転機が訪れたのは高校生の時、わずか4枚の写真しか載せていなかったインスタグラムにスカウトのDMが届き、芸能の仕事を始めた。
今回は、そんな学生時代の思い出やバスケを通して得たものなど、知られざる一面に迫る。現在はグラビアや女優業にも挑戦する彼女の原点には、陰で支え続けてくれた家族の存在があった——。
人生を変えた“バスケ”との出合い
「バスケといえば、すみぽん。そう思われるような存在になりたいです」愛知県出身、バスケタレントとして大活躍中のすみぽんさんだが、幼少期はすごく人見知りで、「親の後ろに隠れて挨拶もできないような子だった」と当時を振り返る。
「小学校低学年の頃は、教室で本をずっと読んでいるタイプでした。家庭訪問の時にも、先生から『本ばかり読んでいて、外ではほとんど遊ばないんですけど大丈夫ですか?』と言われるぐらいで(笑)。
でも、高学年になってからはなぜか外で活発に遊ぶようになったんですよ。そのきっかけになったのがダンスで、いろんな人と関わる機会が増えたことで、やっと自分の考えが表に出せるようになりました」
そんななか、周囲の友人がバスケをやっていたこともあり、5年生からバスケも始めることに。それが思いのほか楽しいことに気づき、本格的に取り組むことになったそうだ。
「バスケを一生懸命がんばることで、自分自身を肯定できる気がした」
「私が入っていた部活は人数が多く、強いチームでした。ただ、バスケを始めた当初は同時進行でダンスもやっていたので、練習に行けない時も多くて。練習にあまり行けてないのにユニフォームをもらっていいものか……。きちんと練習に行って、誰もが納得するかたちでユニフォームをもらいたいと思って。
そこからダンスを辞めてバスケに専念しました。部活とクラブチームの両方で活動していたこともあり、この頃から交友関係は広くなったと思いますね」
中学に進学すると、毎日バスケの練習に行くようになった。バスケと真剣に向き合うようになったからこそ、メンバーとぶつかることもあったという。
「中学生の頃に両親が離婚し、複雑な家庭環境で育ちました。うまくいかない時も、私の心の支えとなったのがバスケでした。“バスケの試合に出られる自分”が好きでしたし、バスケを一生懸命がんばることで、自分自身を肯定できる気がしたんです。
高校では愛知県の強豪校がひしめくなか、私たちの代は県大会でベスト16まで勝ち上がり、あと一歩でベスト8というところまで健闘し、大きな達成感を得ることができました」
当時、朝は3kmを超えるランニングから始まり、体幹トレーニングを行う。その後に授業に出る生活を続けていたとか。特に冬の筋トレ期間はトレーナー指導のもと、四股踏みを100回、腕立て伏せ100回など、色々なトレーニングに励んでいたそうだ。
写真4枚しか載せていなかったインスタにスカウトのDMが届いて…
バスケ中心の学生生活から一転し、芸能の道に進んだのはどのような背景やきっかけがあったのだろうか。
「もとを辿れば、小学6年生の時に家族で東京へ行った際、スカウトされたのが興味を抱いたきっかけでした。
芸能に対する気持ちはずっと心のどこかにあった。しかし、あえて自分から「やりたい」とは言い出せずに、部活に打ち込んでいたのだ。
そして、高校2年生の時に転機が訪れる。
フォロワーが800人程度しかいなかったインスタグラムを事務所が見つけ、スカウトのDMが送られてきたという。
「本当に身内しかフォロワーがいなくて、投稿も4枚くらいしかなくて。確か、母親とのツーショットと夜景の写真、『千と千尋の神隠し』のネズミとまっくろくろすけの写真、サロンモデルを無料で体験した時の写真を載せていたと思います。そのサロンモデルをやった写真に目を留めてくださった事務所から連絡をいただいて、そこから芸能の道が開けていったんです」
毎日朝5時と夜21時、ライブ配信をバスケと両立
事務所に所属することになったすみぽんさんは、ライブ配信サービス「SHOWROOM」で活動をスタートさせる。とはいえ、前述のようにバスケ中心の生活で、時間を捻出するのはそう容易いことではなかった。
それでも、朝練の前に5時から配信を行い、バスケの練習に向かい、学校の授業が終わったら家に帰って21時から22時まで配信する……。こうして配信活動をコツコツ続けていくうちに、自然とSHOWROOMのランキングも上位までいけるようになったという。
