開催の1週間前、11月7日に記者会見を開催した際にはまだチケットは残っていたが、開催の数日前にSNSでi☆Risの公式アカウントから「完売まであともう少し!! なんと残りわずかのローチケ分でまもなく完売となります」というアナウンスが。
そのメッセージに呼応して、ファンから「ローチケ、買えなくなってる」「完売おめでとうございます!」などとの投稿もあったのだが、実際にソールドアウトになったのかどうかは不明なまま、ライブはスタートしたのだった。
準備を重ねた1年越しの“リベンジマッチ”
事前の格闘技をイメージした記者会見からの流れもあり、メンバーの登場は格闘技イベント風に演出され、ファイティングポーズをとりながら会場の中央部に位置するステージに全員が集結。いつものメインステージに加えて、花道でつながったこのセンターステージでパフォーマンスすることも多く、普段よりもメンバーたちを間近で見られる仕様になっていた今回のライブ。
柱のように伸びるリフターに乗り、上の階の客席から見えやすい高い位置で歌う曲があったり、花道を練り歩く際には、しゃがみ込んでギリギリまで客席に近づいて手を振る姿が見られたり、炎などの特殊効果も多かったりと、サービス精神が垣間見える瞬間も多かった。このあたりは、昨年のリベンジマッチであり、事前の取材で久保田が「今までのi☆Risとは思えない準備の速さ」と語っていた、スタッフたちの念入りな準備の賜物だろう。
さらに、ライブの題名どおりに行われたメンバー同士の対戦では、演出とその予算の使い方が実にそれぞれのキャラクターを表していたように感じた。
ソロでも活躍するからこそ出るパフォーマンスの厚み
そして、個人的にこのライブのハイライトであった芹澤優vs茜屋日海夏vs若井友希の三つ巴の対決パートが続く。i☆Risのメンバーたちがそれぞれソロでも活躍を続けていることで、ユニットとして集結した際にパフォーマンスの厚みが出ているのだと強く感じさせてくれたパートだったように思う。先陣を切ったのは、昨年までに5回のソロツアーを重ねたほか、人気アニメ「MFゴースト」OPテーマの「JUNGLE FIRE」を引っ提げて、ソロでも多数のフェスをブチ上げてきた芹澤だった。バックバンドを従えて、ノリやすいユーロビートで会場を上げたのち、若井の激しいピアノソロから始まる「遺言」で会場が静まり返る。
「JUNGLE FIRE」と同じくアップテンポではあるものの、テイストがまったく違う「遺言」は、決してペンライトを振りやすい、誰もがノリやすい曲ではない。しかし、練り上げられたピアノとバンドの演奏と彼女の高い歌唱力が、無条件で観客たちを惹きつける。そしてサビでは炎が燃え上がる特殊効果も使われ、渾身の曲を命を燃やして歌っているような演出がなされていた。
もう少しポップでノリ曲も多数持っているなか、この曲を選択するのは少し勇気を要したのではないか。それでもこの2曲が並んだパートが、ライブ全体のクオリティをグッと上げていたように感じる。
それぞれが独自の道を歩み、経験を積んでいるからこそ、全員が集まったときにさらなる輝きを見せてくれる。そんなグループ全体のパワーアップが光ったパートだった。
決して順風満帆ではなかった声優アイドル人生
その他、メンバーたちがキャリアの初期に立っていたライブ会場を訪れる幕間の映像もみどころだった。普段から「不仲営業」と自らネタにするi☆Risながら、この映像では珍しく仲良く過去を振り返るトークを繰り広げており、思わず「普通のアイドルグループみたいだ!」とつぶやいてしまったほど。その映像を受けて「あの会場はぴあアリーナMMのセンターステージの半分ほどの大きさだった」などのトークを繰り広げたのち、山北が「当時は手を上げたら天井にぶつかってよく突き指をしていた。それなのに……。今日はこんなたくさんの方が来てくれましたー!」と喜びをあらわに。
「ずっと順風満帆かっていうと、そんなことは全然ありませんでしたよね。売れそうだなって思った時期に、無観客ですって言われたりさ…。13年前の自分は、まさか13年目もぷりぷりのかわいい衣装を着て、こんなにたくさんの人に囲まれアイドルを続けられるなんて思わなかったですよね。それってみなさん一人ひとりがいてくれないと成り立たない。
去年も悔しい思いをして、今年も頑張ろうってなって、埋まったっていう。
とエモいトークをしたあと、感極まって次の曲振りを前に涙を流してしまった山北。
5年前、無観客のライブで歌った当時の記憶が蘇ったのか、グループ史上最大キャパ会場を埋め尽くす観客を前に歌える喜びを噛み締めていた。
「13年やってて今、一番売れてる」奇跡
アンコールでは、ステージ上のモニターに、ファンたちが応援メッセージを書き込む姿を撮った映像と、そのメッセージが映し出され、メンバーたちが「聞いてない!」と口々に叫ぶ場面も。さらに、会場後方のスタンドから「祝☆完売!!!!! To The Next Step☆」という横断幕が開き、よく見るとファンの応援メッセージが書かれた布のパッチワークとなっていた。
「びっくり。完売か~。i☆Risちゃん、13年やってて今、一番売れてるらしいよ!(中略)13年やってきて、まだまだ可能性あるんじゃないの~!」
確かに、メンバーを加えていくタイプではない女性アイドルグループが13年続くことはもちろん、右肩上がりを続けているのは、本当に稀な現象である。
キャリアの初期にアニメ『プリパラ』シリーズというブースト装置があったとはいえ、地道に良いライブを続けてきたこと。そして、メンバーが抜けて新体制となってから、従来のアニメタイアップに加え、メンバーたちの魅力を発信して、新たなグループカラーを築き上げてきたこと。それぞれがソロで独自の道を突き進んでいることなど、すべての積み重ねが奇跡につながっているのだろう。
「いまが一番かわいい」存在であり続ける
この満員御礼になったライブの会場に入ってまず感じたのが、近年のi☆Risのライブのなかでも、若年層と女性客の増加が顕著であったこと。
その積み重ねの先には、「まだまだ売れたい!」と語る彼女たちの目標のひとつである、“まだ空いている年末のスケジュール”(=紅白歌合戦など)が待っているのかもしれない。そんな可能性を感じさせてくれた13周年ライブであった。
【i☆Ris】
‘12年、結成。リーダーの山北早紀、芹澤優、茜屋日海夏、若井友希、久保田未夢からなる5人組声優アイドルユニット。発売中の26thシングル「夢へのヒトカケラ」は久保田がヒロインのティノ・シェイド役を演じる、TVアニメ『嘆きの亡霊は引退したい』第2クールのエンディング主題歌。カップリングにはパチンコ遊技機『カケグルイ』の挿入歌に起用の「Romantic Showdown」が収録されている。11月15日にデビュー13周年を記念したワンマンライブ「i☆Ris 13th Anniversary Live ‐TITLE MATCH‐」はミクチャにて11月30日まで配信中
<取材・文/森ユースケ>
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