昨年突如現れた「#デカ女」ブーム。SNS上で高い注目度を誇る高身長女性たちが、さまざまなメディアで取り上げられた。
だが、“デカさ”の点では「#みけぽ」に代表されるぽっちゃり女性たちの存在も忘れてはいけないだろう。
ぽっちゃり体型を自身の個性・武器として活躍する女性インフルエンサーは少なくないが、3桁体重の女性たちは日常生活でどんな「あるある」や「悩み」があるのか。

今回は、浦和の「太っちょを愛でるラウンジ」キャスト兼店長のめたんさん(体重123キロ、身長154cm)をインタビュー。ぽっちゃりラウンジを切り盛りする苦労や楽しさなどを語ってもらった。

※インタビューと写真は6月の取材時のもの

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「もっと有名なデブ」を目指して

――前回、西川口「はんぷてぃだんぷてぃ」のちはるさんを取材させていただきまして。

めたん:うちの系列店のキャストですね。ちはるちゃんって体重いくつでしたっけ?

――140キロだそうです。

めたん:140はスゴいですね(笑)。私は一番大きかった時でも128キロなので。

――めたんさんはいつ頃からぽっちゃり店で働いているんですか?

めたん:2023年7月からですね。西川口の「はんぷてい」と同じ場所でぽっちゃりラウンジをやっていて、そのオープニングキャストとして働き始めました。その後、浦和に移籍して昨年4月からは店長という感じです。最初はフリーランス看護師として働きながら週1~3で出勤していたんですが、派遣契約が切れるタイミングで、「もっと有名なデブを目指してフル出勤したい」と。
上司に相談したら、なぜか店長を任せられたという。

患者から「今のうちに好きなもの食べときな」と…

――なるほど。看護師のお仕事はどれくらい続けていたんでしょうか?

めたん:1993年生まれの32歳なので、ちょうど10年くらいですね。主に外科で働いていました。

――すごいですね。

めたん:外科って糖尿病の手術が必要な患者さんが血糖コントロールのために入院することがあるので、私も食事の指導や血糖値の測り方とかよく説明していました。見ての通り私も全く自己管理できていないので、いつも患者さんが半笑いで聞いてくれるという。「あんたも今のうちに好きなもの食べときな……」と言ってくれる優しい方ばかりで、患者さんには恵まれていました。

――いまはどんな食生活を送っているんでしょうか?

めたん:ちゃんと食べるのは一日2食くらいですが、間食が多いタイプで1食には換算していない軽食を3時間置きに食べています。看護師の頃は流石に仕事しながら食べられなかったので、休憩時間に2人前の食事+デザートとかを急いで詰め込んでいました。

100キロを超えてからのほうがモテる

「袋から小麦粉を直食い」123キロ女性の“バグった食欲”の原点。「人生初の満腹」についても激白
めたんさん
――昔から体は大きいほうでしたか。

めたん:本格的に太り始めたのは小学4年生のとき、父に焼肉へ連れて行ってもらってからですね。人生で初めて「お腹いっぱいになるまで食べていいよ」と言われ、お腹いっぱいの状態をそこで初めて経験したんです。

――余程、印象的な経験だったんですね。
人生で初めて満腹になった時のことって普通覚えていないと思います。


めたん:小4当時は30キロ台で“ちょいぽちゃ”くらいでしたが、10年分の反動で中学入学時には60キロありました。中2以降はずっと70キロ台で、中学・高校の制服は特注だった気がします。親に食べ過ぎがバレないよう、袋から手づかみで小麦粉を食べていたこともあります。

――戦災孤児の話でも聞かされているんでしょうか……。

めたん:小6で両親が離婚し、父子家庭になってから余計に食欲がバグったのはあります。あと、新卒で関東の大学病院で働き始めたタイミングでも1年で15キロほど太りました。

――思春期など、体重のせいで思い悩んだ時期もありましたか?

