みなさんは「転売ヤー」に苦しめられた経験はありますか?
コロナ禍ではマスクに、Nintendo Switch、PlayStation5など様々なものを買い占めては、世間のヘイトを集める「転売ヤー」たち。
『転売ヤー 闇の経済学』(著:奥窪優木 新潮新書)など彼らを取材・研究対象とする書籍も出版される始末。
中を見る限りでは彼らには彼らなりの主張があるようですが、どうにも賢い生き方には思えません。
それは、ステークホルダーになりきらないが故の、ゲームチェンジャーに対する耐性の欠如です。
先日、これを象徴するような事件がありました。
備蓄米を800円上乗せしながら転売した男女2名が、国民生活安定緊急措置法違反の疑いで書類送検されたのです。
結局不起訴になったものの、最終警告であるように見えてならない。
今回は「転売ヤー」のビジネスモデルがもつ致命的な欠陥について考えます。
「手に入らない人へ配る」という大義名分
端的に言えば、従来の販路を形成している各業者は共生関係にあるのに対して、転売ヤーは寄生関係にあると考えられるため、立場が弱い。小売業者がいる理由と転売ヤーの言い分は、確かにある程度重なるところがあります。
すなわち、生産・製造者から商品を手に入れるためには、ある程度広大な地域ごとに存在する卸業者を経て、さらに細かい領域を販売対象地域とする小売店の存在が不可欠です。
ここの中間業者が増えるほどに、中途手数料は増加し、小売価格は上昇していくことになります。
そして、転売ヤーの言う「まとめて確保して、手に入らない人へ配る」という大義名分(のように見えるもの)は、一定筋が通っているように感じる。
スムーズなビジネスを阻害する存在
しかし、ここには重大な問題があります。そもそも上流の生産・製造業者は末端の小売業者が確保する数をコントロールしながら生産量を決めている。
ここには「転売ヤー」が想定されておらず、それだけで十分な流通が可能であるからこそ、その量が生産される。
ここで転売ヤーが乗り出すことは「生産→卸→小売り→消費者」の図式に、計算途中で必要にならなかった余計なプロセスを追加することにほかならず、ただ全体の負担を増やしていくだけの存在でしかありません。
売れるからよいわけでもなく、もはや憎まれるべき存在と化した「転売ヤー」がかかわった商品というだけで、生産・製造元には「転売の餌食になるような販路を見直せ」と理不尽なクレームが飛ぶようになります。
販路全体の見直しや、転売対策のための余計なコストなど、本来であればスムーズに行ったはずのビジネスが、うまくいかなくなる。
自分だけが良い思いをして、全体に悪影響を与えるのはまさに「寄生虫」でしょう。
転売ヤーは「吹けば飛ぶ羽虫」である
ある程度商材や業態を確定させて商売をする場合には、販路のメンテナンスが最優先事項です。だからこそ、取引先とのビジネスとは別に、有機的な関係を構築して、短期的に損をしても長期的な共生関係を築こうとする。
「転売ヤー」たちは、羽虫のように様々な販路を飛び移り、利益をむさぼる存在ですが、フットワークの軽さが逆に信用を無くしている形になるでしょう。
ただ、この軽さがゆえに、全体的なゲームチェンジャーの出現に対して非常に弱い。
今回は法律によって取り締まりが行われましたが、国家など上流にいるもののサジ加減によって、いくらでも状況が変わってしまう。
これは卸も小売りも同じ立場でしょうが、「販路」という命綱のメンテナンスをしつつ、運命共同体として商売をしてきた従来の販売業者は相互扶助によって嵐を乗り越えることも不可能ではありません。
吹き飛ばされるのは、転売ヤーばかりとなります。
転売はビジネスではない
中には、転売による小遣い稼ぎを「ビジネス」と自称する方もいらっしゃるようですが、お話になりません。ビジネスならば、「儲かるか否か」ではなく、ある程度長期的に安定して稼げないといけないでしょう。
吹けば飛ぶような不安定な仕入れルート、情勢によって一気に変わる売れ行き、何をとっても「ビジネス」とは到底呼べません。
せいぜいが「お店屋さんごっこ」の延長にすぎないでしょう。
高校生くらいの子どもが背伸びをしてやるならばかわいいものですが、いい大人が目の色を変えて食いついている現状を見るに、怒りを通り越して悲しくなってきます。
「誰もやらない」のは、「自分が賢いから」ではなく、「みんなわかっているけれど、最終的に損をすることがわかっているから」だと、なぜ気付かないのでしょうか。
闇バイトに食いつく若者も、転売に手を出す愚か者も、未来を見据えていない点では同レベル。
勉強がもたらす一番の恩恵は「人に迷惑をかけず生きていけること」なのかもしれません。
<文/布施川天馬>
―[貧困東大生・布施川天馬]―
【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。MENSA会員。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)
![LDK (エル・ディー・ケー) 2024年10月号 [雑誌]](https://m.media-amazon.com/images/I/61-wQA+eveL._SL500_.jpg)
![Casa BRUTUS(カーサ ブルータス) 2024年 10月号[日本のBESTデザインホテル100]](https://m.media-amazon.com/images/I/31FtYkIUPEL._SL500_.jpg)
![LDK (エル・ディー・ケー) 2024年9月号 [雑誌]](https://m.media-amazon.com/images/I/51W6QgeZ2hL._SL500_.jpg)




![シービージャパン(CB JAPAN) ステンレスマグ [真空断熱 2層構造 460ml] + インナーカップ [食洗機対応 380ml] セット モカ ゴーマグカップセットM コンビニ コーヒーカップ CAFE GOMUG](https://m.media-amazon.com/images/I/31sVcj+-HCL._SL500_.jpg)



