デビュー13年目を迎えた声優アイドルユニット・i☆Risが、11月19日に26枚目のシングル「夢へのヒトカケラ」をリリースする。
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約3年ぶりのアニメタイアップとなる本作のミュージックビデオでは、オフィスで働く姿や初心を思い出させるライブシーンなどが描かれる。
山北早紀、若井友希、久保田未夢にi☆Risの今と、次のステージへの決意を語ってもらった。

山北早紀は「会社の受付にいそう(久保田)」

――今作のMVでは、メンバーのみなさんがオフィスで働くシーンもありましたが、自分以外のメンバーがアイドルの道を選んでいなかったとしたら、どんな仕事をしていたと思いますか?

若井:(山北がデビュー前に働いていた)メイド喫茶のほかにってことですよね?

山北:いや、メイドを生涯やることはないって。

久保田:会社の受付にいそう。

山北:加湿器を炊いてね。

13周年を迎えたi☆Ris、声優アイドルユニットとして「アニソンを歌う」という個性は無くしたくない
山北早紀
若井:でも、アイドルのプロデューサーとかやってそう。毎日同じ時間、同じ場所に出勤して、ルーティンワークをするのは無理そうだから。

山北:よくわかってるね。

久保田:たしかに、アイドルのプロデューサーのイメージはあるかも。

久保田未夢は「いまなら、接客業(若井)」

――久保田さんはどうでしょうか。絶対に残業をしなさそうではありますよね(笑)。

若井:絶対に定時で帰りますってね。篠原涼子さんが主演のドラマでそんなのあったな~(笑)。

山北:ゲーム実況者はどう? 顔出ししないで、「わんわんおーこくのお姫様~」って感じで。オタクとしてしゃべりつつ、好きなジャンルの仕事をしてそう。


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久保田 未夢
若井:いまなら、接客がすごく向いてると思う。出会った当時なら思わなかったけど(笑)。とはいえ、人としゃべるのはアイドルじゃないとやってない気がするから、意外と普通に会社員になってバリキャリしてそうな雰囲気もある。

久保田:なるほど。

山北:アプリゲームの開発とか、企画のプレゼンしてそう。

若井:そうそう。定時だけ働きつつ、着実に上り詰めていくタイプ。

若井友希は「かわいい生命を育ててそう(山北)」

――若井さんはどんな仕事をしていそうでしょうか?

山北:生物育成系が合ってる気がする。大好きなわんちゃんを育てたり、子どもと遊ぶのも得意そうだと思いますね。なにかしらの、かわいい生命を育ててそう。共感力が高いので。

久保田:友希ちゃんはパソコンをカタカタ打ったり、オフィスで働いてるイメージがまるで浮かばないから……。

若井:間違いない。


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若井友希
久保田:ファッション好きだし、アパレルの店員さんとかやってそう。i☆Risのなかでも、誰とでも一緒にいられるじゃないですか。コミュ力が高くて、誰とでも仲良くなれる。その雰囲気的に、ショップの店員さんが向いてそうかな。

若井:親もアパレル勤務なので、実際、アイドルになってなかったらその可能性はあるね。

「普通の会社員は無理」「寿退社狙ってそう」

13周年を迎えたi☆Ris、声優アイドルユニットとして「アニソンを歌う」という個性は無くしたくない
i☆Ris  山北早紀、若井友希、久保田 未夢 「夢へのヒトカケラ」
――今日は不在ですが、茜屋さんと芹澤さんについてはどんなイメージですか?

若井:ひみ(茜屋 日海夏)って、最初は「アナウンサーになりたい。向いてるって言われたこともある」とか言ってた記憶がある。“アナウンサー顔”ではありますよね。

山北:ガチガチの空想、妄想家なので、漫画や絵を描いたり、アーティスト寄りの仕事が向いてそう。自分の内なる世界を形にするタイプだと思います、彼女は。普通のデスクワークはできない。

若井:それはない。

久保田:絶対できない。
だって自由だもんな~(笑)。

山北:アナウンサーだと会社員だから自由度がないので。かたくない、エンタメ業界のほうが向いてると思う。

――芹澤さんはどうでしょうか。

若井:姪っ子ちゃんとか、親戚に年下の子が多いから、子どもと接するのがうまいんですよ。すごく家庭的で母性があるタイプ。保育士とか向いてそう。

久保田:なんとなくだけど、会社のなかで良い成績を残すことにがんばるというより、早く結婚して寿退社を狙ってそうなイメージ。

山北:そして、その狙い取り、良いお母さんになってそう。

若井:たしかに。

久しぶりに感じた小さな会場の照明の熱さ

――MVのなかではデビューから間もない頃に立っていたような大きさの会場のステージでパフォーマンスをするシーンもありましたね。

山北:昔の自分たちみたいなシーンでは、その当時のイメージを念頭に置いてやってました。i☆Risの並びだと、だいたいバミリ(ステージ上の立つ位置の目印)が真ん中の0から上下に向かって3まであって。
狭い会場だと、端っこに近い3に行ったとき、照明が当たって激熱いっていう(笑)。あの熱さを久しぶりに感じましたね。