「未成年は配信できる時間が朝5時~22時までと決まっていたので、朝と夜は必ず配信すると決めて行動していました。配信の内容も、誰かに相談したわけではなくて、全部自分で考えていましたね。
コロナ禍で大学に通う意味を失い、19歳で上京を決意
高校卒業後の進路は、父親に大学進学を勧められた。入学金や教材費などのお金は自分で稼いだお金でまかないつつ、愛知県内の大学に通うことに。しかし、2020年のコロナ禍では入学式もなく、授業もほとんどがリモートだった。
「私がその大学を選んだのは、フィットネスルームがすごく整っていて、バスケもサークルか部活で続けたいと思っていたからです。でも実際に入ってみたら、コロナで施設が全部使えなくなっていて……。
授業も座席の間に仕切りがある状態で、“勉強はできるけれど、大学に通う意味は何だろう”という気持ちが強くなっていきました。その頃、私はすでに活動も少しずつ軌道に乗っていたので、できるなら早く東京に出た方がいいのかもしれないと思い、19歳の時に大学を辞めて上京してきたんです」
バスケ動画でバズり、仕事の幅が大きく広がる
現在はTikTokを中心にSNSで情報発信しているすみぽんさんは、TikTokが日本では一般的ではなかった頃に、事務所から「TikTokはこれから伸びるからやっておいたほうがいい」とアドバイスを受けて始めたという。音楽に合わせて振り付けをする「リップシンク」が流行しており、若い女性の間で人気があったそうだが、「バスケをしながら音楽に合わせるコンテンツはほとんどなかった」という。
「バスケと音楽を組み合わせた動画をTikTokで投稿したところ、それが一気にバズったんです。それ以来、バスケに関連する動画を定期的にアップすることでフォロワーも増えていきました。
でも今は逆に、バスケじゃない動画が伸びたりもしていますね(笑)。普段の私服とかプライベートの一面を投稿すると、意外に反応が良かったりするんですよ」
バスケの動画で注目を集めたことで、バスケ関連の番組やBリーグ・Wリーグのイベントのゲスト出演、国内問わずNBA・EASLでの活動、さらにはパリオリンピックの応援サポーターや高校生の全国大会「ウインターカップ」の公式応援団にも参加するなど、バスケをきっかけに活動の幅が大きく広がったわけである。
バスケから学んだ人間関係や礼儀の大切さ
「新たにグラビアのお仕事を始めることになった時も、全く抵抗はなかったですね。
バスケタレントとして成長を続けるすみぽんさんだが、学生時代に打ち込んだバスケから学んだことについて聞くと、「人とは仲良くしておいた方がいい」「礼儀」と答える。
人間関係を大事にすること、挨拶をきちんとする、遅刻をしない。社会人として基本的なマナーがバスケで身についたそうだ。
「現場でも、名前を呼ばれたらすぐに『はい!』と返事をする習慣があり、そのことを評価してもらえることも多いんですよ。高校生の頃は先輩後輩の上下関係が厳しかったので、周囲への気配りや配慮を自然に学べたのも大きな収穫でした」
陰で支えてくれた家族の存在が大きかった
加えて、日頃から支えてくれた家族の存在も大きかったと続ける。
「父親はタクシー運転手なのですが、毎朝5時には味噌汁とご飯、私が大好きな明太子が当たり前のように用意されていて、車で送ってくれたり……。父親はバイクが大好きで、『一緒に乗るから免許を取ってほしい』と言われれば取得しましたし、『大学に行ってみたら』と勧められれば行っていました。基本的に好きなことをやらせてもらいつつ、父親にも寄り添っていた感じで、反抗期は正直なかったなと思います」
また、今の活動を前向きに応援してくれている母親のもとにもたまに会いに行き、一緒に釣りをしたり、猫や犬と遊んだりしているそうだ。
すみぽんさんは、バスケタレントに留まらず、グラビアや俳優業にも力を入れている。将来的には全国放送のドラマや映画にチャレンジしたいという。
バスケをきっかけにチャンスを掴んだ彼女の快進撃は、今後も続いていく。
<取材・文/古田島大介、撮影/東京佑、ヘアメイク/イワタユイナ、スタイリング/米丸友子>
【古田島大介】
1986年生まれ。
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