資産10億円、年間家賃収入4000万円、43歳でFIRE――そう聞くと誰もが「なんだか凄そうな投資家」という印象を持つのではないだろうか。が、新刊『戦わずして勝つ 不動産投資30の鉄則』を上梓した著者の村野博基氏の信条は「なによりも負けないこと」に尽きるという。
自ら“平凡なサラリーマン”と語る村野氏の「負けない投資」には、千里眼のような相場観や未来予測は不要、独自の「お金・投資に対する考え方」をブレずに続けることで、冒頭の資産形成に至ったという。
村野氏が考える資産形成の方程式をさらに発展させる“次元”の概念を本書から抽出してみる。

(本記事は、『戦わずして勝つ 不動産投資30の鉄則』より一部抜粋、再編集したものです)

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資産形成の方程式を発展させる“次元”の概念

資産を作るための方程式として、私は次の数式を大事にしています。

Z=a(X−Y)+b

Zは「資産」、Xは「収入」、Yは「支出」。aは「時間」でbは「貯蓄」です。

大事なのは「収入−支出」がプラスであることで、サラリーマンであるならば出世して給与を増やせばXである収入が増えます。給与の多い人ほど有利になります。そして、さらにaの「時間」で長い時間をかけることが資産形成の方程式で大事な点です。

高齢者が資産をたくさん持っているのもaの「時間」があったからこそです。一般に時間は誰にとっても平等で、1日は24時間ですし、1年は365日です。SF作品のように、時間を早めたり止めたりすることはできません。

しかし、本当にaの「時間」は増やせないものなのでしょうか?

「次元」を増やす時間

みなさんは1次元、2次元、3次元というのを聞いたことがあるでしょうか? 2次元アイドル、3次元アバターなどで言われるあの「次元」です。この次元が1から2に「増えていく」には何が必要だと思いますか?

正解は時間です。1次元は点が一方向へ動くこと、つまり時間をかけることで「線」になります。
2次元は1次元の線が2方向へ動くことで「面」になります。3次元は線が3方向へ動き「立体」になります。そして、4次元ではその立体、つまり質量があるものが動くことで他者への影響を与える状況、つまり我々が今生きている世界になります。

ではこの4次元を同様にある方向へ動かした5次元とはどのようなものでしょう? 私はこの生活している世界とは並行して存在する概念、つまり5次元とはパラレルワールドなのだと考えています。そして、このパラレルワールドの考え方を活用すれば、文字通り「次元が違う」レベルで資産が増えていくのです。

もはや頭のおかしな人のような発言になってきましたが、実はみなさんの身近でもパラレルワールドの収入増は普通に起きています。例えば「ダブルインカム」です。パートナーがいるのであれば共働きで働いてもらうこと。パートで週数回働くことで月数万円の収入になります。パートナーが正社員として働いてくれれば、単純計算で世帯収入は倍になるわけです。

案外、「なかなか収入が増えなくて生活が大変」と仰る方は聞いてみると「奥さんは専業主婦」だったりします。お子さんがまだ小さいならば手もかかるので理解もできますが、昨今では保育園の待機児童問題も少しずつ解消していて、小学校の学童保育なども充実してきています。
奥さんに働いてもらうのが手っ取り早く収入を増やす方法でもあるのです。

自分が動かない時間に稼ぎ出す「仕組み」

平凡なサラリーマンが「資産10億円」を築いた不動産投資の鉄則。時間の“次元”を増やす資産形成術とは
『戦わずして勝つ不動産投資30の鉄則』(扶桑社)
この考え方はXの収入を増やす「副業」の考え方とは少し異なります。副業は会社員が労働時間外に働く行為です。自分が動いている状態ではパラレルとは言えません。自分が動かなくても、他のものが稼ぐような「仕組み」を作ることが大切なのです。

例えば、1分で1個作る作業があったとします。1人で作ったら1時間で60個作れますが、それを20分かけて誰かに教えて、その誰かと残りの40分で作れば80個作れるのです。つまり、

Z=a(X−Y)+b

これを、

Z=a(X1+X2+X3+X4……−Y)+b

にできれば、資産形成はより容易になります。仮に時間が10年しかなくても、同じ時間を10本走らせれば1年が10年分に化けるので、100年あることと同じになります。

そして、自分自身が保有しているXの種である資本は、身体や金融資産に限った話ではありません。銀行からお金を借りることができる「与信」や、社会的資本である「人脈」なども、自分が活用できる資本です。資本を遊ばせずに稼ぐ仕組みを作ること。
それを忘れないようにしたいものです。<構成/上野 智(まてい社)>

【村野博基】
1976年生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、大手通信会社に勤務。社会人になると同時期に投資に目覚め、外国債・新規上場株式など金融投資を始める。その投資の担保として不動産に着目し、やがて不動産が投資商品として有効であることに気づき、以後、積極的に不動産投資を始める。東京23区のワンルーム中古市場で不動産投資を展開し、2019年に20年間勤めた会社をアーリーリタイア。現在、自身の所有する会社を経営しつつ、東京23区のうち19区に計38戸の物件を所有。さらにマンション管理組合事業など不動産投資に関連して多方面で活躍する。著書に『戦わずして勝つ 不動産投資30の鉄則』(扶桑社)、『43歳で「FIRE」を実現したボクの“無敵"不動産投資法』(アーク出版)
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