久保田:照明、熱いよね~。

若井:わかる。

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i☆Ris  山北早紀、若井友希、久保田 未夢 「夢へのヒトカケラ」
久保田:MV撮影の日は、ライブシーンを撮ることは聞いてたけど、お客さんが入るって知らなくて。当日会場に入ったら、エキストラの方たちがたくさんいて、どなた……?って感じでした。時間がなくて振り付けをフル尺で入れてなかったので、撮っていくうちに上手くなっていったらいいか、くらいの感じだったのに、観客がいるなら話が違うよ!って。

MV撮影でスタッフしかいない現場と、お客さんがいる前では全然違うから、みんなライブのスイッチが入ったと思います。

山北:そもそも「愛 for you!」のMVと違って、観客席にいるエキストラのみなさんは私たちのファンじゃないんですよ。

若井:曲のノリ方を伝授したり、普段とは違う雰囲気でしたね。中には「声優を目指して学校に通ってます」って子もいて。ひとりだけ、私たちのファンもいました。
たまたま応募したらこの現場だった、みたいな。

――今回のMVでは、別の女優さんが久保田さんの昔の姿を演じて、ステージを見上げてアイドルに憧れる描写もありました。同じような境遇のエキストラの方もいたわけですね。

山北:そうですね。あの役はなかなか良いキャスティングでしたね。

久保田:ね、似てたよね。

約3年ぶりのアニメタイアップへの想い

――i☆Risとしては約3年ぶりのアニメタイアップ曲となります。「声優アイドルユニット」として活動してきたなかで、アニソンを歌うことの意義についてはどのように感じられていますか?

13周年を迎えたi☆Ris、声優アイドルユニットとして「アニソンを歌う」という個性は無くしたくない
i☆Ris  山北早紀、若井友希、久保田 未夢 「夢へのヒトカケラ」
若井:「アニソンを歌うユニット」というアイデンティティは無くしたくないと思います。声優アイドルっていう個性を保ちたいし、普通のアイドルになっちゃうと、それはi☆Risではない。アニタイ(アニメタイアップ)をやりたいって思ってたから……。

山北:韻を踏んでるね。

若井:アニタイ、やりたい。そう思ってたから、すごくうれしいし、ちょっとホッとしてる気持ちもあります。


山北:いろいろなお仕事をさせていただくとき、アニタイがあるだけで引っかかるセンサーが増えるんですよ。私が「こういうユニットで活動をしてます」って説明すると、「あ、そのアニメ見たことある。その歌、歌ってたんだ」って言ってもらえることが多くて。そういう引っ掛かりは、少しでも多いほうがいいですよね。

久保田:ふたりとまったく同じ考えです。数多いるアイドルさんのなかで、最近はアイドルがアニメの歌を担当することも増えてきて。そのときに、違うジャンルのアイドルがアニソンを歌ってくれたっていう見え方になることがあるけど、私たちだとそうはならないのが、私たちの個性なので、そこは大事にしたいですね。

あと、最近は海外の方たちがアニメをたくさん見るようになっていて、そこをきっかけに曲を聴いてもらえるチャンスもある。間口を広げるためにもアニメタイアップの曲を歌っていきたいと思います。

意外と相性が良い3人「一人っ子だからかな」

――海外といえば、今日の3人は今年5月に中国の北京で開催されたファンミーティングに参加したメンバーでもあります。現地のファンの反応は?

若井:暖かく迎えてもらえて、海外にも応援してくれる人が本当にいるんだな……ってしみじみ感動しちゃいました。SNSだけ見てると、外国の方たちも日本語でコメントしてくれてるので、普段はなかなか実感できないんですよ。会いにいかないとわからないもんだな、と思いましたね。

――そのほかに、印象に残っていることはありますか?

山北:北京ダックが二層に分かれてるって、初めて知りました。

久保田:ね。お砂糖を付けて食べるんですよ。おいしかった~。

若井:コラーゲンみたいな部分があって、そこを砂糖に付けて食べると、口の中で溶けるんです。あれはうまかった~。

13周年を迎えたi☆Ris、声優アイドルユニットとして「アニソンを歌う」という個性は無くしたくない
i☆Ris  山北早紀、若井友希、久保田 未夢 「夢へのヒトカケラ」
山北:あとは雑貨屋、キャラクターグッズのお店でひたすら買い物して。

久保田:それこそ、ラブブがこんなに流行る前にたくさん見たよね。

若井:そうそう。で、みんな推しが違うから、大声で教え合って。

山北:誰かの推しのグッズを見つけたら、「ねえ、いたよ!」「ちょっと待って!」って。そんなことばっかりしてた。この3人は意外と相性が良いなと思いましたね。

久保田:たしかに。

若井:みんな一人っ子だからかな?

