大学入学後の展望を聞こうとした矢先、彼女は眼帯をして現れた。そこから思わぬ方向へ話が進み――。
大学進学後、衝動的に家出する
――慶應義塾大学入学おめでとうございます。人生のリセットを賭けた受験だったと伺いました。松本麗鈴:ありがとうございます! そうですね。私は小さい頃から陸上競技をやっていて、結構スパルタな両親のもとで打ち込んでいました。小学校~中学校までは、「同じクラブチームの子どもに負けたら罰練習、ご飯なし」とかもあったりして……両親はオリンピック選手に育てたかったようです。私もそのつもりで、かなり競技に真剣に打ち込んでいました。けれどもだんだん熱が冷めてしまって、國學院大學文学部に入学後、わりとすぐに陸上部を退部します。その後、コロナ禍などもあって人との関係性も希薄になるなか、家出を決行しました。
大学時代、いわゆるパパ活みたいな形でお金をくれるおじさんが複数いて、それなりに貯蓄はある状態でした。「一人暮らしをしたい」と衝動的に家を飛び出して、新宿で寝泊まりをするうちに、ひとりの男性に出会ったんです。
「総額1億円」ホストにつぎこむ
――それが、どん底の始まりですか。松本麗鈴:今にして思えばそうなのかもしれません。当時、彼は経営者ではありましたが、あまり稼いでいるとは言えませんでした。そこで、ホストに転身したんです。一方、私は以前からちょくちょくセクシー女優にならないかという誘いはあって、断っていたんです。けれども、この男性を支えるために、セクシー女優になるのもありかなと思って、挑戦することにしたんです。2021年5月に撮り始めて、11月2日デビューだったはずです。
――好きになった男性を、ホストとして高い地位にしたかったわけですね。いくらくらいお金を使ったのでしょうか。
松本麗鈴:2021年から2年ほど、毎月1000万円以上近く使ったこともありました。総額では1億円超です。
同棲相手から財布からお金を抜かれていた
松本麗鈴:ただでさえセクシー女優になったことで、地元の友だちとは縁が切れてしまいました。大学は卒業したけれど、部活もやめてしまったしサークル活動などもしていませんでしたので、友人もいません。
――結婚するなどの方法もあったと思いますが。
松本麗鈴:私は結婚したかったですし、彼も「いずれ結婚する」みたいなことを言ってくれていました。けれども、女遊びが派手だったことと、財布からお金を盗むのがやめられず、一緒に生活をしていくのが厳しいのではないかと思ってきたんです。今思うと寂しい発想ですが、「どうしてこれだけお金を使ったのに思い通りにしてくれないの」という苛立ちも、彼に対してありました。
同棲していた2023年末、2人でいるときに部屋で喧嘩をしました。とはいえ、これまでも喧嘩はあって、何度か警察を呼ぶ事態にまで発展しています。このときは、私の財布からお金が抜かれていたので、確認のために彼の財布を開けようとしたら、いきなり拳が飛んできました。武道の有段者である彼の拳は重く、私は負傷しました。彼はこのとき、留置場に入っています。
眼帯の理由は、まさかの…
――失礼ですが、今日も眼帯をされていますよね。そのときの怪我とは無関係ですか。松本麗鈴:もちろん当時の怪我は治っていますが、同じ人からの暴行で負傷しました。彼が留置場から出てきたあと、2024年6月頃に一度は信じてみたものの、同棲を解消しています。しかしお互いに家族のような感覚に陥ってしまって、何かうまくいかないことがあると、彼から電話がかかってくるようになっていました。
私からの彼に対する感情は愛憎半ばで、もちろん家族のような情を持っているのですが、同時に「時間とお金を無駄にされた」という怨恨に近い感情も、正直に言えばなくはありませんでした。ほとんど会うことはなかったのですが、数日前(2025年12月)に久しぶりに会ったことで、また喧嘩になり、同じように殴られて負傷したというわけです。
大学で学びたいことは?
松本麗鈴:そうですね。現在、私には何のつてもありません。だから大学に入ってもう一度学生をやって、さまざまなことを吸収したいと思っています。直近で興味を持っているのは、生成AIを駆使して画像、動画を作ることです。私は、私自身の顔を使ってバーチャル化することで、会えるバーチャルタレントのようになりたいと思い描いています。
――バーチャルとリアルのあわい、ということでしょうか。
松本麗鈴:イメージとしては、本籍はバーチャルにあるけれども、両者を隔てる薄い膜の、限りなくリアル側に近いところに置く感じでしょうか。空想でもいいから、いかに本物をなぞれるか、そういう技術の挑戦をしてみたいと思っているんです。生成AIを駆使すれば、画像だけではなくストーリーをつけて動かすことも可能です。自分が考えているものが、将来世の中のプラスに働くような発想につながればいいなと思っています。新しい概念を作りたいなとは思っています。
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執着は人を狂わせる。近視眼的にしか人やものを見られず、ほかの一切を遮断し、やがて孤立する。だが松本さんは、自己の内面に新たな学びを据えることで、俯瞰的な視座を得た。金銭的にも時間的にも膨大な回り道を経験した彼女が紡ぎ出す空想の世界が、今後誰かと誰かをつなぐ物語となるかもしれない。
<取材・文/黒島暁生>
【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。
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