―[ひろゆきの兵法~われら氷河期は[人生後半]をどう生きるか?~]―

就職氷河期世代はこれまでの人生においてさまざまな困難を乗り越えてきたわけだが、40-50代になって迎える新たな難問が「老害」だ。人生後半も過酷な彼らは、いかに生き抜いていくべきか? 同世代のひろゆき氏が考える。

仕事は会議室ではない、現場で起きてるんだ!「老害」回避に必要...の画像はこちら >>


「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!」というのは『踊る大捜査線 THE MOVIE』の有名なセリフですが、人生もまさにその通り。現場から離れた人ほどとんちんかんな発言を“正しい”と思い込む傾向がある気がしています。反対に、老害扱いされない人たちの共通点は、“現役感”があることです。

 例えば、今の大卒者の半分は平均300万円くらいの奨学金という名の借金を背負って社会人デビューするわけですが、高齢者の多くはそんな経験をしたことがありません。だから「俺たちの若い頃は車を買ったのに、今の若者は車を買わない」とか「結婚して子どもを産めばいいのに」とか簡単に言いだすわけです。

 今は中高年の若い頃と比べて社会保険料や税金などで天引きされる割合も大きい。もちろん、昔に比べて給与も上がっているわけですが、物価はさらに上がっている。そういった情報は中高年も理解しているし、お金がないこともわかってはいると思います。でも、これだけ複合的な要因が合わさってくると、数字や情報として頭では理解できていても、肌感覚として捉えることはほぼ不可能。結果、老害ムーブになるわけです。

手を動かさないと、リアルさは掴めない

 なので、老害と呼ばれない現役感を保つためには、リアルな現場感を把握することが重要。無理やりにでも現場に出て、実際に手を動かして働くのがいいと思うのですね。


 そして、もし自分の考えとは異なる事実があった場合は、面倒だと感じても、とりあえず現場で行われているやり方を踏襲してみる。例えばAIを使っているなら、実際に自分もAIを使って自分も同じようにやってみる。そのうえで微妙なところがあれば、指摘したり改善をすればいい。なにも全部をマネる必要はなくて、やり方を一通り触れてみるだけでもリアルな問題点とかが見えてきますし、僕もそれを実践しています。

 とはいえ、年齢を重ねて管理職とかになると「現場は現場に任せるのが当然だよね」となりがち。そうすると、現場と接する機会がどんどん減っていきます。だから、それなりの規模の組織の偉い人が老害化するのはある種の必然なのですが、だからこそ意識的に現場との接点を持ったほうがいい。雑談するのでもいいし、顔を出す時間を無理してでもつくるようにしたほうがいいのです。

 一説では、ユニクロの柳井さんやソフトバンクの孫さんはいまだに現場の会議に出ているなんて話もあります。そうやって、現場の雰囲気や市場の流れを肌で感じ取っているからこそ、現役感を保てているのだと思います。僕の周りの老害っぽさを感じない中高年を見ると、やはりユーザー視点からズレないような現場感覚を持ち合わせている人がほとんどです。

 一方、それなりの立場になって現場から離れても「自分はズレていない、チューニングの必要はない」と感じたら、老害の可能性があるので注意。
現場は偉い人に言い返すのが面倒なので何も言わずに老害認定するものなので……。

構成・撮影/杉原光徳(ミドルマン)

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【ひろゆき】
西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』
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