている」「お金を使わせられそうだ」という印象を与えてしまい、簡単に来店には繋がりません。

もちろん、ただ告知するだけでお客様を呼べるアイドル的な人気のホステスもいますが、私はそうではないので、ある工夫をしていました。

それは、お客様を“巻き込む”ことです。

ホステス流、相手を巻き込む方法とは?

たとえば、誕生日の1か月以上前に、そもそも「バースデーイベントを行なうかどうか」をお客様100人ほどに相談してしまいます(夜の世界では、バースデーイベントはホステス全員が必ず行なうわけではなく、ある程度お客様を呼べる自信がない限りは実施したがらないホステスが大半です)。

「こういう理由で、バースデーイベントをやろうか迷っているんだけど、どう思う?」と聞くのです。

このとき、「このお客様ならきっと、こんな背景を伝えれば『やってみたら?』と答えてくださるだろうな」というストーリーを、個別に考え抜いた上で相談します。

後押ししてくれる返事がきたら、「〇〇さんがそう言ってくれたおかげで勇気が出たので、思い切ってイベントやってみます!」と伝えます。

ホステスにとって、バースデーは年に1度の一大イベントであることをお客様も知っているので、そんな大きな決断を自分に相談してくれたら特別感がありますし、「顔を出してあげなきゃな」と自然に思ってくださいます。

当時、多くの夜のお店では、1日に10~20組ほどのお客様に来ていただけたらイベント成功とされていましたが、私はお客様を巻き込むことを意識するようにしたら、1日で40組、2日間で約70組ものお客様に来ていただくことができました。

アドバイスを聞こうとする姿勢が大切

銀座No.1ホステスが明かす「思い通りに人を動かす」技術。悪用厳禁の“ズルい心理学”
写真はイメージです
ちなみに、少数派の「イベントはやらなくていいのでは?」というお客様には、「〇〇さんの言う通り、やらない方向で考えたけど、お店に言われてやることに決まっちゃった…」などと伝えて、あくまでもアドバイスを聞こうとした姿勢は見せておきます。

また、どのお客様がどんな意見をくれたかはすべてメモしておき、来店されたら「不安だったけど、〇〇さんがくれたこの言葉がとても響いたから頑張れた」とひとりひとりにしっかりと感謝を伝えます。

そうやってイベントに“巻き込む”ことで、お客様は「一方的に営業をかけられた」という嫌な気持ちになることなく、一緒に楽しんでくださったり、応援してくださいます。

人は“自分を頼ってくれる相手”が好き

心理学では、相手にアドバイスを求めることで関係を深め、積極的に動いてもらうテクニックを“アドバイス・シーキング”といいます。

言うなれば“巻き込み力”ーー人は、自分を頼ってくれる相手や、自分の意見が反映されたものには特別な思い入れを持つのです。


ビジネスも周りを巻き込めば上手くいく

もちろん、アドバイス・シーキングは昼のビジネスでも有用です。

たとえば、部下にあるプロジェクトについて「この方向で進めておいて」と指示だけするよりも、「このプロジェクト、どう進めたらいいと思う?」と意見を求めた方が、責任感や主体性が生まれて、やる気を出してくれるでしょう。

参加率の低い社内イベントも、ただ参加を呼びかけるだけでなく、「今度の社内イベント、どんな企画があったら面白いと思う?」と社員の声を聞くことで、一気に盛り上がるかもしれません。

もちろん、ただ口頭のテクニックとして使うのではなく、本当に相手の意見を大切にし、受け入れようとする姿勢が重要です。せっかく意見したのに否定されたら、自尊心を傷つけてしまい、逆効果になってしまいます。

相手の意見を聞くこと。聞けなくても、尊重しようとする姿勢を見せること―。

一時的にお願いを聞いてもらえるだけでなく、長期的な関係性を深めることもできる心がけです。

相手を単なる受け手にさせない“巻き込み力”、ぜひ使ってみてくださいね。

<文/山崎みほ>

―[経済レポーター×銀座No.1ホステス・山崎みほ]―

【山崎みほ】
経済レポーター。証券外務員一種/行動心理士。
株式投資情報のレポーターとして、上場企業の取材記事や経済ニュースを執筆。
Yahoo!ファイナンス、YouTube等メディアでは上場企業社長のインタビューも行う。また、銀座の高級クラブでホステスとしても勤務、心理学と行動経済学の知識を基にNo.1を獲得。経済レポーターの深い洞察力と人気ホステスとして培った対人関係術を融合し、夜の世界では1日40組、昼間の営業職では成約率90%の成績を上げるなど、昼夜問わず結果を出すスタイルを築いている。Xアカウント:@mihoy001
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