久保田:みんなでマッサージも行きました。めちゃ楽しかった。

若井:満喫しかしてない。

山北:月イチくらいで行きたいね。

計画性が加わったi☆Risは最強

――では最後に、13周年ライブ「i☆Ris 13th Anniversary Live -TITLE MATCH-」について、お聞きします。

13周年を迎えたi☆Ris、声優アイドルユニットとして「アニソンを歌う」という個性は無くしたくない
i☆Ris  山北早紀、若井友希、久保田 未夢 「夢へのヒトカケラ」
若井:この取材(10月初旬実施)のあと、リハなんですよ。

久保田:このスケジュール感は、今までのi☆Risとは思えない準備の速さ。これは拍手喝采です。

山北:いつもなら、ぜんぜんまだ始まってないよね。

久保田:始まってないね。このライブのキービジュアル、たしかアニサマ(アニソンのフェス「Animelo Summer Live 2025 “ThanXX!”」)の頃に発表されたんですけど、その時点でタイトルも決まって、パンレット用の撮り下ろしも全部終わってたっていう快挙。

若井:いつも告知のタイミングではタイトルが決まってなかったもんね。タイトルは後日発表っていう。

久保田:セトリも今までにないスピードで決まって。去年は表立った活動が多かったけど、今年はみんなにお見せしていない裏の部分の気合を感じる。

山北:i☆Risって活動が長いからアドリブに強いけど。逆に言うと、今までは短い準備期間であれだけのライブをやってこれたから、そこに計画性が加わった今年は最強じゃないかって思います。今の段階では、準備万端です。

もうひとつ自分の殻を破りたい

――タイトルに込めた思いや準備の状況について教えてください。

若井:i☆Risのファンって、すごくパワーがあるなって思うんです。ライブでは私たちもそのパワーに負けないくらいに歌うし、またそれに負けないくらいに声を出してくれる。それが戦いっぽいなって感覚があって。

うちらに負けずに声出せよ!みたいな、盛り上げの戦いでもあって、どっちがより楽しめるかっていう勝負でもある。セットリストのなかでは、そういう戦いのパートをつくってあるので、いつも以上に気合を入れてきてほしいです。

山北:友希ちゃんが言ったように、ファンとうちらの戦いでもあるし、うちら同士の戦いでもあるかもしれない。もう一つ、己との戦いでもあって、私はここ数年ずっと、つねに自分との戦いだと思ってきました。

最年長で、最年少とはオリンピック1回ぶん離れてるので、私がボロっとなっちゃったら、みんなが「もうそこそこでアイドルは辞めたほうがいいかな」って思っちゃうかもしれない。

特に去年は、劇場版があって、ぴあアリーナMMという大きな会場でライブができて、かつてアイドルに憧れてきた自分としてはもうご褒美が与えられちゃったんです。でも満たされちゃうと成長しなくなるじゃないですか。

その意味では、もうひとつ自分の殻を破りたいなっていう意味で、自分との戦いっていう意味合いも強いですね。

久保田:ふたりが全部言ってくれたので、付け足しになっちゃうんですけど。i☆Risのオタクって、たまに我々より勢いがすごいときがあるんです(笑)。ライブの主役はi☆Risなのに、たまに食ってかかろうとするというか。そのくらい気合を入れて来てくれるので、負けないようにパフォーマンスしたいです。

みんな、i☆Risのキラキラかわいいアイドルな一面だけじゃなく、まだ野心を持ってぎらぎらしてる私たちのことも好きだと思うので。もう13周年なのにまだ負けず嫌いで、「まだ売れてないですけど」って顔してる野心家なところも好きだと思うので、みなさんも野心を持って戦いにきてくれたらうれしいなと思います。

【i☆Ris】
‘12年、結成。リーダーの山北早紀、芹澤優、茜屋日海夏、若井友希、久保田未夢からなる5人組声優アイドルユニット。11月19日にリリースする26thシングル「夢へのヒトカケラ」は久保田がヒロインのティノ・シェイド役を演じる、TVアニメ『嘆きの亡霊は引退したい』第2クールのエンディング主題歌。カップリングにはパチンコ遊技機『カケグルイ』の挿入歌に起用の「Romantic Showdown」が収録されている

<撮影/尾藤能暢 取材・文/森 ユースケ ヘアメイク/原田琴実 門口明加>
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