「小児性愛者が潜んでないか」施設の運営者が不安を吐露
5歳にも満たない女児が階段に腰かけ、脚を広げていた。数段下には若い男が座りその股の間を覗き込んでいた――。「あなた、何してるの!!」
信じがたい光景に思わず怒声を上げたのは、月に1~2回自宅で子ども食堂を開く鈴木由美さん(仮名・56歳)。事件が起きたのも、料理を出していた最中のことだった。
「外からクスクスと笑い声が聞こえてきたので勝手口から出てみると……、常連の女の子が下着を脱いで自ら性器をいじり、それをボランティアの大学生が満面の笑みで見ていたんです。男は『向こうが勝手に見せてきた』の一点張り。確かに、興味本位や快感から自身のプライベートゾーンに触れる行為がクセになっている幼児は一定数います。でも、よその大人がそれを眺めていいはずがありません」
事件後、鈴木さんは子どもだけの利用をやめ、保護者同伴の「親子参加」に限定した。「大人と利用者の子どもとの間で起きるトラブルも少なくなく、毎回神経をすり減らします」と苦労をにじませた。
認定NPO法人、全国こども食堂支援センター・むすびえの調査によると、子ども食堂は今や全国で1万か所超。10年前から50倍以上に増えた。だが、施設急増の裏でさまざまなトラブルを抱えている。
関東圏で子ども食堂を運営する田中良子さん(仮名・42歳)は、こう語る。
「ボランティアの採用は本当に慎重になります。過去にはやたらと女児ばかり膝に乗せたがるスタッフや、勝手に利用者の女子高生を車で送迎する男もいて、すぐに出禁にしました。その一方で、子ども食堂を利用する児童の中には、自ら大人の男性に密着していく子がいるのも事実です。そんな、寂しさを抱えている子どもらの性質につけ込む小児性愛者が潜んでないか、常に不安です……」
シングルマザー目当てで東京から遠征する男
「1年前から、近所の子ども食堂に3歳の息子と一緒に通っていました。利用の際には電話番号と住所を記帳するのですが……。先月、運営の50代男性が『備蓄米をお裾分けします』とアポなしで家に来たんです。玄関で受け取っても、なかなか帰らず。仕方なく部屋にあげてお茶を出したら『寒くて帰るのが大変だから泊めてほしい』と言われて怖かったです」
聞けばその男は東京で暮らしており、月1回の子ども食堂の日だけ、わざわざ夜行バスで東北に遠征しているのだという。
「『北の女性は我慢強くて優しいから、彼女を見つけるなら東北だ!』などと言いながら、卑猥な目で私を見てきた。しかも『シングルマザーなら少し優しくしたら、すぐ感謝してくれる』とのたまう始末。
被害を受けているのは利用者だけではない。運営する側もさまざまな問題に直面している。
「子ども食堂のなかに、NPO法人や社団法人のほか、個人が運営している施設もあります。形態が入り乱れ、飲食店のように厳しい食品衛生法の適用も受けないため、参入はしやすい。そのぶん管理が杜撰な施設も存在し、実際にトラブルや不祥事が起きているケースも多々あります」
そう指摘するのは、関西の都市部を中心に、5年以上子ども食堂のボランティアに携わっている横田 崇氏(仮名・62歳)だ。
運営側の備品を持ち去る利用者
横田氏の暮らすエリアには子ども食堂がたくさんあり、地元住民が気軽に立ち寄る。運営側も常に人手不足で、それゆえか備品の持ち去りなどの“盗み”も横行。
「うちの地区は料理のほか、備蓄米や調味料、レトルト食品などの食料を配る施設も多い。ただ、良くも悪くも住民たちは“もらい慣れ”が定着し、過去には、運営側の備品であるiPadやレジスターが持ち去られたことも。
多くの人が利用する子ども食堂だが、現場は“ボランティア”で成り立っている。その事実を忘れてはならないだろう。
選挙前に政治家が視察。運営側が語るウラ話
「選挙シーズンになると、よく政治家が視察に来たいと言ってきますが、全部断ってますね」
そう語るのは、東京都中野区の子ども食堂「あーちのめし処」を切り盛りする野村麻江さん。現在は週に2回、食堂で食べる料理と弁当の提供を行っている。
「子ども食堂は調理だけでなく、食材費のやりくりなど相応の労力を要します。それでもやってきたのは皆が顔を合わせて食事をする場をつくりたいから。宣伝目的の政治家にただ乗りされるのは、釈然としないです」
また、中野区では食事の提供に必要な経費を申請できる助成金制度もあるが、その基準についても首を傾げる。
「例えば、うちは月8回の運営ですが、月1オープンの施設でも同程度の金額を受給していたり、一つの事業所で2形態の施設を運営し、倍額の助成金を受けているところも存在します」
官民一体となって数を増やした子ども食堂。だが、いまだ不透明な部分も多いようだ。
取材・文・撮影/週刊SPA!編集部 写真/時事通信社
―[怒りの告発[子ども食堂の闇]]―
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