住人の10倍の外国人観光客が訪れる「スキーの聖地」の現状
北海道・新千歳空港から特急電車でおよそ3時間。日本が世界に誇るスキーリゾートは、交通至便とは言い難いエリアにもかかわらず、右肩上がりの活況を呈している。「ニセコの雪質は粒子が非常に細かく、まるで水の上を滑っているかのような浮遊感が味わえます。30年以上前、オーストラリアから来たスキーインストラクターが惚れ込み、口コミによって世界中に魅力が広まりました。『雪』が観光資源となる事例は長野の白馬や新潟の妙高高原も注目されていますが、パイオニアとなったのは間違いなくニセコです」(地元の観光業従事者)
“蝦夷富士”の別称で知られる羊蹄山を囲むように、複数の自治体に跨がるニセコエリアの人口はおよそ2万人。
だが、インバウンドだけで住人の10倍もの観光客が冬に集中して殺到し、一大マーケットが立ち上がり、その結果、現地には違法建築や無許可伐採などモラルなき開発が横行しているというのだ。
高級別荘が立ち並ぶエリアで清掃業を営む日本人女性に声をかけると、こう語った。
「観光客の8割以上が12月から3月の間に押し寄せるので、今はその準備をしているところ。人手は全然足りなくて、私たちは小樽からバスで1時間かけて派遣されているんです。時給は2000円、移動時間もカウントされるので待遇はよいですが、それでも働き手が集まらない。
中心部のひとつ、「ニセコひらふ」で飲食店を営む男性もこう言う。
北海道新幹線の延長でニセコバブルがさらに過熱
事実、現地で見かける別荘やコンドミニアムの販売を呼びかける看板は英字表記が主だ。
ニセコひらふや花園といった人気エリアにあるコンドミニアムは100㎡未満の2ベッドルームでも億超えが当たり前で、土地の公示価格も前年比で10%近い上昇を見せている。
「土地を所有するのはシンガポールの法人で、入居するのはスキー場界隈で働く外国人労働者。地元の人から『治安悪化を招く』と不安の声が上がるのも無理はありません。
相次ぐ違法建築&伐採に水資源トラブルまで勃発
6月、行政は羊蹄山の麓にある倶知安町巽地区で無許可で3.9haもの森林伐採を行ったとして、札幌の不動産会社に工事の停止を勧告した。
また10月にはニセコ町に建てられた賃貸用のアパートが無許可で増築され、あろうことか下水管にも接続していないことが判明し、こちらの事業者にも行政は工事の停止と使用禁止を勧告。
この2件とも主導していたのは中国資本だったことから、地元民の外資アレルギーに拍車をかけているのだ。
現状に対する制度づくりの努力が不足している
「外国人に買われた土地の地下に流れる水源も彼らのものになる。日本から水が奪われる」という類いの主張だ。だが、ニセコの現場を知る不動産関係者は、一刀両断する。
「水源の問題で言えば、ニセコ町は日本企業から土地の所有権を巡って多額の和解金を吹っかけられており、『外資だから』『中国だから』と批判するのは安直すぎます。問題の核心は、外資が開発する際に行政が適切な説明や指導を行えず、問題が大きくなってから立ち往生すること。無許可伐採や違法建築はたしかに目に余りますが、外資からすればアナウンス不足で『知らなかった』『注意もなかった』となっている。
雪国に舞う巨額のマネーが正しい方向に使われることを祈るばかりだ。
※週刊SPA!10/28発売号より
取材・文/週刊SPA!編集部 写真/産経新聞社
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