晩婚化と高齢化に物価高や金利上昇が重なり、70歳前後で破産の危機に瀕する人が増え続けている。長く働いて稼ぎ続けるという解決策もあるが、実際にはシニア再就職市場は超狭き門。
経済的不安に加えて病気や家族の問題まで抱える高齢者たちの現実を追った。

すでに家計は破綻している

バブル時代の年収2000万円から転落「自己破産も諦めた」63...の画像はこちら >>
「すでにうちの家計は破綻しています……」

こう話すのは家賃4万2000円の都内格安アパートで暮らす友永英太さん(仮名・63歳)だ。20代で結婚し、3人の子供をつくったが、性格の不一致を理由に49歳で離婚。それ以降、気ままな独身生活を送ってきたが、羽目を外して散財してしまったばかりに、多額の借金をつくってしまい、今でもその返済に追われているというのだ。

「車やバイクが好きで衝動買いしたり、飲み代が足りなくてちょこちょこキャッシングしていたら借金が1000万円を超えてしまいまして……。自己破産も考えましたが、元妻が住んでいる共有名義で買った家のローンが残っていて、その名義の変更をしてくれないんです。私は使ってないのに財産はあるという状態なので、弁護士から免責不許可になる可能性が高いと言われて自己破産は諦めました。

その後、借金の返済のためにタクシー運転手として働き続けましたが、どんどん手取りが減っていったので、途中で住宅ローンや自分でつくった借金の返済も諦めた。そうしたら支払い催促の連絡がタクシー会社にも来ちゃって59歳で無職に……。今は督促を無視しながら、フードデリバリーのアルバイトで月10万円ぐらい稼いで細々と生活しています」

70歳、80歳まで生きられる自信はない…

当然のように、国民健康保険、住民税の支払いも滞納しており、家には督促状が散らばっているという友永さん。あと2年で年金受給開始年齢を迎えるが、生活スタイルは「変わらないだろう」と話す。

「元妻はもはや催促しなくなりましたが、住宅ローンも合わせたら私の借金は2000万円近くになります。これだけの借金を60代で返済するのは無理ですよ。元妻に口座を差し押さえられたら、ケータイ代も払えなくなってフードデリバリーのバイトもできず、野垂れ死ぬほかなくなるでしょう。


会社員として働いた経験がほとんどないので、もらえる予定の年金は月5万円程度なんです。今使っているバイクが故障したら、バイトもできなくなる。とてもじゃないけど、70歳、80歳まで生きられる自信はない……」

定年前に膨らませた借金は、老後生活を暗転させるのだ。

友永さんの破産リスク

・完済予定72歳の住宅ローンの支払いを停止

・散財により消費者金融にも1000万円の借金

・“非正規”期間が長いため年金見込み額は月5万円

※週刊SPA!10/28発売号より

取材・文/週刊SPA!編集部

―[[70歳破産]の悪夢]―
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