東京の上野でスナックを営む大谷麻稀です。会社員を辞め、未経験の水商売で独立してから早4年目。
日本屈指の飲み屋街で、毎晩カウンター越しで繰り広げられる人間模様を見続けてきた私が、今夜のお酒がちょっぴり美味しくなるコラムをお届けします。
最近こそメディアに取り上げられるようになり、新規の飛び込み客も増えてきましたが、もともとスナックは“知り合いの紹介”で訪れるのが一般的だったように思います。

お店にとって“知り合いの紹介”で来店される方は、人となりも推測でき、親近感も安心感も覚えやすいもの。しかし、中には、「◯◯さんの紹介なのに、残念だな……」と思わざるを得ない人も。紹介してくれた方の顔に泥を塗らないよう、以下の行動はしないように心掛けましょう。

スナックに“知り合いの紹介”で来店しても「残念な客」認定され...の画像はこちら >>

①もらったボトルを飲み切る

ルールではないけれど、マナー違反と思わざるを得ないのが、この行動。

「この店行ったら、俺のボトル飲んでいいよ」という会話は一般的でしょう。ですが、厚意でもらったボトルを飲み切る、または、残り1センチだけ残して、帰るというのは、見ていて「カッコよく」はありません。

新品のボトルを入れて帰るのが、粋な大人な振る舞いです。

②紹介者の名前を盾にサービスを要求する

「◯◯の知り合いだから特別にサービスしてよ」など、恩着せがましく過剰な要求をするのも、紹介者の顔に泥を塗るだけ。「面倒な客を連れてきたな」と思われ、紹介者の信頼まで損ないます。

むしろ「◯◯さんのおかげで良い店に出会えました」と感謝を伝える方が、粋な大人の余裕です。

③虎の威を借る狐のように威張る

店に対してだけでなく、他のお客様に対して紹介者の名前を盾にするのも同様。「俺は◯◯と付き合いが長いから」といったマウントは、聞かされる側にとって迷惑以外の何物でもありません。

そもそも、その◯◯さんが店や他の常連からどれほど認知され、好かれているかも未知数です。
中学生が「俺、◯◯先輩とマブだから」と自分を強く見せるために言うのと変わりません。

大人なら、知り合いの名を借りず、自分自身の振る舞いで評価されるべきです。

④ツケ払いを要求する

「◯◯にツケといて」あるいは「◯◯の知り合いだから信用してよ」といったツケ払いの要求。その場では冗談半分でも、店にとっては大きな迷惑です。

紹介してくれた知り合いの信用を勝手に担保にするような行動は、もっとも粋じゃない振る舞いのひとつです。支払いはきちんと自分で済ませてこそ、大人として信頼されます。

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お客様からの紹介での来店は、本来とてもありがたく、店にとっても喜ばしいことです。

店にとっても、お客様にとっても、いわば“信頼のバトン”のようなもの。そのバトンを落とすか、次へとつなげられるかは、あなたの振る舞い次第です。

「紹介いただいた方、とても素敵な方でした」と店が紹介者に感謝できるような振る舞いをすれば、あなた自身も一目置かれ、店・紹介者・自分の三方が心地よい輪を築けるでしょう。

<TEXT/大谷麻稀(まきぱん)>

【大谷麻稀(まきぱん)】
上野にてスナックを経営する28歳。大好きなお酒にコミットするべく鉄道会社を退職し、ほぼ未経験の世界へ転身。
TOEIC910取得。趣味は海外一人旅。
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