カフェやレストランでのひと時は、リラックスして過ごしたいもの。だが、そこに自己中心的な第三者が介入することで、心落ちつける状況とは程遠い、憂鬱な時間になってしまうこともあるようで……。

 通信会社に勤務する西川啓太さん(仮名・28歳)には、そんな見ず知らずの人物から嫌な仕打ちを受けた経験があるという。

飲食店で「男性アイドルのアクスタを立てて写真を撮る女性」から...の画像はこちら >>

アクスタを立て、必死に撮影する年配女性

「付き合いたての彼女と二人で、SNSで話題になっていた人気のカフェに行った時の話です。パンケーキが有名なお店で、自分も甘いものが好きなので、ずっと前から楽しみにしていました。長い行列に並び、ようやく席についた時には自分も彼女も少し興奮している感じでした」

 せっかく来たのだからと2000円オーバーの豪華なパンケーキをオーダーし、注文した品が来るまで、西川さんは彼女との会話を楽しんでいた。

「すると、突然、背後から声をかけられたんです。振り返ると、派手な格好をした年配の女性がいて、高圧的な口調でこう言われたんです。『ちょっと! あんたたち。今、撮影中なの! 静かにしてよ』と」

 年配女性の席を見ると、自分たちが頼んだものと同じ豪華なスイーツが置かれており、その横には某男性アイドルのアクリルスタンドが立てられていた。女性はアクリルスタンドを片手で動かしながら、もう一方の手ではスマートフォンで動画を撮影していた。

「動画の撮影とはいえ、公共の場で他の客を黙らせようとする無神経さにイライラしました。それでも、数分で終わるだろうと、渋々静かにしていることにしたんです」

席を変えろと無茶ぶり

 だが、彼女を見ると、沈黙を強いられていることに浮かない表情をしている。

「まだ付き合い立てですし、雰囲気が悪くなるのは避けたかったので、小さな声で話しかけることにしました。ですが、かなり声を抑えていたにもかかわらず、例の女性に『うるさい』と文句を言われ、彼女はさらに暗い表情になってしまい……」

 そんな中で運ばれてきたパンケーキは、想像以上においしかったという。彼女も笑顔になって食べ進めていたのだが……。


「また例の女性に声をかけられたんです。『悪いんだけど、あんたたちがどうしても映り込んじゃうの。先に座っていたのはこっちなんだし、ちょっとどいてよ』と。ふざけるなと思いましたよ。いい加減頭に来ていたので『無理です』と断りました」

最終的に店長らしき人物が現れ…

 だが、相手は折れなかった。「少しの間なんだから」「すぐ終わるから」と言って譲らない。西川さんの彼女は、周囲の客に注目されていることに耐えられなくなったようで、渋々席を立った。

「年配女性はこちらの皿やグラスが映るのが嫌らしく、細かく位置を変えたり、撮り直したりしていました。やたらとこだわるので、少しの間のはずがいっこうに終わる様子がないんです。せっかくのパンケーキが冷めてしまうと思うと頭に来てしまい、『いい加減にしてください』と伝えました」

 だが、年配女性は平然と『ダメよ。あんたたちの汚いお皿が映るせいで何度も撮り直してるんだから』と言い放った。

「あくまでも自分が正しいという態度を崩さないので、自分たちでは手に負えないと思いました。
それでお店のスタッフを呼んで相談したところ、そのスタッフが女性に声をかけてくれたんですが……それでも撮影をやめようとしないんです」

 スタッフは店の奥に引っ込むと、今度は店長らしき人物を連れて戻ってきた。

「撮影を続ける女性に声をかけましたが、それでも『うるさい。こっちは客だ』と言って譲らないんです。しまいには大きな声を出して暴れ始めたので、これには先方もうんざりした様子で『お代は結構ですので、帰ってください』と言い放ち、強制的に退店させられていました」

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 嫌な思いをした西川さんと彼女だったが、店長から「嫌な思いをされたことでしょう」と追加のスイーツとドリンクを無料で提供してもらった。店長の温かい気配りによって、最終的には良い時間を過ごして店を出ることができたという。

<TEXT/和泉太郎>

【和泉太郎】
込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め
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