―[佐藤優のインテリジェンス人生相談]―

日本で議論される外国人労働者問題。選挙の際には、争点のひとつとなり、2025年は参政党躍進の要因となった。
そうしたなか、一通のハガキが届く。「一部の外国人犯罪者を取り上げ、全外国人の風当たりを」“外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報・外交のプロ・佐藤優が、その経験をもとに、読者の悩みに答える!

外国人に対する風当たりの強さに不安がある

外国人労働者を悪とする風潮の中で僕たちはどう生きるのか/佐藤...の画像はこちら >>
★相談者★マクシミリアノ(ペンネーム) 社会福祉士 48歳 男性

 私は現在日本語教師養成課程におり、日本語教師を目指しています。社会福祉士として障害者施設で働く傍ら、ロシア語をネイティブの先生から習ううちに、語学を外国人に教えたいと思うようになり、脱サラして、今日に至ります。

 ただ、現在の日本は、参政党の台頭をはじめとするように、外国人に対する風当たりが強いのが心配です。介護も建築も外国人に頼っているのに、一部の犯罪者だけが取り上げられてしまいます。

 このような外国人への風当たりが強まっている中で、どういう日本語教師を目指すべきでしょうか。アドバイスをお願いします。

佐藤優の回答

 外国人に対する風当たりが強いということですが、ロシア人を含む白人系の外国人に対する日本人の反発は、それほど強くないと思います。日本人が反発するのは、中国人、ベトナム人などのアジア系、さらにクルド人、イラン人などの中東系に対してです。

 ちなみに参政党に関して、私は粘土のように可塑性(変形させた後、力を取り去っても歪みがそのまま残る性質)が高い政党と思います。在日外国人に対してこの政党が忌避反応を示しているのも、ネット世論におもねって、そういう言説をとったほうが注目と支持を集めるというマーケティングの観点からと思います。リベラル派や左派が、「排外主義的な反動政党だ」と非難を繰り返していると、参政党もそれに対する理論武装をします。そして、本当に排外主義的な反動政党になってしまうと思います。
今、求められているのは非難と断罪ではなく、官僚や有識者が参政党の政治家と対話し、客観性と実証性に基づいて外国人に対する恐怖感や不安感を除去することと思います。参政党の人たちは可塑的ですから、それによって事態が改善する可能性は十分あると思います。

 むしろ怖いのは、参政党や日本保守党だけでなく、高市早苗首相を含む自民党右派が、排外主義的発言をときどきすることです。その場合も想定される外国人は非白人となります。日本人の非白人に対する偏見について、池田大作創価学会第3代会長が重要な指摘をしています。

〈日本人は欧米人相手だと畏縮し、アジア人相手だと優越感をもつ。本当に、卑屈な国民性です。(中略)確固たる「個人」が確立されていないからでしょう。だから、国をあげて「欧米の文化を取り入れ、欧米に追いつき、アジアを支配する」という目標を掲げた時、だれもが「右へならえ」してしまった。

 もちろん、そういう教育を徹底したことも言うまでもない。中国・韓国から文化を学んだ大恩を教えず、〝劣等民族〟のように教えた。アジアの人々を「日本人よりも劣る民族」のように言わないと、「日本がアジアを支配する」という大義名分も立たないからです。
とんでもないことだ。〉(『青春対話2(普及版) 21世紀の主役に語る』274~275頁)

 私も池田氏と認識を共にします。誰もが人間としての尊厳を同じように持つという人間主義的視点を持つように努力することが重要です。その意味でも創価学会を支持母体とする公明党が連立から離れ、高市首相や麻生太郎自民党副総裁のような人々の危険な言説に歯止めが利かなくなってしまうことを心配しています。

★今週の教訓…… 高市政権で危険な言説が増えるのを心配してます

外国人労働者を悪とする風潮の中で僕たちはどう生きるのか/佐藤優
著者が主に高校生の世代に向けて青春の悩みや恋愛・人間関係、日本の歴史観、国際人のあり方、信仰の基本などについてもわかりやすく語った一冊。’06年刊
※今週の参考文献 『青春対話2(普及版)21世紀の主役に語る』(池田大作 聖教新聞社)

―[佐藤優のインテリジェンス人生相談]―

【佐藤優】
’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数
編集部おすすめ