今回は、そうしたご近所とトラブルにまつわる悲しい現実を取材しました。
旗竿地の新築物件を購入
郊外の商業施設に勤務する宮内さん(42)は、都心から少し離れた郊外の新興住宅地に戸建てを購入しました。妻の美幸さん(39)は、長年の夢だった庭付きの暮らしを楽しみにしていたといいます。ただ、人気のビッグタウンゆえに、角地や日当たりの良い場所は早々に埋まってしまい、残されたのは道路から細い通路を抜けた先にある旗竿地でした。
「正直、最初は妥協でした。でも、駐車スペースの脇に花壇をつくり、通路を華やかにすれば素敵な家になると考えたんです」美幸さんはそう語りました。
新居が完成すると、彼女はさっそく花や植栽を飾り、通路を彩りました。季節ごとに咲き変わる草花を「小さな我が子のようにかわいがっていたんです」と夫の宮内さんも振り返ります。
ある日起こった悲しい出来事
引っ越し早々、宮内さんは道路側に住むお宅へ挨拶に出向いたといいます。「ああ、どうも」と素っ気ない対応だったものの、ごく普通の中年夫婦だったそうです。その後は顔を合わせることも少なく、互いに干渉せず時間は過ぎていったと言います。
「最初は気のせいかと思いました。でも、次の日も次の日も元気がなくなっていって……」と美幸さん。
彼女は心配しながらも丹念に世話を続けました。けれども、緑はみるみる茶色へと変わり、やがて花壇全体が枯れ果ててしまったそうです。
信じたくない現実を目の当たりに
「泣きました。本当に悲しかった。まるで大切に育ててきた子を奪われた気分でした」と美幸さんは当時を語っていたそうです。その落ち込みようは、夫の宮内さんも胸が痛むほどだったそうです。そんな中、決定的な光景を宮内さんは目の当たりにしたと言います。それは、ごみ置き場に捨てられていた空の除草剤の容器でした。当時、そのゴミ集積場は宮内さんとその中年夫婦だけしか利用していなかったようです。
「確証はありません。でも、誰がこんなことをするでしょうか。
理由はわかりません。花壇の華やかさに嫉妬したのか、虫を嫌ったのか。ただ一つ確かなのは、悪意がなければあの結果は生まれない、ということでした。
苦渋の決断で引っ越しを決意
モヤモヤしながらも、ショックによる精神的な疲労が重なり、美幸さんはその後体調が思わしくありませんでした。それから半年が過ぎ、宮内さん夫妻は転居を決断したといいます。
「せっかく手に入れたマイホームなのですが、もうこれ以上この地で生活することはできないと判断しました。あのショックが日々益々増殖され、1日でも早くここを出たくなりました」
「悲しいけれど、これでよかったんです。新しい場所で、また花を育てるつもりです。でも、ご近所付き合いって本当に重要ですね。ただ、これだけは住んでみないと分からないものなので、どうしようもないのですが……」と美幸さんは最後に笑顔を見せてくれました。
彼女にとって、草花はただの装飾ではなく、心を映す存在だったのです。枯れてしまった花壇は二度と戻りませんが、穏やかな時間が感じられる引っ越し先では綺麗な花が咲くといいですね。
<TEXT/八木正規>
※警察庁広報資料「令和5年における相談取扱状況について」
【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
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