東京の上野でスナックを営む大谷麻稀です。会社員を辞め、未経験の水商売で独立してから早4年目。
日本屈指の飲み屋街で、毎晩カウンター越しで繰り広げられる人間模様を見続けてきた私が、今夜のお酒がちょっぴり美味しくなるコラムをお届けします。
会員制でもない限り、夜のお店には多種多様なお客様が訪れます。特にスナックは「女の子のお店」という要素が強くないため、同性同士での会話やカラオケを楽しみに来る女性客も多くいます。実際、私の店でも女性客の比率はかなり高め。多い時は、8割以上になることも。いるだけで場が華やかになる“スナ女”は大歓迎です。

しかしごく稀に、「この人は次回からお断りかな……」と思わざるを得ない“迷惑な女性客”がいるのも事実です。今回は、実際に遭遇した「女性客特有の迷惑行為」をご紹介します。

スナックのママに嫌われる「迷惑な女性客」の行動5選。基本的に...の画像はこちら >>

①奢られる前提で支払いを渋る

「私たち、飲みの場で財布出したことないの」
 
そう豪語して現れた40代女性グループ。男性客へのノリの良い絡み自体はありがたかったのですが、案の定、会計時に財布を出す気配ゼロ。挙げ句の果てに、1人が酔ったことを理由に「外で介抱するから」と全員まとめて店外へ。もちろん追いかけて支払っていただきましたが、「そこまで自腹を切りたくないのか」と唖然としました。

男性が奢るのはあくまでご厚意。
奢ってもらえなかったからといって飲み逃げすれば、それは立派な犯罪です。

②ギャラ飲みもどき

1人で来店した20代の女性。聞けば当店から徒歩10分以内にお住まいだそう。隣の男性がお帰りの際に、私がお返ししたお釣りの3,000円を「タクシー代」としてその女性に渡すと、こわばった顔で「普通タクシー代は1万円だろ」と吐き捨てました。男性は女性に対し、ダル絡みどころか、ほぼ会話もしておらず厚意であげたというのに。

私も男性もこの女性とは初対面。もちろん、ギャラ飲みの斡旋契約を交わしたわけでもないのに、酷い言い草です。当然、出禁にしました。

③勝手に店員になりきる

酔った勢いで「私も働きた~い!」とカウンターに侵入する女性。スナックはお客様との距離が近いとはいえ、そこは従業員のスペースです。レストランの厨房や会社の執務室に勝手に入らないのに、スナックなら許されると勘違いされがちなのが辛いところ。協力してくれるのはありがたいのですが、線引きは必要です。やんわり制止されているうちに辞めないと、迷惑行為であり犯罪です。

④夜職ウンチクを語る

「昔やってたから言うけどね」と、キャバクラ式の接客ルールを持ち出すお姉様もいます。しかしスナックはキャバクラとはスタイルが違います。
せっかくの助言も、前提条件が異なれば的外れな押し付け。たった数ヶ月アルバイトしただけで「その道のプロ」のように振る舞ってしまうのは、お酒の場の魔力なのかもしれません。

⑤勝手に敵対視

男性に帯同して来る女性客の中には、店員を「敵」と見なす人も。すみませんが、あなたにとっては特別なパートナーだったとしても、店側からしたら1人のお客様に過ぎません。異性としての興味はありません。自意識過剰に火花を散らされても、空気が悪くなる一方ですし、「この男性は、なぜこのタイプの女性をスナックに連れてきたんだ……」という感想しか出てきません。

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もちろん、こうした振る舞いをするのはごく一部の方です。多くの女性客は場を華やかにしてくれるため、店にとっても大変ありがたい存在です。

それだけに、女性というだけで初めての店でも受け入れられやすいアドバンテージがあるのに、わざわざマイナスに振り切ってしまう人たちは、ある意味才能とも捉えられる奇行を繰り返します。

店に感謝されて「ぜひ常連になってほしい」と懇願されるか、「二度と来ないでくれ」と言われるか――結局それを決めるのは、ほんの少しの立ち居振る舞いなのです。

<TEXT/大谷麻稀(まきぱん)>

【大谷麻稀(まきぱん)】
上野にてスナックを経営する28歳。大好きなお酒にコミットするべく鉄道会社を退職し、ほぼ未経験の世界へ転身。
TOEIC910取得。趣味は海外一人旅。
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