―[経済レポーター×銀座No.1ホステス・山崎みほ]―

「今月の売上目標まであと○円」「今日は〇件契約をとるぞ」
そんな風に目標をもって仕事に臨んでいるビジネスマンの方々、とても素敵です。

営業の世界に身を置く私もその一人ですが、数字を意識するのは、お金を稼ぐ上でとても大切なことです。


でも、“自分都合の数字”ばかり追ってしまうと、危険かもしれません。

今回は、昼は経済レポーター・営業職として上場企業の社長たちに接し、夜は銀座ホステスとしてトップクラスのビジネスパーソンを接客してきた私が、現場で学んだ「自分都合の数字を追うと失敗する理由」をお話しします。ビジネスマンのあなたの気づきに少しでもつなげていただければ幸いです。

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誰もが持っている“自己中”な性質

つい自分都合の数字を意識してしまうことを、行動経済学では「自己中心性バイアス」といいます。

自分の状況を基準にものを考え、相手や周囲の状況は軽く見てしまうという、誰もが持っている自然な心理です。

ビジネスも投資も恋愛も、自己中心性バイアスにとらわれると、大きな失敗につながってしまいます。

狙い通りのシャンパンに喜ぶホステスの誤算

夜の世界では、ホステスたちは当然、自分の売上や順位を気にかけています。

でも、だからといって「今夜は絶対に○百万円売りたい」「このお客様には〇十万円のシャンパンを入れてもらおう」と意気込みすぎると、逆に売上が下がってしまいます。

”自分が売りたい数字“は、お客様にはまったく関係がないからです。

お客様にはそれぞれに、その日の気分や目的があります。

「今日は落ち込んでいるから、しっとりと飲みたい」「取引先と一緒なので、派手な飲み方はできない」など、事情はさまざまです。

そんなときに、自分都合での「このシャンパンが飲みたいな」という空気を読まないおねだり。

お客様はたとえその場ではシャンパンを入れてくださったとしても、気持ちは冷めてしまい、2度と来店されないかもしれません。

人気のあるホステスは、数字は意識しつつも、お客様が何を求めているのかを察して「今日は違うな」と感じたらサッと引き下がる―というバランス感覚に優れています。


その結果、お客様は居心地がよくなり、自然と売上や指名が増えていくのです。

数字に必死な営業マンは顧客が離れていく

銀座No.1ホステスが暴露する“数字に必死な営業マン”の末路。「お客様が何を求めているのか」を見失う危険性も
写真はイメージです
夜の世界に限らず、昼間のビジネスでも同じです。

営業マンが数字を達成することに必死になると、顧客のニーズや課題に寄り添えなくなり、信頼を失ってしまいがちです。

顧客にとって本当によい提案を親身に考えられる営業マンこそが、長期的な成果と信用を築くことができるものです。

組織としての目標やノルマもあるので難しいところではありますが、自分が数字に前のめりになっていないか、私もいつも気をつけるようにしています。

株式投資では大金を失う原因に

自己中心性バイアスは、株式投資の世界では大金を失ってしまう原因になります。

よくあるのは「自分が買った株価から○%上がってほしい」「昨日は○円損したから、今日はその分だけ取り返す!」と考えてしまうこと。

自分がいくらで買ったのか、いくら損したのかなんて、ほかの投資家は誰も見ていない数字です。相場の値動きには一切関係がなく、その通りに動いてくれるはずがありません。

自分都合の数字にこだわると、適切なタイミングでの損切りや利益確定ができなくなり、資産を大きく減らしてしまいます。

私の知る敏腕な投資家の方々はとても冷静で、自分の買値や損失にこだわるのではなく、相場全体の流れに従って、柔軟に売買しています。

「3回目のデートで落とす」でチャンスを逃す

恋愛でも、自分都合の数字にこだわるとチャンスを逃してしまうことがあります。

よく「“3回目のデートで女性が落ちなかったらあきらめる”と決めている」という男性がいらっしゃいます。

たしかにテンポよく進む恋愛もありますが、女性が心を開けるペースは本当に人それぞれです。

4回目のデートで一気に距離が縮まることも多々あるので、もったいないなぁと思ってしまいます。


回数で計るのではなく、相手の温度や距離感をしっかりと見てあげた方が素敵なご縁を掴めるはずです。

自分の数字より、相手を優先した方が結果が出る

”自分都合の数字“を追うと失敗する―ビジネスにも投資にも、そして恋愛にも共通する注意点です。

結果を出すためには数字を意識することは必要ですが、「数字はあとからついてくる」と割り切って、目の前の相手に丁寧に向き合うことも大切です。

相手の立場や気持ちを優先した方が、結果がついてくるから不思議なものですね。

<文/山崎みほ>

―[経済レポーター×銀座No.1ホステス・山崎みほ]―

【山崎みほ】
経済レポーター。証券外務員一種/行動心理士。
株式投資情報のレポーターとして、上場企業の取材記事や経済ニュースを執筆。Yahoo!ファイナンス、YouTube等メディアでは上場企業社長のインタビューも行う。また、銀座の高級クラブでホステスとしても勤務、心理学と行動経済学の知識を基にNo.1を獲得。経済レポーターの深い洞察力と人気ホステスとして培った対人関係術を融合し、夜の世界では1日40組、昼間の営業職では成約率90%の成績を上げるなど、昼夜問わず結果を出すスタイルを築いている。Xアカウント:@mihoy001
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