こんにちは、シューフィッター佐藤靖青(旧・こまつ)です。靴の設計、リペア、フィッティングの経験と知識を生かし、革靴からスニーカーまで、知られざる靴のイロハをみなさまにお伝えしていこうと思います。
はやくも年末ですね。2025年の靴の総決算として、スニーカーから革靴、実用的な低価格モデル、ビジカジ対応、全天候型まで、「まだ店で買える縛り」で各ジャンルのベストを5つ挙げていきます。
スニーカーサンダル部門「コロンビア スライブリバイブ シャンダル」1万3970円
年々、高温多湿、多雨になっていく夏に際し、いくら通気性がよくともスニーカーではもう対処できなくなってきました。かといってサンダルでは乗車や車の運転には心もとない……、そんな需要にピッタリはまったがスニーカーサンダルという新ジャンルでした。コロンビアのスライブリバイブはハイパークッションと頑丈さを兼ね備えて、良心的価格で一気に認知が拡大し、ヒット商品に。街中から
アウトドアはもちろん、通勤から旅行まで使えて、なんと冬の今でも買い求めるファンがいるので店頭で手に入ります。スニーカーサンダルも本格的なものは2万円を超えてきますが、はっきり言ってこれで十分。同部門の不動の1位です。
ビジネスカジュアル部門「スキナーズ ムーンウォーカー」3万1900円
スキナーズ「ムーンウォーカー」。3万1900円。写真は公式HPより
キャッチフレーズが「ベアフットシューズの究極の開放感と、フォーマルなシーンにも応える品格」という一見、矛盾したコンセプトながら、筆者が真夏から履き始め、真冬の今でも一番履いているのがこちら。スキナーズはチェコのメーカーですが、こう見えて裸足感覚のべアフットシューズで、足の裏の握力から体幹の筋肉までを鍛えるのが目的ですが、それがどうでもよくなるくらいにはまず見た目がいい。さらにつま先が足と同じ形で指先が広がるので完全に「究極の開放感」を実現したストレスフリー仕様。
筆者私物
たかだかべアフットシューズに3万円なんて、と思っていましたが、気がつけば出張から気合のいる商談まで、夏から冬まで履き倒しています。超ミニマルデザインにビルケンのような開放感でいながら、高級革靴のような質感。結局これがあればたいていの用事は済んでしまします。
裏地にユーカリ由来のテンセルを使うことで「真夏は涼しく・真冬はあったかく」も実現。これで体も鍛えられるので、一石何鳥かもうわかりません。
低価格部門「ナイキ レボリューション8・イージーオン」7700円
ナイキ「レボリューション8 イージーオン」。7700円。写真は販売サイトのABCマートより
手を使わず一瞬で脱ぎ履きができるハンズフリーシューズです。スニーカーから革靴メーカー、はてはブーツまで今は様々なハンズフリーシューズが販売されていますが、歩き心地と価格でひとつ頭抜けたのがナイキ。定価で7700円ですが、大型スポーツ店でも販売されていて実勢価格は5000円前後。忙しい日常用から、両手のふさがる子育て世代、脱ぎ履きがとにかく多い教員のかたにまで愛される、まさに実用最強シューズ。ソールユニットはガチンコのランニングシューズをそのまま応用しているので、ランニングまでこなせるモンスターモデルです。
革靴部門「アシックス テクシーリュクス・ゴアテックス」1万7820円
アシックス「テクシーリュクス・ゴアテックス」。1万7820円。写真は公式HPより
この革靴がアシックス製とは誰も見抜けないと思います。しかも天然革で完全防水のゴアテックスで1万円台とあっては、他の革靴メーカーは完全に心が折れてしまうでしょう。テクシーリュクスのほとんど製品が幅広の「3E」が主力でしたが、このモデルはやや幅せまの「E」。とはいえ、指の両端が当たる踏みつけ部分は足なりのカーブで、小指が当たって痛くなるリスクも少ない。さらに表面が型押しの牛革でキズも目立ちづらく、ヒールが減っても町中の修理屋で3000円程度で修理が可能。私のようなプロから見ても本当におそろしいモデルです。いまや百貨店の紳士靴売り場のメインは、テクシーリュクスが担っています。
幅もスニーカーメーカーも真っ青のE~4Eまで網羅するようになり、来年以降さらに勢いを増すと予想しています。
個人的MVP「サロモン XT-PATHWAY GORE-TEX」2万3100円
サロモン「XT-PATHWAY GORE-TEX」。2万3100円。写真は公式HPより
個人的なMVPは、サロモンです。仕事柄どこに行くのか、天気状況も路面状況もわからないのですが、これならOK。ベースは山の中を走るトレランシューズがベースですが、アスファルトの上でもがっちり底が噛んでくれるので、早歩きでもきっちり食いついてきてくれます。紐もコード式の「クイックレース」システムで、甲の調整は一瞬でできますし万一壊れても1000円ほどで交換可能。
筆者私物
ゴアテックスなので白いアッパーでも水道水でガンガン洗えます。サロモンの中でも底がやや厚いほうですが、サロモン独自の「エナジーセル+」でクッションを確保、カカト周りは立体的なスタビライザーで包み込み、ネンザの心配もまずありません。
ちなみに、アルトラ「ローンピーク9ワイド」「トーリン8」が執筆時点で売り切れだったので選外となりましたが、ベスト5に入れてそん色ないアイテムでした。2025年のアルトラ人気は本当にすごかった。筆者は薄底も厚底も愛用していますが、その日の気分で分けています。
ファッションも生活も足元が基本です。足元が整とっていないと、気分が落ちます。
気分が落ちるとロクなことがありません。迷ったらまず足元から。来年も気持ちよく歩ける一年になりますように!
【シューフィッター佐藤靖青】
イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます『シューフィッター佐藤靖青(旧・こまつ)@毎日靴ブログ』。著書『予約の取れないシューフィッターが教える正しい靴の選びかた』