KAT-TUN脱退後とはいえ、元トップアイドルが薬物で逮捕されたニュースは世間を大きく騒がせた。
それから6年。現状、表舞台で見かけることがあまりない田口氏は、どのような生活を送っているのだろうか。
取材場所に指定されたのは、男性キャストがパフォーマンスを行う新宿のショークラブ『A-MEN’S TOKYO』。
扉を開けて店内に入ると、アイドル時代と変わらない笑顔の“田口くん”が出迎えてくれた。
月の半分はステージに立っている
――今回の取材場所にこちらの店を指定したのはどうしてですか?田口淳之介(以下、田口):僕がいまディレクター的な立ち位置でこの店に関わっているんですよ。
ステージに出る男性キャストの採用や育成をやったり、ショーの構成も考えています。この店は2024年8月にグランドオープンしたんですが、店内の内装のアイデアも出しました。
あと、月の半分くらいは僕もステージに立ってます。ありがたいことに僕目当てで来店されるお客様もいるので、スケジュールが許す限りは出るようにしてますね。
――ショークラブ運営以外にも、タレント、麻雀プロ、ポーカートーナメントシリーズ『JOPT』の公式パートナーを2年間務められたりと、非常に幅広く活動されています。現在の職業は何になるんでしょうか?
田口:いろいろやってますが芸能人ではあると思います(笑)。JOPTの公式パートナーは7月で活動が終了しましたが、10月5日に大阪で開催されたポーカーの大会『GACKT’S PARTY』で優勝したり、趣味が仕事になっている感じです。

去年の休みはたったの“4日”

田口:たしかに忙しいです(笑)。
――ここまで精力的に活動される原動力はどこから湧いてくるんでしょうか。
田口:皆さんの応援が大きな力になっています。最近は、奈良のイオンモールでトークショー&ミニライブをしたんですが、400人の方が集まってくれました。

営業の仕事を多くいただけるのは、アイドル時代に得た知名度によるところも大きいと思います。脱退しましたが、KAT-TUNには感謝しかないですね。
キャストを指導するときに気をつけていること

田口:ありがたいことに僕きっかけで来店していただく方も多いです。
でも、現場で新たな推しを見つけるケースも増えてきて、それはキャストのやる気に繋がるし、店的にもとてもいいことだなと感じています。
あくまで僕はきっかけでよくて、そうしたいい循環のとっかかりになれたらいいんですよね。
――キャストを育成する際に、アイドルとしての経験は役に立っていますか?
田口:ステージに立ったり、レッスンを重ねた経験は間違いなく役に立っています。
ただ、この店は僕たちがコンサートをしていた東京ドームのような大規模な会場とは違って、手を伸ばせば届きそうなほど距離が近いんですよ。客席からよく見える分、細かい部分への心配りもするように指導しています。
僕がレッスンを受けた当時は、怒鳴られたりするのが当たり前の古い指導方法だったんですよね(笑)。
いま教えているなかには20歳前後の子もいますし、そんな時代じゃないので、さすがにそこは現代風に調整してやってます。
「しくじり先生」に出てみたい

田口:なんだかんだ言って影響力は大きいですし、やっぱり地上波のテレビに出たいですね。
特大のしくじりがあるんで『しくじり先生』とか、アリじゃないかなぁと勝手に思っています。
歌手活動も続けたいです。僕ももう今年で40歳になりますが、郷ひろみさんや田原俊彦さんが現役で活躍されているのを見ると、まだまだ頑張れるはずだって思えます。
少しでも見た目を保てるように、エステに通って肌のメンテナンスをしたり、体力づくりのために週に2回くらいトレーニングもしています。
――田口さんは堺雅人氏が主演を務めた2012年のドラマ『リーガル・ハイ』(フジテレビ系)への出演など、俳優業もされていました。お芝居に対するモチベーションはいかがでしょう。
田口:すごくあります! 最近だと縦型のショート動画に出演したり、役者としての仕事もやっていきたいです。
――来るもの拒まず的な?
田口:オファーがあるだけで嬉しいんで、いまなら全部受けちゃう勢いです(笑)。
――田口さんは日本プロ麻雀協会所属のプロ雀士でもありますが、麻雀での目標はありますか?
田口:麻雀プロになったきっかけが、プロリーグである『Mリーグ』参戦で、その目標は変わっていません。ただ、企業チームからドラフトで指名されないとMリーガーにはなれないので、今後もとにかく頑張るしかないなと。
「自分はエンターテインメントの世界しか知らない」

田口:さすがにいま抱えているもので手一杯なので(笑)。まずは『A-MEN’S TOKYO』の店舗運営を軌道に乗せることが当面の目標です。
まだオープンして1年ほどですし、ショークラブの経営が安定するまでに4~5年はかかると言われているので、地道にやっていけたらと思います。
あとは店に所属するキャストからスターを生み出したいとも思っています。
芸能だったり、ダンサーだったり、この店で働くだけじゃなくて、彼らがさらに上に羽ばたけるようにできたらいいですね。
――活動は多岐に渡りますが、全部まとめて田口さんの今後の展望を教えてください。
田口:自分が楽しさを提供して誰かに喜んでもらいたい、という軸はこれまでも、そしてこれからも変わらないですね。MBTI診断もESFP型(エンターテイナー)でしたし、なにより自分がやってて楽しいので、肌に合っているんじゃないかなと思います。
中学生で当時のジャニーズ事務所に入ってエンターテインメントの世界しか知らないんで、これしかできないと言ってしまえばそうなんですけど(笑)。
ありのままの自分を評価してもらいたい
――今回お話を聞いて、一度転落してしまったのにとても前向きだなと感じました。田口:僕、根っからのポジティブ人間なんですよ。
人間は誰でも失敗することもあると思うんですけど、くよくよしてたって何も始まらないでしょ? 僕の場合は逮捕という大きすぎる失敗でしたが、応援してくださる方がいる限りは頑張るしかないじゃないですか。
KAT-TUN時代と比べると状況は大きく変わりましたが、自分を大きく見せるつもりはないですし、「田口っていまこうなってるんだ」と、今回お話しした現時点のありのままを見て評価してもらえたらいいなと思います。
「逮捕されたくせに偉そうなこと言うな」という声が上がるかもしれませんが、それも自分の位置や見え方を知るという意味でありがたい意見。とにかく日々誠実にやっていくだけです。
――インタビューに非常に気さくに対応してくれた田口淳之介氏。大きなつまづきはあったが腐ることなく、実直に進み続ける田口氏なら、再びメディアを賑わせてくれる日もそう遠くないかもしれない。
<取材・文/松嶋三郎 撮影/杉原洋平>
【松嶋三郎】
浅く広くがモットーのフリーライター。紙・web問わず、ジャンルも問わず、記事のためならインタビュー・潜入・執筆・写真撮影・撮影モデル役など、できることは何でもやるタイプ。X(旧Twitter):@matsushima36