めたん:小4で太り始めた当初は、けっこういじめられました。でも、1年でクラス替えがあって、それからエスカレートすることはなかったです。またいじめられそうな気配もあったんですが、気にせず明るく振る舞っていたから、“いじめ甲斐のない女”みたいになったんでしょうね、きっと。

――立ち入った話ですけど、これまでの異性関係はどんな感じでしたか?

めたん:私、実はバツイチなんですが、100キロを超えてからのほうがモテますね。マッチングアプリでも食いつきが良いです。


立って飲み食いするなんて考えられない

めたん:わりと外出が好きで、休日は都内まで買い物することもけっこう多いです。ASMR動画で流行っている頭の悪そうなお菓子を買いに1人で原宿まで出かけたり、看護師の時の友達とごはん食べに行ったり。

――どういう飲食店に行くことが多いですか?

めたん:とりあえず鳥貴族はよく行きます。お店のスペース的にちょっとギリギリですけど。お腹周りが120センチあるので。

――ドラえもんとほぼ一緒ですね。

めたん:立ち飲み屋とかは無理ですね。立って飲み食いするなんて考えられません(笑)。

――みけぽのみなさんに聞いているんですけど、服はどこで買っていますか?

めたん:私服は渡辺直美さんプロデュースの「PUNYUS(プニュズ)」が多いです。体重が重いと靴がすぐダメになってしまうので、ABCマートで3ヶ月1足ぐらいのペースで買い替えます。甲高ですけどサイズは23.5センチぐらいで、普通のみけぽよりは小さいです。

――ヒールは履きます?

めたん:本当はラウンジ嬢らしくヒールの高い靴を履きたいんですけど、痛くて履いてられません。ローヒールが基本です。


中東の男性からプロポーズされた

「袋から小麦粉を直食い」123キロ女性の“バグった食欲”の原点。「人生初の満腹」についても激白
めたんさん
――こちらの浦和の「太っちょを愛でるラウンジ」店舗はビルの3階まで階段を上る必要がありますが、キャストさんもけっこう大変なのでは?

めたん:踊り場で休憩しながら上がるので、私は建物の下に着いてからプラス5分掛かります。

――お店を切り盛りしていて、印象的だったお客さんは?

めたん:モンゴル人夫婦がやってきて、キレイな奥さんから「私たちとホテルに行きましょう」と、口説かれたことがありました。行かなかったですけど、いっぱい食べさせてからするのが趣味みたいで。恋愛や結婚の考え方が違うからか、海外のお客様は特殊な方が多い気がします。

――中東やアフリカでは「ふくよかな女性がモテる」ってよく聞きますけど。

めたん:この間もすでに奥さんが2人いる中東の男性からプロポーズされました。「2人の妻はあなたみたいにデカくない」とのことで、日本のみけぽにもインバウンドの波が来ているかもしれません。

――日本人のお客さんは、どうですか。

めたん:いわゆる“デブ専”のお客様も多くいらっしゃいますが、普通のキャバクラに飽きたお客様も多く来店されますね。一般のラウンジやキャバクラなどに比べると、口説き目的のガチ恋系のお客様は比較的少ないかもしれません。私の個人的なイメージですけど。

キャスト応募の問い合わせは一ヶ月で何件?

――店長としてキャストの採用も担当していると思うんですが、どれぐらい応募って来るものなんでしょうか。

めたん:本気度はまちまちですが、問い合わせ自体は1ヶ月で15件前後は来ている印象ですね。


――けっこう多いですね。

めたん:随時、募集はしています。やっぱり昼職との関係で辞めなければいけない子や、就職のタイミングで辞めてしまう学生などもいて、どうしても入れ替わりが激しいので。

――今後もめたんさんとしては「もっと有名なデブ」を目指していく感じでしょうか?

めたん:今は店長として任された仕事をちゃんとこなしたいという気持ちのほうが強いです。近く新しいお店ができることもあり、タスクが多くて。「体がひとつじゃ足りない!」と思いながら最近は生きています。体重は3人分あるのに。

<取材・文/伊藤綾>

【伊藤綾】
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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