「恋愛願望も結婚願望も今はありません。完全に美容オタクになっています」
デビューのきっかけや過去の恋愛、肌で感じた業界の変化、さらには驚くほどハマっているという美容とアンチエイジングについても語ってもらった。
デビューを決めたのは、引っ越し費用を稼ぐため

「引っ越しの費用を稼ぎたかったからです。どうしても恵比寿に引っ越したくて……。でも敷金、礼金、前家賃や手数料、新しい家具の購入も含めると、トータルで200万円くらい必要だったんです」
——そんなにイイところに住もうとしていたのですか?
「実は当時、何回か遊んだことのあるバンドマンから『所属事務所の近くに部屋を借りて』って言われていたんです。その事務所があったのが恵比寿。私はその頃、恵比寿まで1時間はかかる場所に住んでいたので、なにかと不便だったんでしょうね」
——そのバンドマンは、彼氏というわけではなかった?
「付き合ってはいなかったですね。それどころか、会ったのもまだ4回くらいだったかな。でも、その時は私も六本木の飲み屋で働いていたので、立地的にちょうどいいと思ったので引っ越しを決意しました。
——セクシー女優になって200万円を稼ごうと思ったのですね。
「たまたまお店のお客様にメーカーの社長さんがいたので『セクシー女優って稼げるの?』と聞いてみたら、『いくら欲しいの?200万?そんなのあっという間だよ!』って言われたんです。本当にすぐ稼げました(笑)」
——デビューした途端、瞬く間に人気女優になりましたよね。
「そうなんです!いざデビューしたら、想像以上に売れて有名になってしまったんですよ。でも、そしたら例のバンドマンの事務所に気づかれて『もう会わないで欲しい』って通達がきちゃったんです。向こうも売り出し中だったし、しょうがないことなんですよね」
——大金をかけて引っ越しまでしたのに、そんな結末とは。未練はなかったのでしょうか。
「会えなくなった後、バンドマンのサイン会にこっそりと行きました。でも、向こうに気づかれてアチャーって顔をされたのを見て、本当に私に会ったらヤバいんだな、と。でも、まったく引きずらなかったですね。『ま、いいか』くらいの感じでした」
——彼のこと、そんなに好きではなかった?
「というより、セクシー女優の仕事がやってみたらすごく楽しかったんですよ。昔からアイドルへの憧れがあったのですが、『セクシー女優って大人のアイドルみたいでいいじゃない』って(笑)。
——そこまで思い入れのあった仕事にもかかわらず、2004年に引退していますね。
「私としては引退とは明言していないんですよ。本当に撮れるところまで撮るつもりでいました。でも続けているうちに、どんどん新鮮みが薄れていって、仕事が面白くなくなってきちゃったんです。最後の方はやったことのないオファーだけ受ける方式をとっていましたね。
実はその時に、どうしてもニューハーフさんとの作品を撮りたくて、メーカーさんにリクエストをしていたんです。でも出てくれる方が見つからなかったので、ズルズルとそのまま自然消滅という形になりました」
“愛田るか”を知らない人が増えていくことが寂しかった

「六本木でバーをやっていたのですが、それは2年で畳んでしまいました。スロットで食べていたこともありますね。その時の彼氏がスロットのプロだったので、師と仰いで教えてもらっていたら勝てるようになりました(笑)」
——その後2006年に一度復活し、2010年頃に再び表舞台から去っています。そして、今年なんと15年ぶりに“愛田るか”が業界に復帰。どのような経緯があったのでしょうか。
「知人の女性に『セクシー女優になりたい』と相談をされたんです。
同時に、どんどん“愛田るか”を知らない人が増えていくことに寂しさを感じていたんですよね。もう一度、戻れるならば戻りたいという思いが根底にはありました」
——業界のルールなどが、15年前とは大きく変わったと思います。久しぶりに戻ってきて、体感としてはいかがでしたか?
「まず、絡みのシーンに台本があることにビックリしました。することが予め決まっていて、プレイ内容もガチガチに固められている印象です。ある撮影でアドリブ的にカメラ目線の挑発をしたら、監督から『そういうのやらなくていいです』と言われてしまいました(笑)」
——厳しい(笑)。
「現場も無駄がない印象ですね。昔みたいなその場の思い付きで『面白いからコレやろう』ってこともないんですよ。本音でいえば、私はそんな雰囲気の中で自由にやらせてもらう方が好きなんですけど……それはもう、時代の流れですよね。
でも、最近はドラマものの作品が多くて演技をする楽しさに目覚めたところなんです。
人生は「災い転じて福となる」

「そうなんですよ。ずっとお一人様です。ただ、一度だけ結婚しようとしたタイミングはあったんですよ。相手はスロットの師匠だった彼です。7年間同棲していました。顔はぜんぜんタイプじゃなかったけど、それ以外は何も嫌なところがない人でした」
——それでも結婚には至らなかった?
「彼がぎっくり腰になった時に、ものすごく八つ当たりされたんですよね。『タクシーを捕まえてこい!』から始まって、乗車中に『タクシーを揺らすな!』って無茶言われて(笑)。でも、その時に『この人はきっと、大事なこともすべて他人のせいにする』と思ったんです。もしも子どもができて、その子に何かあったらきっと私のせいになる。一緒にいて楽しい人ではあったけれど、人生のパートナーとしては無理だと感じました」
——今、結婚願望はありますか?
「全くないですね。
——それまであまり美容に興味はなかったのですか?
「セクシー女優をやっていたのに、コンビニで売っているコスメでじゅうぶんだと思っていましたね。何も気にせずに生きていました。今や、サロンに通ったりヒアルロン酸を打ったり。SNSで話題の美容法があれば即座に飛びついちゃいます」
——なぜ急に美容に目覚めたのでしょうか。
「たまたまスマホのノーマルカメラで自分を撮った時にビックリしちゃったんですよ。明らかに二重の幅が狭くなって、瞼も垂れて、若い頃と目の形が変わっていたんです。『えーっ!』って思わず声を出しちゃいました(笑)。加工できるアプリで撮っていると、そういうのがわからなくなるものですね……」
——どういった美容法を実践したのですか?
「目の形を綺麗にするために眉の下を切開しました。病院のカウンセリングで目の下のクマも指摘されたので、それもやることにしたんですけど……全部、失敗したんです……」
——失敗?どういうことですか?
「切開の傷が残って二重も結局形が変わって、クマのあった部分も凹んでしまいました。でも美容にハマったきっかけは、まさにこの失敗からなんです」
——もう二度とやるものか、とはならなかったのですね。
「そういう感覚はなかったです。
——この話、冒頭のセクシー女優デビューと似た流れのような(笑)。
「つまり私は、ずっと変わらずにポジティブ思考なんです。人生は『災い転じて福となる』ですよ」
——では、最後に今後の目標を聞かせてください。
「現役のセクシー女優としては60歳まで頑張りたいですね。還暦を超えたら隠居してのんびり暮らす。そのためにも、今は仕事に全力で向き合いたいと思っています」
——ありがとうございました!
<取材・文・撮影/もちづき千代子>