ダサい中年男性は知らない「今、買うと損するファッションアイテム」ワースト3

―［メンズファッションバイヤーMB］―

　メンズファッションバイヤー＆ブロガーのMBです。洋服の買いつけの傍ら、「男のおしゃれ」についても執筆しています。連載第556回をよろしくお願いします。

賢く買い物したい人は知るべきファッション業界の裏側

　今回は「今買うと損するもの」！

　ガラリと気候が変わり、秋冬モノを揃えようという方も多いかと存じます。しかしちょっと待った！　今、それ買うと後々損するかも知れませんよ……？

　そんなアイテムをいくつか紹介します！　心してご覧ください！

①スニーカーローファー

　スニーカートレンドがひと段落し、今度は革靴トレンドがやってきました。スニーカーの中古価格も一時より落ち着き、NIKEは業績に苦しんでおりますが……そこで、各メーカーリリースしているのが「スニーカーローファー」。

　スニーカートレンドが去り、少しクラシックで大人な靴が欲しいという機運が高い今、ソールはスニーカーでアッパーはローファーというハイブリッドなデザインが空前のブームとなっているのです。

　NIKE、NEW BALANCE、VANS、CONVERSE、NORTH FACEなどスポーツ・アウトドアブランドが軒並み展開。ABCマートなどでもスニーカーローファーが並ぶようになりました。

売れてることがバレると人気が落ちる

　当初はギャルソンなどトップブランドが提案し、話題をさらいましたが……現在ではどこの靴量販店でも見かけるようになり急速に浸透。「ラブブ」なども同じですが、急角度で広まったトレンドは急角度で落ち込むのが常です。

　昔から言われていることですが……ファッションブランドやトレンドアイテムは「売れてることがバレると人気が落ちる」もの。あまりにも急速で広まりすぎたスニーカーローファーも今や「歩きやすいから」とファッションにさして興味のないオジサマがABCマートなどで購入するのも見受けられます。

　今このタイミングで「高額のラグジュアリーなスニーカーローファー」などを手にしても、トレンドはあっという間に過ぎてしまうはず。もう普及しすぎて陳腐化するタイミングになっていますから、だったら「スニーカーローファー」などではなく「ガチなローファー」を手にしたほうがいい。

　中途半端なハイブリッドシューズではなくネクストトレンドであるクラシックなレザーローファーを手にするのが吉です。

②リカバリーウェア

　今シーズンどこのブランドも手がけているリカバリーウェア。着用すると血流が改善され体温が上がり寝起きが良くなる、健康になるという類のもの。「着るだけで健康になる」なんていかにも怪しいですが、実はしっかりとエビデンスがあり、効果がある程度保証されているもの。

「パジャマなんて別になんでもいい。だったら少しお金を出して健康になるリカバリーウェアを選ぶ」という人が増えているのです。高いブランドもあるし、一番安いのはワークマンかな。「猫も杓子も」という言葉通り、とにかく今シーズンどこに行っても見かけるアイテムとなりました。

　しかし！　実はこのリカバリーウェア、今買わずに来年買ったほうが絶対おすすめです。というのも、リカバリーウェアは100%一過性トレンドです。長く売れ続ける商材でないのは明白です。

在庫過多で間違いなくセール価格になる

　だってそんなすぐにダメにならないでしょ？　今年猛烈な勢いで売れているリカバリーウェアですが、かならずその反動が来年に来るはずです。「去年買ったからもういいや」となる人が多いはず。

　しかし、アパレルブランドは「昨年対比」で動くところが圧倒的に多い。昨年リカバリーウェアがこのくらい売れたから、「今年も同じ数量発注しよう！」など考えるもの。しかし、どんだけデザインに凝ったとしても、どれだけカラバリを増やしたとしても、何枚もリカバリーウェアを買う「リカバリーウェアマニア」なんてそんなにいるわけがない(笑)。

　どうせ来年には在庫過多になり、セール行きになるのが明白です。ワークマンくらいの格安品なら今買うも来年買うもたいして変わらないでしょうが、1万～2万円超えているような高級リカバリーウェアは我慢すべき！　来年には50%OFFで叩き売りされてるはずです。別にデザインにこだわるものでもないし、型落ち品でも問題ないでしょ？　リカバリーウェアは今買うと損するはずです。

③グッチ

　イタリア高級ブランドの代名詞的存在であるグッチ。一時はトレンドセッターとして支持されていたものの近年は精彩を欠いており、いよいよ次回春夏からデザイナー交代となりました。元バレンシアガのディレクターであるデムナヴァザリアが就任し、話題を攫っています。

　こうしたデザイナー交代のタイミングでは、たいがいアウトレットが盛り上がります。デザイナー交代によってブランドはイメージを一新したいので、過去のデザイナーが手がけた商品を叩き売りする傾向があるもの。バーバリーやボッテガヴェネタなども同じで、デザイナー交代のタイミングにはそれまで定番ものとされていた商品などもアウトレットで叩き売りされました。

来年はアウトレットが盛り上がる

　この秋冬まで前任デザイナーが手がけているので、今買うと「半年後に叩き売りされる商品」になる可能性も……。もちろんすべてがすべてそうじゃありませんが、迷うくらいなら少し我慢して様子見するのもアリ。

　デザイナー交代後はアウトレットで買うのが吉。来年は御殿場アウトレットのグッチが盛り上がるはずなので、今買うと損するかもしれません。

　以上、「今買うと損するもの」でした！

―［メンズファッションバイヤーMB］―

【MB】
ファッションバイヤー。最新刊『ロードマップ』のほか、『MBの偏愛ブランド図鑑』『最速でおしゃれに見せる方法 』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』など関連書籍が累計200万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超！ （Xアカウント:@MBKnowerMag）